++ 最近の清潔志向 ++

 この頃気になっているCMがある。洗濯洗剤のCMで、仕事から疲れて帰って来ただんなさんが自分が脱いだ靴下を自分で洗濯機に入れる、でも「バイキン移っちゃう〜」というやつ。疲れて帰って来ただんなの靴下にバイキンってのはあんまりじゃないか?ダンナの靴下にそういうこと言い出せば、床もそうなん?(ちゅうか自分のはいいのか。ちょっと小声。)床を這ってる赤ちゃんはバイキンを運んで、なめてるってことになる。

 仕事を休んで家にいるようになって、お昼頃のワイドショー、昼メロ時間にTVをつけることがあると、この手のCMが実に多い。洗濯洗剤のCM、掃除用品、キッチン用洗剤のCM。いずれも共通するのは徹底した除菌、殺菌、消臭、清潔志向。まな板を除菌したり、洗濯洗剤で除菌ができたり。
最近有名(というかよくある)な消臭スプレーは布にスプレーすると除菌、消臭できるっていうモノ、柔軟剤で消臭できるっていう洗剤は、汗のにおいや食べ物、タバコのにおいがつかないって言う。

 これが原因というか、こういう風潮のおかげで、「汗臭い自分がイヤ」っていう潔癖の年頃の子がいたりするんだって。セックスレスの一つの要因になっていたりもするらしい。汗をかいたらいやだからって。私だって、高校生の頃、中学生の頃、好きな子がいるそばで汗をかいてるのはいやだなあって思ってたけど、拭くしかないよね。体育の授業の後なんかやったら、着替えて、さらさらパウダーとかスプレーしてね。

 除菌について言えば、こうやって除菌してしまうことで、生活のなかで触れるはずの様々な菌に触れる機会が少なくなる。つまりそれらに対する抵抗力や免疫力がだんだんと衰えていってしまうんじゃないんだろうか。
もちろん、その中にはとても怖い菌もある。01年夏のことを考えたらそういう思いは本当によくわかるし、去年の夏は我が家も1号と2号が大腸菌O1というのに感染したらしく、身も凍る思いをした。でもだからって普通にその辺にいる、雑菌を除菌すればいいのか?それってどうなんやろう。

 消臭も同じような思い。暑いねんから汗もかくさ。サカナを焼けばそりゃにおいもするよ。でも汗をかいたらこまめに拭く、着替える、それができないなら仕方ないさ。魚のにおいが気になるならば、窓を開ける、換気扇とか、クッションとかテーブルクロスなら外に干すとかね。その瞬間、翌朝までににおいが取れなかったら、そういうもんやと思えばいいんじゃないんか。っていうか、そういうもんやろう。
 
 どうしても危険な菌を排除することと、生活の中で触れてしまう菌を排除することとは別のことだと思う。ちょっとした風邪で済むはずのことが抵抗力が弱ってしまったために大きな事態になってしまうってこともあるんじゃないか。必要以上の、ちょっと過剰なまでの清潔主義が作り上げてしまったのは、抵抗力が落ちたためにそれをやっつけるためのクスリに頼らざるを得ない、不便な世の中。なのかなあ。

 最近、プチ自然派健康マニアになりつつある私。できることならば科学的な手段には極力頼らずにいろんなことをこなしていけたら、そう思っているけど、道はなかなか険しい。