手元でリアエアコンの操作をVer.2(温度・風量)

2002/7/18更新

「(旧)手元でリアエアコンの操作を」では、基本的な操作は正規のパネルで行い、運転席からはブロワの強制停止ができるのみでした。ここでは、風量、吹き出し口の選択も手元で行えるようにしました。夏場、こまめにクーラーの風量を調節したいときなどに便利です。




リアの操作パネルと、フロントに新設するスイッチとを両立させるための仕組みをあれこれ考えましたが、スイッチの追加や簡単な結線の変更程度では完全に両方から操作することは不可能と考えて、少しブレークダウンして「従来通りリアで操作するモード」と「リアパネルは無視してフロントで操作するモード」の2モードを切り替える構造にしました。





使用したスイッチは、モード切り替え用としてはNewCAMRY向けのTEMSスイッチ、風量調整用としてはNewイプサム向けのHIDレベライザスイッチです。通常この位置に来るスイッチ(標準のHIDレベライザなど)はグレーかチャコールですが、TEMSスイッチが黒だったので、あわせるためにNewイプサム向けの黒のレベライザスイッチを選びました。



(2002/6/12記)






どんな回路?




下図に回路図を示します。黒線で示したものは標準状態の回路で、赤線で示したものが今回の改造で追加・変更した部分です。リアエアコンは標準状態では(1)風量(2)温度をスライダで、(3)吹き出し口を押しボタンで設定するようになっていますので、これら3つをフロントで横取りするというのが、この改造の考え方です。

ステアリング右上の2つのスイッチスペースで、この3つのコントロールをしたかったので、3つのうち2つは抱き合わせて操作する必要がありました。風量に関しては最も頻度高く操作しますので独立してスイッチを設けるとして、残り2つを1つのスイッチに押し込むため、温度設定を連続可変ではなく吹き出し口設定に合わせて3段階切替にしました。実際に使用頻度が高いのは「FACE+COOL」と「FOOT+HOT」だと思います。


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■「リレー励磁部」

TEMSスイッチの設定により、リレーの励磁状況を変化させる部分です。「リア操作モード」のときはリレーC、D両方とも励磁されませんので、標準通りの回路になります。D4、D5は、例えばFACEモードにしたときにリレーBが励磁されないためのものです。


■「風量設定部」

標準状態ではコンパネの風量スライダの両端にGNDと5Vが掛かっており、その中間の電位をRRVRに与えることで風量を調節しています。ですから同じように可変抵抗であるレベライザスイッチを用いました。リレーDがONになるとレベライザスイッチ側の回路が生きます。しかしレベライザスイッチを使用すると下記のように予想外の事態が2つ発生しました。(1)は小細工で解決できましたが(2)は仕方がないので放ってあります。


(1) レベライザスイッチは「0」にしても抵抗はゼロにならない

次の写真に示すように、レベライザスイッチは基板に抵抗膜を印刷した上を、接点電極を滑らせて抵抗を変化させています。しかし「0」方向に回しきっても0Ωにならないため、エアコンのファンが停止してくれません。そこで少し小細工を施しました。コネクタの「0」側の足に針金(具体的にはダイオードの足の余り)をはんだ付けして、「0」位置にしたときに接点電極に接触するように針金の角度などを調整しました(施工後の様子は写真はありませんが)。

走行中、針金と接点電極が瞬間的に離れるのか、「0」にしていてもごくまれにブロワの動作灯が点灯することがあります。気になりますが、気にしないことにしています。




(2) 風量は連続可変ではない

すなわちRRVRの電圧を0〜5Vまで連続的に変化させても、風量は段階的(OFF/LO/・/・/HI)にしか変化しないということです。このようにOFFを含めて5段階の風量をレベライザスイッチのように0〜5までの6段階のスイッチで操作するとどうなるのでしょうか?結果は、レベライザスイッチ表記で「2」と「3」が同じ風量になりました。まあ「0」でOFFになるし「5」で最大風量になるので、機能的にはよしとしています。ちょっと気になってますけど・・・。


