雑音(ノイズ)は、設置されている無線局の周囲の条件や使用する周波数で異なるが、同一条件で比較した場合(実際はこれだけではない)下記のようになる。
1 至近に発生源がある場合(市街地のノイズが相当する)・・・発生源からの「距離の二乗に比例」して小さくなる。
2 空間に存在するものも含めた全てのノイズ・・・受信の帯域(アンテナの帯域)の「帯域幅の二乗に比例」して大きくなる。
1,9MHz帯1/2波長のダイポールと中間部負荷型(センターローディングホイップ)垂直アンテナを比較した場合(互いの地上高などの条件は無視し一般的な比較)ゲインとノイズの関係は以下のようになるのではないかと思われる。
1 ある程度の高さに上げられたダイポールの場合、全長80mのエリアが存在する。このため発生源からのノイズは「距離の二乗に比例」して多くなる。
ダイポールの80mに対してホイップを仮に0,8mとすると、距離(長さ)が10倍であるから100倍の差(電圧比で20dB)である。
2 アンテナの帯域は、仮にVSWRが1:2,0の範囲を比較した場合、わかりやすく仮に「ダイポールを100KHZ」「ホイップを10KHz」とすれば、帯域幅が10倍であるから100倍の差(電圧比で20dB)になる。
したがって単純に(都合よく)比較しても、この二つのアンテナ間にはノイズに対して40dBの差があることになる。
それぞれで目的とする「信号」に対しても当然「利得の差」が発生するが、目的の周波数1波に対しての場合に、その利得差は「-10dB」多くても「-15dB」程度(ダイポールを「0dB」とした場合、ホイップの利得は「-10〜-15dB」)である。
その結果「S対N」は、25dBから30dBほど改善されて、「S9」のノイズで信号がブロックされていた場合は、「S4」の信号を受信できることになりQSOの可能性が広がることになる。(「S」のステップは「6dB」とした)
しかも、受信機に対してはトップに狭帯域のフィルター(Y社のμ同調のプリセレなど比較にならないほどの超大口径コイルを使用した「帯域10KHz」のアンテナフィルターである)が挿入されていることと同じであるから、受信機の負担も軽くなり、歪みの発生や飽和等の弊害からも逃れられることになる。これは、かなり問題のある受信機でも受信可能な範囲に入る。
偏波面(垂直・水平)の違いは、直接波がほぼない1,9MHzの伝播特性からそれほど問題にはならないと思われる。
ポータブルラジオで、中波の放送は「内蔵バーアンテナ」で受信可能でも、FM放送の場合は外部アンテナやイヤホンのリードを使用しないと受信できないケースによく似ている。
1,9MHzの周波数帯では建物の影響は受けにくく、上空の部分が開けていれば、この大口径のホイップが受信には有効である。
送受信で使用したとしても、ダイポールでの送信に対して送信時もSの指示で2〜3の違いであるから、十分QSOが可能な範囲に収まる。もちろん、出来るのであれば送信はダイポールを使用する方が有利なのは言うまでもない。
1,9MHzでの運用の場合、高価な「μ同調ユニット」を購入する前に、この「超大口径のコイル」を試してみる価値は十分にある。受信機に信号が入る前に、狭帯域のフィルター(兼アンテナ)が使用できるのである。
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