白山神社

奈良県奈良市北之庄

祭 神

大山祇命


「白山神社」は、通常はククリヒメもしくはイザナミが祭神になるケースがほとんどです。対して、当社はなぜオオヤマツミ神を祀るのか、祭祀の経緯はよく分かりませんが不思議でまた興味深い話です。大山祇神社(愛媛県今治市大三島町)のようにオオヤマツミ神を海の神として祭祀するケースもあり、オオヤマツミ神のオールマイティな神格が反映しているのかもしれません。



社地は手入れが行き届き、小さいながら雰囲気の良い神社です。本殿屋根に出雲系の神社に多い亀甲型の神紋がある、締め縄が「左ない始め(左側に縄の頭部がくる非常に少ない縄のない方)」であるなど、祭神の事とも相まって興味を引く要素がいくつかあります。

当社は、もとこの場所にあった「龍腹寺」の鎮守社だったとのことで、概略として次のような伝承が「大和名所図会」に記載されています。

大旱魃の時、僧侶や村人たちが雨乞いの修法を執り行っていると1体の龍が表れました。龍は村人が熱心に雨乞いをする様子に心を打たれ、「自分が雨を降らせよう。ただし自分は小龍であり、大龍の許しを得ずにそれを行うと大龍の怒りに触れ命を取られるかもしれない。後の自分の菩提をよろしく頼む。」と言って天に上りました。



ほどなく雨は降ったものの、天に上った龍は体を3つに分断されて落ちてきました。

その後、分断された龍の頭部を葬った場所に「龍頭寺」、龍の尾を葬った場所に「龍尾寺」が建てられ、当社白山神社を鎮守とした「龍腹寺」は龍の腹部を葬った場所に建てられたといわれています。それらの伝承地もまた現在に残ります。
●大和名所図会:龍腹寺の記事●





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