■「温度設定部」

標準状態では風量設定部と同様に、コンパネの温度スライダの両端にGNDと5Vが掛かっており、その中間の電位をRRTSETに与えることで吹き出し温度を調整しています。ここは、吹き出し口選択と抱き合わせるために、可変抵抗は用いずに、3段階の抵抗を選ぶようにしました。


■「モード選択部」およびリアコンパネ

標準状態では、吹き出し口のモード選択は、RRFACE、RRB/L、RRFOOTのどれがGNDに落ちているかでおこなっています。ですからコンパネのモードスイッチを殺すためには、スイッチからGNDへ通ずる経路(コンパネ内の配線では黒線)を遮断すればいいのです。ところがこの線は、コンパネを出るとすぐにTMでGNDに落とされています。TMとは助手席側スライドドアの上部付近のボディアースです。ここまで配線を取りに行くのはやっかいです。

ところがよく見ると、コンパネはGNDが2系統あります。もう一方はスライダの一端をGNDに落とすためのものです(コンパネ内の配線では灰色)。この線はコンパネを出ると、J/C(No.7)を経由してからエアコンECUに帰ってきます。これなら分岐できそうです。そこで回路図に示すようにコンパネ内で黒線と灰線を入れ替えました。この様子は下の写真で示します。




さて、コンパネ内の黒線を経由してGNDに落とされているのは、モードスイッチだけではありません。モード表示用のLEDと、車幅灯点灯時の文字照明ランプもです。ですから、リレーCが動作してコンパネのモードスイッチがフローティングになると、モード表示LEDと文字照明は消灯します。これで、後席の乗員に「今はフロント操作モードかリア操作モードか」を示すことができます。D1、D2、D3はコンパネがフローティングとなっているにも関わらず、「モード選択部」を経由してLEDや照明が点灯してしまうのを防ぐためのものです。このダイオードの挿入の様子は上の写真に示しました。

コンパネを開けたついでにモード表示LEDの色も変更しましたが、ほとんど常にフロント操作モードにしていて、LEDは消灯したままですので、残念ながら、あまりインパクトはありません。


■ブロワ動作表示灯

ver.1では、AC-100Vスイッチのパイロットランプを使用しましたが、今回の改造ではスイッチにパイロットランプはありませんので、テルテールランプのうち、リアフォグ表示灯を代用しました。私のクルマは寒冷地仕様でリアフォグなしですので、リアフォグ表示灯部はランプは実装されていますが使用されていません。

ブロワ動作電圧は、ver.1で紹介させていただいたように有兵衛さんのページに掲載されている場所から取ります。リアフォグ表示灯への接続は、寒冷地+リアフォグなし車の場合、ステアリング右下のスイッチパネルの裏側にリアフォグスイッチ用の7ピンコネクタがぶら下がっています。この1番ピンに12Vを与えると通常ならリアフォグが点灯するのですが、リアフォグなし車の場合はテルテールのリアフォグ表示灯が点灯するだけです。そこで、ブロワ動作電源線を分岐してここの1番ピンに接続して、リアフォグ表示灯をブロア動作表示灯として使用しています。

ちなみに、テルテールの未使用のランプのうちケーブルが接続されているのは私のクルマの場合、リアフォグ表示灯だけでした。4WD表示灯などは電球は実装されているのですが、基板から取り出すケーブルが入っていません。




■回路作成および接続

回路の外観を次の写真に示します。接続は、大半がエアコンECUで、残りはふたつのスイッチへ行く分とJ/C(No.7)へ行く分です。J/C(No.7)は、助手席側グローブボックスを外した奥にあるエアコンフィルタの右奥の12ピンのJ/C(ジャンクション)です。エアコンフィルタの右横から、手首くらいまでつっこまないと届きません。J/Cに手前からと奥からコネクタが刺さっていますが、必要なのは手前から刺さっているコネクタです。このコネクタを抜いて正面から見た図を示します。左上のケーブルがリアコンパネから来ているものですので、それを切断して回路まで持っていき、リレーCに接続します。





(2002/7/18記)




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