河俣神社

奈良県橿原市雲梯町

祭 神

鴨八重事代主神


出雲国造神賀詞には、出雲の大国主神が、大和(倭)国に天皇守護のため出雲神の結界を示す4つの社を置いたとあり、当社はその1社であるとされています。

出雲国造神賀詞から、以下に必要な部分を抜粋します。その中で、「事代主命の御魂を宇奈提(うなて)に坐せ」という記載が当社のことであると考えられています。



すなわち大穴持命の申したまわく 皇御孫(すめみま)命の静まり坐さむ大倭國と申して 己命の和魂を八咫鏡に取りつけて 倭大物主櫛玉命と御名を称えて大御和の神奈備に坐せ 己命の御子阿遅須伎高孫根命の御魂を葛木の鴨の神奈備に坐せ 事代主命の御魂を宇奈提に坐せ 賀夜奈流美命の御魂を飛鳥の神奈備に坐して 皇御孫命の近き守神とたてまつり置きて 八百に杵築宮に静まり坐さむ

壬申の乱の時、高市縣主許梅に高市社の事代主神が取り憑き、「大海人皇子を守護する」と託占したと日本書紀に記述されています。その高市社とは、延喜式神名帳に記載のある大社「高市御縣坐鴨事代主神社」と見られており、さらに当社が「高市御縣坐鴨事代主神社」であると考えられています。



鳥居から参道・本殿に至るまで、神社建築としては珍しく北向きに建てられています。立地条件は山や丘陵地では無く川沿いであり、その場所に南向きに建てることは充分に可能であったはずです。が、なぜ北向きに建てられたか、その意図が知りたい所です。
●境内の歌碑●
おもわぬを 思ふと
いわば 真鳥すむ
卯名手の杜の
神し知らさむ
(万葉集 巻十二・三一〇〇)





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