手元でルームランプの操作をVer.2(調光機能付き)

2002/7/6更新

「(旧)手元でルームランプの操作を」では、リアルームランプのon/offのみを行うものでしたが、夜間にルームランプを点灯するとチャイルドシートに座っている子どもがまぶしがるので、調光機能を追加することにしました。また乗車時や降車時には前席のマップランプもあわせて全点灯できると便利ですので、ワンタッチでマップランプ・ルームランプを全点灯する機能も追加しました。これで降車前に半ドアで身支度しなくてもよくなりました。




スイッチとしては、リアワイパースイッチを転用しました。これを選んだ理由は、(1)一つのスイッチで複数の状態(OFF/INT/ONの3状態)を選択できて、(2)ウォッシャースイッチのようにすぐに復帰するスイッチ(いわゆるモーメンタリスイッチ)が組み合わされているため、です。またスイッチがステアリング右下にある場合、わずかながら視線を投じて位置を確認したり、手探りで探す必要がありますが、リアワイパースイッチだと、走行中でも確実に操作できます。





「(旧)手元でルームランプの操作を」では車幅灯に連動させていましたが、次のような場合に少し不満を感じていました。たとえば夜間に後席の乗員が降車する際に運転席からルームランプを点灯した場合、全員が降りた後に車幅灯とルームランプの両方をOFFにしなければなりません。車幅灯をOFFにするだけでルームランプも連動して消灯しますが、スイッチ自体は押されたままですので、次に車幅灯をONしたときに再びルームランプも点灯してしまいます。両スイッチをOFFにするというのは大した手間ではない気もしますが、なんだか洗練されていない感がありました。


そこで、車幅灯が消灯されるとルームランプのスイッチも自動的にOFFとなるように、電子スイッチを使用することにしました。必然的にON/OFF操作は電子スイッチにパルスを与えることになりますので、ウォッシャースイッチのようなモーメンタリスイッチがちょうどよいのです。




下の写真はルームランプの調光の様子を示したものです。左が明点灯時のもの、右が減光時のものです。減光時は、チャイルドシートの子どもの表情がうっすら見える程度の明るさです。この程度なら夜間走行中は常時点灯させてても邪魔にならないかもしれません。





さて、リアワイパーの操作はどうするのか?あまり頻度は高くないのですが、リアワイパーを使用したい場合もありますので、どこかにリアワイパー用のスイッチを設けなければなりません。私は、ステアリング右下の空きエリアに、Newイプサム用のリアヒータスイッチを入れて代用しました。(詳細に関しては別途紹介します)



(2002/6/12記)






どんな回路?




下図に標準状態の回路の概念図を示します。ここで説明する改造は、基本的にドアカーテシスイッチの代わりに強制的にグランドに接続してランプを点灯させるものですので、ランプとカーテシスイッチ周りのみ記載しています。実際の回路は別の要素も入り込んでいます。





下図は変更後の概念図です。リア点灯スイッチがONになると、リレーによってリアルームランプがグランドに接続されるようにしています。

リア暗点灯時には、ルームランプはトランジスタを介してグランドに接続されるようになり、トランジスタには発振器からduty50%の信号が入るようにしています。こうすることで、リアルームランプに掛かる平均電圧が50%となります。

フロントマップランプは、点灯スイッチがONになるとカーテシスイッチへ行く経路をリレーで横取りして、強制的にグランドに落とします。しかしリレーOFF時は標準回路と同じ回路ですので「イルミネーテッドエントリーシステム」は生きています。

標準では、リアドアを開くとカーテシスイッチを通してランプ電流(1.7A程度)がグランドに落ちていますが、変更後はカーテシスイッチでリレーをONさせるようにしました。こうすることで、カーテシスイッチにはリレーの駆動電流(50mA程度)しか流れないため、半ドア警告灯への逆流防止ダイオードでの発熱が低減できます。さらにダイオードの電圧降下や配線抵抗によるルームランプの照度低下(標準ではランプ横のスイッチON時に比べてドア開時が暗くなる)も防げます。

