FRで呼ばれるfidelty-research社は、品川無線におられた方が作られたようで、その後イケダ・カートリッジとなったようですが、伝聞で真偽は分かりません。
最初のFR-1 より始められたMCカートリッジは、空芯型でFR-1 Mk2も
マイナーチェンジですが真摯な改造で、さわやかな充実した音質が、好ましい商品です。今のように安易に高増幅が得られる時代ではない時に、低出力の空芯型
をあえて世に送り出した同社は、その後も一貫して、すこしでも良いと思われることには、労苦を惜しまず製品にしてこられる姿勢は、賞賛してしすぎる物では
ありません。 しかもマイナーチェンジを重ね、前からのユーザーにも新製品の特典を与えることは、商売の王道を行くものではないでしょうか。FR-1 Mk2も FR-1 Mk3になり傾向は変わりませんが、新針の採用でよりさわやかな抜けの良さが味わえるようになりました。その低出力を反省材料に、取り組んだのがMM型であり、MCX-3 MCカートリッジです。世に云うオルトフォン・タイプのコアを持つ物ですが、絶妙のバランスでFRの音に仕上げてくるのは見事としか言いようがありません。
FR-5E からスタートしたMM型も、傾向は同じで、FR-6SE 、FR-101と進む間も、一貫して変わる物ではありませんでした。新素材や若干の構造変更はありましたが、主題は手軽な使用法で、FR社の音質に仕上げることでした。
その後の製品は、FR-7の空芯かご型コイル方式等興味のある製品があり、イケダ・サウンド・ラボズの製品など、入手できることがあればまた報告いたします。只苦言があるとすれば、こんなのがが出来ましたではなく、これを聴いてほしいと云うものを長期間に渡り販売してほしいと思います。
スペックスも古い会社で、前進はカメラ用品の会社と聞いたことがあります。
SD-801 はMM型同様に使用できる、高出力MC型に特徴があります。インピーダンス60Ωで、使いやすく、明快なバランスの良い音が得られれるのは、磁気回路に独特の工夫があるのでしょう、それだけの技術力のある会社でした。SD-600は普及型の安価な製品ですが、オルトフォン・タイプのコアを使用した、通常の出力を持つMCカートリッジです。音質は少し奥に引っ込んだ感じはありますが、歯切れの良い明るい物です、この価格でこれだけの品が販売できるのは驚異以外の何物でもありません。
サエク(SAEC)は、ダブルナイフエッジ・トーンアームで有名な、名門オーディオメーカーです。その会社が、理想的なボディに注目して世に問うたのがC1カートリッジでした。それも機械工作技術を前面に、「頑丈なボディ」が静を生み、音を作るという逆転の発想から出発しているのがユニークです。その第二弾がC-3 カートリッジで、価格からは想像を超えた素材の使用と、高性能で業界に衝撃をもたらしました。構造も考え方もC-1 と変わりなく、これだけのコストダウンは何かあると、思われたと思いますが、そこにはエクセルがあったのではないでしょうか?EXCELもカートリッジを古くから製造していましたが、自社ブランドに熱心で無く、OEMに活路を持っていましたので、両社の融合ではと思っています。EXCELのES-70SH TypeⅡはMM型で、大きな特徴もない安価な品ですが、出てくる音はシュアーの並み品に負けない、しっかりした音質で特筆ものです。
パイオニア社は、福音電機と言われた昔から、スピーカーを始めとするオーディオ専業メーカーでした。プレーヤ関係もフォノ・モーター始めユニークな製品で、常に業界をリードする存在でした。41MC もAT社のOEMのようですが、3MC から始まる一連の中で、高出力と云う事を除いても、特出した存在でした。それは両社のコラボレーションが生み出したものと思われます。
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