奈良県大和郡山市山田
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祭 神
素盞嗚命
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古事記のなかの出雲を舞台とする神話に登場するヤマタノオロチ、これを「大和の大蛇:ヤマトのオロチ」と考え、その正体は三輪山の蛇神であると解釈したのは梅原猛氏ですが、残念ながらこれは広く知られる説とはならなかったように思います。それとは別に、奈良に残る興味深い伝承を一つ。「ヤマトのオロチ」ではなくそのものズバリの「ヤマタノオロチ伝説」を伝える神社があり、それが本稿の杵築神社です。 |
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この杵築神社に伝わるヤマタノオロチ伝説は、古事記の神話と大筋では似ていますが細部では微妙な違いがあります。駒井保夫の「郷土の伝説」P230〜231を参照し、ストーリーの要点のみを箇条書きにします。同書において駒井氏は、古代に「国譲り」に象徴される勢力の消長があった時、出雲から大和に移住してきた人たちが、下記のスサノオにまつわるストーリーを持ち込んだのではないかと推測しておられます。 |
●天上界(高天原)を追放されたスサノオは下界へ降り来たる。
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●スサノオが松尾山(奈良県内)の麓にさしかかった時、
谷の奥でアシナヅチ・テナヅチの老夫婦と出会う。
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●老夫婦に8人の娘がいたこと、
ヤマタノオロチがその娘達を次々に食べ、
イナダヒメのみが残ったこと、ヤマタノオロチの姿形などを聞く。
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●イナダヒメへの求婚についての老夫婦の承諾を得る。
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●オロチ退治の策を練る。
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●濃い酒を造り、8つの桶に酒を満たしてオロチを待つ。
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●オロチが現れ8つの桶の酒を飲み干す。
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●オロチは酔ったままイナダヒメに飛びかかろうとする。
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●その時スサノオは準備していた大たいまつに点火、
さらに「てんてらこ、てんてらこ」と唱える。
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●炎は大きな火柱と化し、オロチは火柱を見てためらう。
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●その隙にスサノオは持っていた剣でオロチの首を切る。
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●以上によって、老夫婦とイナダヒメは助かる。 |
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古事記の神話といくつか違ったところがあります。まず、舞台が出雲ではなく、奈良県内の松尾山【MAP】に伝わった伝説であること。また、古事記では酔って眠ってしまったオロチをスサノオが斬ったわけですが、当社の伝承ではオロチは酔いながらもイナダヒメに飛びかかろうとし、スサノオに斬られています。古事記よりもバイタリティのあるオロチであるのが面白いところです。さらに大きな特徴の一つとして、「草薙の剣」が登場しないことがあげられます。 |
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そして、この杵築神社には「でんでらこ」という祭りが伝わっています。それは毎年10月に執り行われる大松明を用いる勇壮な祭りで、ストーリーの中でスサノオによって唱えられる「てんてらこ」という台詞は、この物語が「でんでらこ」の起源を表す説話になっていることを示します。なお、「でんでらこ」に関しては次のサイトがたいへん参考になります。
【Link:大和郡山市 まちかどレポート423 平成27年度 杵築神社の秋祭り宵宮】
【Link:大和郡山市 まちかどレポート383 杵築神社秋祭り宵宮】 |
地図右上の[ ]をクリックすると「杵築神社・スサノオ系神社:奈良」が大きく開きます
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