フロントではリレーでカーテシスイッチへ行く経路を横取りしましたが、リアはスイッチによる点灯時でもカーテシスイッチは反映されるようにしています。これは、リア暗点灯時でもドアを開けると明点灯にするためです。横取り方式にしてしまうと、ドアを開けても暗点灯のままです。

暗点灯させる方式として、抵抗を直列に接続して電圧を食わせる方法も考えられますが、抵抗での発熱が大きく、車載には向きません。ランプの抵抗値が一定であると仮定すると、ランプの両端電圧を1/2にするにはランプの抵抗と同程度の抵抗を直列に入れればよくて、その場合抵抗の発熱は5Wとなります。今回のようにトランジスタでスイッチングする場合、ランプ電流は0.85AなのでEC電圧1Vとしてトランジスタでの発熱は0.85Wに低減できます。


(2002/7/3記)






回路の詳細な説明




下図に全回路図を示します。

ボデー側との接続は、コネクタ「IG1」の1番(赤/黒)線と8番(赤/緑)線を切断して、この回路と接続します。「IG1」はグローブボックスを外して右側にあります。車幅灯電源は、例えばどれかのスイッチのイルミネーションから分岐します。この回路は基本的に車幅灯電源を電源としているのですが、リアドアに連動してリアルームランプを点灯する場合にリレーを使用しているので、常時電源が必要です。

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以下に各部の説明をします。

■リレーA:wash側にひねったときに、リアフォグスイッチ回路にパルスを加えるためのもの。

■リレーB:リアルームランプをGNDに接続するためのもの。減光回路側と、明点灯用リレーCの二カ所をGNDへ接続するため、2A(2Cでもよい)リレーを使用しています。

■リレーC:明点灯するためのもの。リアワイパースイッチでリレーBを介してONにする場合と、カーテシスイッチでダイオードD1を介してONする場合があります。

■リレーD:フロントマップランプを点灯したい場合に、横取りしてGNDへ接続するためのものです。

■D1:リアワイパースイッチのGNDがリレーBを経由してボデーECUのRCTYに影響して、半ドア警告ランプが点灯するのを防ぎます。逆にリアカーテシスイッチを閉じることでリレーCのコイルを励磁する経路を確保します。D1の電流はリレーの励磁電流程度ですので、発熱は問題になりません。

■D2:リアワイパースイッチがINT(リアのみ点灯)の時に、フロントランプ用のリレーDに励磁電流が流れないようにするためです。逆に、ON(リア+フロント点灯)の時はリレーCに励磁電流を流す経路を確保します。

■D3〜D6:リレーの励磁電流をOFFにしたときの逆起電力を緩和するものです。励磁電流のOFFがトランジスタで行われている場合はトランジスタ破損の防止、スイッチで行われている場合は、端子間のアークの防止になります。

■D7:リアルームランプの減光時に、Trでのスイッチングの逆起電力を緩和するためのものです。ここでの逆起電力がどの程度かは不明ですが、長い経路をたどる回路ですので、ある程度のインダクタンスがあると思われ、安全のために挿入しました。

■D8:ON/OFFスイッチ部から電源が供給されなくなったとき、すなわちリアフォグスイッチ基板の1番端子がフローティングとなったときに、D8がないと、電流がリレーCの励磁コイルを経て、リレーBを経て、D2、D3、リレーBの励磁コイルを経てGNDに流れ込むため、リレーB、リレーCともに切断できなくなります。

■D9:リアフォグスイッチの1番端子は自分自身の12Vで内部リレーをONにし続けているので、リレーAにパルスを入れてリアフォグスイッチをOFFにしても、減光部などでこの端子の電圧の緩和時間が長いと、再びONとなってしまいます。これを防ぐためです。

■ON/OFFスイッチ部:washスイッチからパルスが入力されるごとにON/OFFが入れ替わるような回路を組めばいいのですが、自分では組めなかったため、リアフォグスイッチ内の回路を流用しています。下左の写真は、リアフォグスイッチの内部の基板です。スイッチを押すと電極Bの上をピンAがスライドしますので、下右写真のように電極Bにケーブルを直結してリレーAを接続し、ピンAがスライドする代わりをさせています(写真は本体基板側への結線は未実施の状態です)。





(2002/7/6記)




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