新ボディー形状650mm

新しくボディーの形状を設計しました。
ボディの持つ固有振動数を、今までのものより低くしすることを狙っています。

ブレーシングは、630mmで採用したトーレスのパターンです。

       ボディ形状の比較

画像は3つのテンプレートを重ねたものです。
手前から
@630mmのもの
A今までのもの(650,640に使用)
B今回設計
  Waistより下が一回り大きくなっていま  す。
  結果として、ブーシェの型によく似たも  のになりました。
  写真が悪く2枚目の形状見えません。
      ヘッドの形状変更

今までより、も少しすっきりとしたものにしたくて、変更しました。
中心で凹んでいた部分をとがらせただけなのですが、印象が一変します。
似たようなデザインはある様ですが、これにしました。
ネ  ッ  ク

ヘッドの出来上がりは、このように成りました。今のところ、いい感じだと思います。

フット部の状況です。
今までは90度にすっぱりと切り落とす形状でしたが、表板・裏板とネックの結合が、この方がよさそうな気がして、変えてみました。
加工は面倒になります。

表 面 板
ブレーシングは、トーレスのものです。
前回製作の630mmのギターと同じ配置ですが、ボディーサイズの拡大に合わせて修正しています。

ハーモニックバーとエンドを持って曲げた時に、ブリッジ一当たりから曲がるように、タコ足を成形しています。

ハーモニックバーのトンネルです。

ロゼッタは前回と同じデザインです。
周辺はこげ茶と白、中心は赤、黄、こげ茶、薄茶です。1mm角材と、0.5mmツキ板で作りました。

厚さ約3.5mmで型に切り出した状態の波形です。
C1+3CENT
ピークの出方がまだ粗く、音圧も低いようです。

表板製作最終時の波形です。
E3+36CENT
サドル位置で響棒の上を叩いた時、7か所で±10CENTに入ります。
前作630mmでは、F4#+5CENTでした。
ピッチを下げたかったので、意図は達成されました。

横  板
新しく作った曲げ型でまげました。
上は、失敗です。
加熱温度が低く保持時間が足りなくて、型から取り出した後で戻ってしまいました。
温度は130度です。

補足
型を作るときの配慮が足りません。
腰部は、完成時の型のカーブで作ってるのが間違いで、1,2cm深く曲げるようにしないといけないようです。
失敗した板を、再度ベンディングマシンで曲げ直しました。
ほぼ、2枚同じように曲がったようです。
まだ、完全ではなく、ベンディングアイロンで修正しています。
要改善点@WAIST部の押さえをもっと強く。
      A曲げ時の最高温度再検討
        150度位がよさそう。
        保持時間5分、完全冷却後取         り出す。
ネックと表板接着後、横板と表板をペオネスで繋いでいます。
ライニングは、凹型で成形すみです。
半径6000mmの球殻から成る裏板が横板のエッジと接する所を、図面化するのは難しく、この状態でこの現物から、横板の型を取っておきます。次回から作業はやり易くなります。
フット部ちょっと薄めに成りました。
見た目には、あと3mmないし5mm程厚いほうがよさそうです。
積層ブロックの各層の板厚1mm薄くすることとしましょう。
力木押さえ棒を接着します。
横板の作業が終わりです。
裏板の接着準備完了。
裏  板

裏板ができました。
木の小片は、力木押さえ棒です。木目は横板に平行にしました。

裏板の完成品の波形です。
タッピングの結果は、C3#+14centです。
裏板を接着します。
カムクランプを増やした方が、クランプ圧をコントロールし易そうです。
ボディーの出来上がりです。
製作途上でスリルを味わうことができる時です。どんな音かな?
タッピングの結果は、もうちょっと残響がほしいところですが、まあいい感じです。
バインディング・パーフリング
バインディングとパーフリングを取り付けるため、ボディーエッジを段状に、削り取ります。
ローズの横板が削り取られて、ペオネスが見えています。
表板には周辺が1.5o位の深さで段ができています。

接着中です。

目違いを掃った後、横板は全体にスクレーパーをかけて、表面を均します。

バインディングを取り付けた後の波形(スペクトル)です。
タッピングの結果は、G2#+5cent です。

表の下部太鼓の上では、G2#±5cent となりました。

630mmでは、A3−43cent でした。
指板・ネック

指板を作ります。
厚さ:6.5mm
幅 0フレット:51mm、12フレット:61.5mm
(緒止めでの弦幅:56mm)

ネックへの接着は、位置決めダボ(直径4.5mmの黒檀)を使い接着時の位置ずれを防いでいkます。
ダボ位置は、11フレットと1フレットです。

指板とボディーの中心を合わせています。
接着時のクランプの状況です。
接着後、予め切っておいた溝にフレットを取り付けます。
フレットの端を切除し、やすりで削って指に触れない様にした後、ネックを削ります。
わずかな厚さの変化、断面形状の違いが演奏時の、左手の感覚に影響するので、慎重に削ります。

1フレット、9フレット辺りで大まかな厚さと形状を削り出します。
その後、主に南京カンナを使いネック全体を削ります。

ヒール部やヘッドへの繋がり部はナイフを使います。

最後に、ペーパーで面を整えます。

ネック厚
1−2Fret間で、21.5mm
9−10Fret 間で、23,5mm
としました。
ブリッジ
ブリッジを作ります。
ブリッジの設計法・考え方については、分からないことが多いです。(他のことも、100%納得しているかと聞かれれば、ブリッジと同様です。)
改めて、参考例を比較検討してみましたが、意図がよく読み取れませんでした。
@ブリッジバー(ブーシェ)、駒裏補強 (たと  えばハウザー)を使う場合
A上記の部材がない場合
  に分かれる気がします。
Aの場合で、ロマニリョスの場合は、ウイングの端が、扇状力木のうえに乗るように成っています。意図してこうしているように感じました。
そこで、私もこのようにウイングの長さを決めました。
溝切りは、丸鋸盤を使っています。
飾りのコーナーの留切りは難しいです。

ブリッジの位置は、正確でなければいけません。位置決めのピンを使います

塗装
横裏は、LMI社のマイクロビーズ、サンディングシーラーを使って、目止めをしました。
余分な目止め材を除去して、#400までサンディングしました。
表板は、#600までサンディングしました。
木地調整が終わったところです。
セラックは、ボタンラック単用です。
約20回フレンチポリッシュしたところです。
5,6回ごとに油研ぎしてしました。
クリーニングが終わったところです。
クリーニング前に、油研ぎするときは、その後に薄いセラックでポリッシュして、研磨傷を均す方が楽にきれいにできます。
完 成
糸巻き(ロッコーマン510)を取り付け、ナットサドルを作って完成です。
ナットでの弦幅:41mm
緒止め弦幅:56mm
12フレット弦高 6弦:4,3mm
          1弦:3,7mm
1フレット弦高 全弦 25mil=0.635mm
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