ダイナベクターは、波動理論の故富成博士が理論実践のため起こした会社で、カートリッジにも波束分散理論を持ち込み、何種類かのMCカートリッジを排出しました。 なかでも有名なのが、ダイヤモンドを、世界で最初にカンチレバーに採用した、Karat Diamond ではないでしょうか。高価な材料でもありますので、短い2.5mmを採用、クリティカルですが透明度の高い、力感あふれる切れ味は特筆ものです。その後1.7mmや1.3mmの商品も開発しましたが、未聴ですので迂闊なことは言えませんが、針圧に余裕がなく、調整が難しいのではないでしょうか。その点ルビーを使用したKarat は、同傾向の音質ですが、少し柔らかく、針圧にも余裕があり、個人的にはこちらの方がお薦めです。 OMC-38-15A やOMC-38-15Bも良く知られた製品で、出力も大きくMM 端子でも使用できるぐらいで、持ち味は違いますが音質の傾向は、この会社は統一されているようで好感が持てます。私はこれは大事なことで、消費者にとっては一番の目安ですから、今後も守っていただきたいと思います。
アントレーは、スペックスにおられた方が作られた会社と伺いましたが、製作意図のはっきりした商品を、手際よく創出されるのには敬服いたします。 EC-10 は、最初の製品EC-1のカンチレバーをカーボンファィバーに変更し、マイナーチェンジしたものと思いますが、今ひとつ効果的ではなかったようで、平凡なMCカートリッジだと感じました。EC-35は好評のシェル一体型 EC-30をハーフサイズ取り付け用に、変更されたものと思いますが、オーソドックスなオルトフォン・タイプのメカ機構に、ボロンパイプと云うことで、期待が大きすぎましのか少々期待外れ、躍動感はあるものの細やかさの乏しい音質でした。EC-20は、基本的に構造も一緒で、カンチレバーがサファイアパイプと云うものです。こちらの方が締りのある解像度も切れも備わった音質で、若干硬質ですが好感のもてるMCカートリッジです。
ハイフォニックはデノンにおられた方が作られた会社で、アルミ金属ボディにMC型で統一した、洗練されたメーカーです。バランス出力や、高出力にも果断に挑戦される気鋭さは、性能にも、音質にも表れていて好感が持てます。 MC-A3 は同社が最初に世に送り出した商品で、その完成度の高さに、市場では驚きをもって迎えられました。見た目同様、細身で繊細な作りから、清廉でさわやか音質が、漂うように流れてくるような感じがいたしました。ただ針圧にはことのほか敏感で、アームと共に最良点を求めなければ、真価を発揮できませんのでご注意ください。 MC-R5も本質的に変わる物ではありませんが、カンチレバーにルビーを使用しているのが異なります。それはより音楽的な表現と成り、音場が明瞭になるようで、これも設計の良さの表れではないでしょうか、素敵なカートリッジです。同社はその後、かなりの種類を送り出したようで、今後も聴かせていただきたいと思っています。
アキュテックスと読むのでしょうか、国籍も含め正体不明の会社ACUTEXのM320 ⅢSTR は、MI型で、同社の最高級機です。近年新品と云うことで入手しましたが、平凡な製品で取り立ててお伝えできる事はありません。
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