RF type 第2号

第1号ができてから、振り返ってみて気がついたこと、その後に得られた情報などを参考に、第2号の製作を始めました。

反省点と改善方法

@製作技術の拙さからボディが設計より一回り小さくなってしまった。
 横板の曲げと切り出し方を変え、図面に忠実になるようにする。
 合わせて、組み立て方を外型に変更し作業をやりやすくする。
 さらに、現代ギター誌2010年1月号に掲載された桜井ギターの記事を
 参考に外形パターンを大きいものに変える。  
A球殻の凹形ジグを使うとテール部は胴厚が薄くなってしまう。
 横板、裏板の接合部は上記ジグで削るのをやめ、カンナで削り出す。

Bロゼッタを伝統的な細い棒を組み合わせて作る方法で作ってみる。


外形パターン(プランティージャ)


現代ギター誌(2010年1月号)に毛塚氏所有の桜井ギターマエストロRF2004の記事が掲載されました。ここに寸法、力木配置が紹介されましたので、これらを参考にしてボディー形状を変更しました。
汚れているのが第1号、白くきれいなのが第2号です
組み立て型(ソレラ)
第1号のソレラ 第2号のソレラ
フェンスの強度が少し弱かった。 外型と言われるタイプに改修しました。
表面板のふくらみを大きくするように、修正しました。
ロゼッタ
1mm角棒からロゼッタを作ります。

左より3グループは材料の角棒。
4から11グループはセンターモチーフを作るために板状に張り合わせたもの。
右より2グループはボーダータイル用に柱状に接着したもの。
角棒の張り合わせ状況。

接着剤は、水で薄めたタイトボンドです。
直定規の間に棒があります。
定規間の平行は、正確にきめています。

組み上げた棒(いわゆる金太郎あめ)を2mm厚さにスライスして仮組みをします。
スライス前に外径・内径差を吸収するように斜め削り(テーパー)しておきます。

周囲のタイルをはめ込んだ状態です。

中心のタイルをはめ込んで、表面板と面一に削ったところです。

デザインは、どこかで見たような気がします。教科書の例の通りです。

表面板

表面板ができました。
今回参考にした桜井ギターの情報より、フレタのブレーシングを採用し、マイナーチェンジをしたものです。

斜めのハーモニックバーが普通より1本多く、タコ足は9本あります。この断面が5×5mmで、カチカチの表面板です。

比較に私の標準の7本足のブレーシングを示しておきます。


しばらくして、この硬さが気になってタコ足のスキャロップを追加し、クロージングバーを3.5mmに削って低くしました

タップトーン、曲げともにラティスブレーシングに近い感じです。 ラティスの場合、それまでの知識で予測したのとは全く違った結果で、音量豊かに鳴りました。

不安が残りますが、ラティスブレーシングでの結果を信じて、進めます。
横 板
普通のギターでは、横板の表面側とたとえばWaistのラインは直交しています。
RFでは、表面板の角度の分が傾いて曲げなければなりません。
この傾き角度を、保持するために当て板を使用してみることにしました。

色の濃い部分が当て板で、薄い部分が横板になります。
上の画像で、曲げる際の傾きが良く分かると思います。

なんとかそれらしく曲げることができたようです。

ライニングを接着し塗装をして横板ができました。
上が通常のタイプ、下がRFタイプの横板です。
画像では違いが分かりませんね。

表板と横板の接着
表板と横板ができましたのでネックのブロックと接着します。
これら、3点を先の外型にはめ込みます。
型がしっかりしているので、作業はやり易いですね。
ブロックと横板は、ロマニリョス式の楔を使って固定します。楔と横板の接触面にだけ接着剤を使いました。

表板と横板をつなぐために、ペオネスという木片を使います。
これを一個ずつ、膠で接着します。
根気よく、あせらずにやるしかありません。

裏板の接着
ペオネスの接着をおえて塗装をします。
裏板を作り、ライニングに切り欠きを作り裏板のハーモニックバーがおさまるようにします。
表、裏の力木押さえ棒を作り、塗装して接着します。
完成した裏板です。
裏板を接着しているところです。
見た目にもちょっとひどい状況になりました。外型にはめて裏板を接着するのは、初めてで手元のクランプを総動員することになりました。
押さえ用の専用当て板と、カムクランプを増やす必要がありますね。

