T4Pタイプ・カートリッジ
t4p

T4Pタイプ・カートリッジについて

カートリッジの取り付け寸法は、JIS及びEIAスタンダード規格により、1/2インチ12.7mm統一されていましたので、現在も自由に各社の物が使用できます。

しかしLP末期の1981年、当時の松下電器よりLPサイズに特化した、フルオートプレーヤSL-10が発売されました。そのプレーヤに搭載したのが、310MCカートリッジでT4Pの始まりでした。
自重6gで針圧1.25g、カートリッジの交換後調整不要ということで、かなりの普及をみまして、最盛期には各社より種種の物が発売され、それなりに楽しめたのですが、企画元の松下電器その物が撤退してしまい、しりすぼみに市場から消滅の運命にあります。

SL-10に搭載したEPC-P310MCは、SL-10で 使用する限り優秀で、今もって人気があります。しかし他の機材で使用には、ソツなく出来ていますがMCの特徴もなく、魅力的ではありません。同社は振動系 の軽量化はMM型の方が有利ということで、以降開発の軸足をそちらの方に移していまして、後継機も発売しなかったようです。また中途半端なMCアンプを搭 載したため、MCやMMの他のカートリッジの使用に馴染まず、その場合むしろ兄弟機のSL-7(出力ケーブルの交換は必要有)の方が好都合で、海外ではSL-7の方が好まれています。

そのM社のMMですが、EPC-205CMk3 Mk4は優秀なようですが、入手した物は完全な物ではなく、ダンパーに問題があるのか充分な試聴ができませんでした。これらを除くとEPC-P202C23/24/25/30などの機種は、型番は異なりますがボディーは同じものでないでしょうか?魅力的ではありませんが、 皆それなりに優秀で、ボロン・カンチレバーのEPC-P202C は文句のないところです。その交換針は上記のどの機種でも使用でき、なんら変わらない音がしますので、興味のある方はお試しください。そのほか交換針では30ESの針がテーパータイプで、次位にあると思います。また交換針メーカーで、SAS針と云うボロン・カンチレバー・ML針と云うのがあるそうですが、未試聴です。

他社ではシュアー社が何機種かあり、現行のM92 E は元気のいい音で、今もって現行品で発売されています。最高機種のV15  LT V15MkⅣのスタビライザーを除いた物のようで、いつもながらの華麗な安定感のある音質ですが、むしろ価格の安いM-111Eがスタビライザーも付け、より安定な動作で、少なくともM97 LT よりお薦めできます。 

オーディオ・テクニカでは、AT-152LP が素晴らしい出来で、AT-150EのT4Pタイプと思っていたら、むしろAT-160MLに近いもので、うれしい誤算でした。それに比べ AT332EP は、AT33EのT4Pタイプのようですが、元々が真価を発揮する前の対応品ですので、及第点を超える物ではありません。その他のAT製品は、M社の並み品同様、無難ですが魅力は薄い品となります。 ただ今でも豊富に市場にありますので、いたずら半分にSP用の交換針を取り付け、鉛板で重量をつけると、元々針圧が一定を逆手に、気軽に交換できるSPカートリッジが作れるようで実用になります。

最後にオルトフォン社ですが、TMC200でもう他の物は必要ないと思えるほどです。MC200のT4Pタイプですが、T4Pにはこのクラスの物が皆無なだけに、いやでも目立ってしまいます。ただTMC200 SL-10での使用はお薦めしません、SL-715での使用で、良いMCアンプ搭載機での使用が前提となります。それでも一般アームで使用のMC200と比較すると、やはり物足りなさがあるのも事実ですが、フルオートの便利さで許してください。またMC200は普及して、まだ市場に あるようですので、ユニット交換も可能でその点でも最高に便利です。オルトフォンには、MCP-100superという機種もあり、MC型で出力も大きく使いやすいので、310MCの交換には便利ですが、TMC200とは比べようもありません。

 他にTM-30H は、LM-30HのT4Pタイプで、VMS型の最高級機です。柔らかいホールトーンで、何の抵抗もなく音楽に浸れる良さがあります。305U はMM型の普及機で、信じられない安価なカートリッジですが、低音の締りも無く広帯域ではありませんが、さすがオルトフォンという音楽的な音が魅力です。

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