その他の方式のカートリッジ
                      con

なかでも重要なのがコンデンサー・カートリッジです。振動変換系(トランスデューサ)としてマイクでは、音楽用途・プロ用として一番の普及ですし、イヤホーンやスピーカーでも一定の評価と普及がありますが、フォノカートリッジは全くと言って過言でないほど普及はありません。

それは復調器等が必要で、調整も必要など使用方法が複雑なこと、それはメーカーの商品開発にも言えることで、それらが絡み合って普及していないものと思います。

Stax  CP-15Vは、モノーラル用ですが独特単純な構造で、一世を風靡しました。分けても丸針を回しながら使用する独創的なものは、賞賛しても余りあります。今もって最高のモノーラル・カートリッジと云う人も多数いらっしゃいます。

それに比べるとステレオ用は、あまり独創的な物が無く、むしろエレクレット・コンデンサー型が、単純明快な構造で、復調器も簡単ですので、東芝が一般製品にも応用しそれなりの成果を上げましたが、マイクの同型同様の様な普及や人気も無く、どんどん優秀になった電磁動電型の前には、マイクとは逆に、その対抗馬にもなれませんでした。404S等外観は普通のMM型風で、専用イコライザーと簡単な増幅で、手軽に好結果が得られますので、もっと人気がでてもよかったのではないでしょうか。

 

光電子型は、ホトトランジスタを使用する物、太陽電池素子を使用する物、ホトダイオードを使用する物などに分かれますが、原理はいずれもいたって簡単、ミニランプの光線を針に取り付けたシャッタで、光電素子に届く量変化を読み取る仕組みです。

この方式は優秀でもあるのですが、当時は小型とはいえタングステンランプの使用や、調整の複雑さ、変換素子ノイズ・バラツキ等と、ノイズの発生が逆方向にあるためS/Nが稼げず、表舞台に登場することはありませんでしたが、LED現在の新素材で考えれば上昇の余地はある商品です。

Stax

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モデル名

発電方式

出力電圧(mV)

再生周波数範囲

インピーダンス

針先形状

適正針圧(g)

カンチレバー材質

コンプライアンス

自重(g)

発売時価格

針交換価格

備考

CP-15V

コンデンサー

300

   2020kHz

 

回転式丸針

1

 

10

4

3,000

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SHARP

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モデル名

発電方式

出力電圧(mV)

再生周波数範囲

インピーダンス

針先形状

適正針圧(g)

カンチレバー材質

コンプライアンス

自重(g)

発売時価格

針交換価格

備考

PC-153

光電子

500

   2020kHz

 

楕円針

  1.5+0.5

 

25

18

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

TOSHIBA

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モデル名

発電方式

出力電圧(mV)

再生周波数範囲

インピーダンス

針先形状

適正針圧(g)

カンチレバー材質

コンプライアンス

自重(g)

発売時価格

針交換価格

備考

404S

エレクレット

30

   2050kHz

 

シバタ針

 1.5±0.5

アルミ合金

15

6.5

22,000

7,000

 

 

コンデンサー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

RION

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モデル名

発電方式

出力電圧(mV)

再生周波数範囲

インピーダンス

針先形状

適正針圧(g)

カンチレバー材質

コンプライアンス

自重(g)

発売時価格

針交換価格

備考

CS-7A

クリスタル

1,000

   3016KHz

 

丸針

  46

 

2

14

2,100

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

rion

圧電型カートリッジについて

電極間の力の動きに比例して電圧を発生する、圧電現象を呈する素子を利用して、フォノカートリッジにしたものです。
古くはロッシェル塩結晶を使用した、クリスタル・カートリッジチタン酸バリウム等のピエゾ効果による、セラミック・カートリッジ。少し様式は異なりますが、半導体のピエゾ抵抗効果を利用した半導体カートリッジ等があります。
いずれもエレメントの大きさにもよりますが、大きな出力電圧が得られ、高域共振の振幅比例型の特性であるため、録音特性の補正がフラットになるので、RIAAやSPの補正も気にしなくてよいので、上下にLP/STの針とSPの針を取り付け、ターンオーバーで切りかえる物も支障なく動作しますので、便利で重宝いたします。

この種の物は、一般アンプのPHONO端子ではなく、AUX等の端子に接続しますので、特性を考えれば便利な物でした。今でも用途を考えれば効果的な使用法は有りそうですが、何しろ需要が無いもので、新製品も登場も無いようです。
今では補聴器で有名なリオン社は、クリスタル型のトップメーカーで、その中でも
CS-7Aは、特性もよく名品として有名ですが、ロッシェル塩その物が湿度に弱く、長期の使用に耐えません。そのためスピーカーも、マイクも、イヤホーンも第一線から消えてしまいました。他社でも現在では、普及品以外この種の製品はないように思います。

尚ピエゾ効果は意外なところで利用され、たとえばプリンタのインク噴出調整部や、振動で微弱発電を利用した改札機や競技場等、演出効果以上の効果は無いように思いますが、エコの宣伝にはなるようです。


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