外型を使わない場合は、スプールクランプとゴム紐を使います。
型から外したところです。

この後少なくとも表側は、バインディングとパーフリングを取り付けないと、ネックが乗っかってくるので、後でできなくなります。

表のタップトーンは、硬いカンカンという音です。
すぐに減衰するようで、先が心配な感じです。
外型を作り、横板の曲げ方を工夫してやってきましたが、私の作業としても大きめのずれが、裏表ともに発生しています。
作業の改善が必要です。
バインディング・パーフリング接着
ボディーの角を欠きとって、ペオネス、ライニングを露出させてバインディングを取り付ける切り欠き部を、さらに表板、裏板を浅く欠きとってパーフリングを取り付ける切り欠き部を作ります。その後切り欠き部にこれらの部材を接着します。
ゴム紐を使って固定しているところです。
ネックが無いとこの作業は非常にやり難いです。2×4材にボディをのせて作業を行いました。
バインディングとパーフリングが付きました。
ここでタッピングして音を聞いてみます。
前よりも、音がやわらかくなって、サステインも感じられるようになりました。
先に、ちょっと希望を持って進めそうです。
ネック製作・取り付け
ヒールブロックがない状態で、普通のネックと同様にネックを作ります。
ヒールブロックと表面板の上に乗っかる部分が斜めの面になっています。
弦高を決める大きな要因です。図面に従って慎重に角度削り出します。

位置決めは、指板接着前に仮止めしたネック材に細い穴を貫通させて、決めた位置にピンを打ちます。
角度を決めるもう一方の印は、サウンドホールの小口面に墨付けしました。
仮止めして弦高をチェックします。
表面板からサドル頂まで10mmにすると、12フレットの弦高が4mmになるという測定結果です。この通りうまく取り付くといいです。
12フレットから上は、ネック取り付け前にフレットを打っておきました。
ネック取り付け後の弦高チェックで、弦高が低くなるようだったので、12フレットからナット側にかけて、0.2〜0.3mmくらいナット側が下がるように傾斜つけました。
フレットを打ち終えたところです。
12フレットから上は、ネックの端面の加工ができません。予め斜めに削っておき、後のネック削り面に、なめらに繋げるようにします。

ネック成形
目標のネックの厚さに1mmをプラスして9フレットと1フレットの部分の厚さを粗く削り出します。
12フレットのあたりでは、ネック横の斜め面との繋がりを、自然になるようにします。
ヘッドプレートとネック材の接合部です。
ネック材に厚いものを使いますので、こんな風になります。
これでは、接ぎ目が丸出しになります。
ネックの接合部は、削って厚さを調整したほうがいいようです。
ヘッド裏面の面を出した後、マホガニーの薄板を貼って、化粧しました。
1号で、経験していたので、マシンのロール穴位置は、この分を考慮して開けておきました。
荒削りが終了しました。
ネック厚は、1フレット(ナット側、以下同)で22mm、9フレットで24.5mmとしました。
ネック幅は、ナットで52mm12フレットで61mmです。
ブリッジ
ブリッジを作りました。
ウィング部の厚さ3mm(少し薄いですね。)、中心部のブリッジ厚さ7mmです。
サドル取り付け部に6弦側から1弦側にマイナス1mmの傾斜をつけてあります。
ロゼッタのセントラルモティーフと同じ模様の駒飾りをつけました。
完 成
やっと塗装を終えてブリッジ接着し、完成にこぎつけました。

塗装では、従来あったタンポ痕の曇りを解消したいと思って、タンポ痕が目立ってきたときには、油研ぎを行いました。途中3回実施しました。その結果かなりすっきりとした感じで仕上がりました。

一番大切な『音』ですが、残念な結果でした。板が「ペンペン」なる風で、心地良さに乏しいです。倍音が出ていません。
おそらく、表板のブレーシングで失敗していると思います。フレタタイプのブレーシングで、コートナルの図面の寸法で作りましたが、質量が大きく頑丈すぎるのが、原因と思います。


外観はかなりいい感じにできました。
ネックジョイント部のアップです。
ここだけ見るとよくできたと思うのですが・・・。

7pと12pにポジションマークを付けました。


また時間を見て挑戦します。
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