亥の子祭り
「亥の子祭り(いのこまつり)」は、安倍小学校区の南東部にある高田(たかた)で、毎年12月に行われるお祭りです。べつの名前を「あばれ祭り」ともいいます。
いのこ祭りの「いのこ」とはイノシシの子のことです。イノシシは、昔から畑をあらすなど農作物(のうさくもつ)に害(がい)をあたえる動物(どうぶつ)ですが、子どもをたくさんうむことから、女の人にとってはありがたい動物でもありました。そのことから、稲刈り(いねかり)のすんだ10月の亥(い)の日には、「早く赤ちゃんができますように」というねがいをこめて、もちをつき、およめさんにプレゼントします。そのため、このもちを「イノコもち」とよびます。また、「子どもが病気にならないように」というねがいもこめられているそうです。
いのこ祭りは、子どもたちが主役(しゅやく)のお祭りです。まず、その年に田んぼや畑でつかった道具(どうぐ)をこわすことからはじまります。そのときに、こわすのは紙や木で作ったにせものの道具です。
そして、神様(かみさま)にそなえた料理(りょうり)や机(つくえ)をけったりしてあばれます。このときに、「めしを出せ」「はしをくれ」「灯(あか)りをつけろ」などと、大きな声を出して走り回ります。それはまさしく、イノシシの子が田んぼや畑であばれる様子(ようす)をあらわしています。
子どもがあばれれば、あばれるほど神様への感謝(かんしゃ)の気持ちが大きく、来年も豊作(ほうさく)であることをおねがいすることになるのです。
高田のほかに、安倍校区では、池之内(いけのうち)でも亥の子祭りが行われていますが、地いきによって独特(どくとく)の「亥の子祭り」があります。しかし、どの地いきでも、自然(しぜん)のめぐみに感謝し、来年の豊作をいのるという思いは同じです。