あなたは、目の前に置かれた明らかに毒入りまんじゅうを食べる勇気がありますか?



普通は食べませんよね。自殺願望がない限り・・・。


でも、もしそれが人の善意によって与えられたものならば

そしてその人があなたが そのまんじゅうをおいしそうに食べるのを目の前で期待していたら


あなたならどうしますか?







今日は春休み


いつも通りの生活が始まりました。


私は朝の日差しを感じながら目を覚ましました。



春休みということもあって朝からインターネットをしました。



もちろん、普段はこんなこと許されません。



しかし、そんな行いも許してしまえる、それが春休み特有の雰囲気ではないでしょうか



私は行き付けのサッカーのホームページを回りました。



一通り見終わると私は受験生という身分もあって勉強を始めました。








このとき、一歩づつだが確実に恐怖が私に近づいているとも知らずに・・・。











勉強は行き詰まりはじめました。どうもはかどらないのです。




それに何故か体がいつもよりだるいのです。それにやる気も起こりません。











動物の中には未来の災害を予知できる動物がいます。


地震を知らせるナマズ



天変地異の前触れを知らせるネズミ





彼らは本能的に危険を察知できるそうです。




はっきりとは言えませんが私の体のだるさは


もしかしたら

 
一種の動物的な、そういわゆる野生の勘だったのかも知れません





気がつくと時計はちょうど12時を指していました。



すると、そこへおじいちゃんの声





「おーい昼飯にしようか。今日はステーキを買ってきてやったぞ。早く焼いておくれ」





ステーキ?私はその響きに心が踊ります。



わたしの家にとってステーキとは生活に程遠い存在で子供の頃はあこがれすら抱いていました。



ですから、大人になった今でもその響きに心が踊るのです。



私は夢中でキッチンに向かいました。

ステーキがたべたい。

ステーキが食べたい



そう心で叫びながら・・・。



すでに台所に面した食事の机にはおじいちゃんが座っていました。




「さぁ、焼いておくれ。きっとおいしいから。」



おじいちゃんはニコニコしてそう僕に話しかけました。



「うん、わかったよ。おもいっきりおいしく焼くから期待してね」





そう言うと僕はさっそく、肉を焼くことにしました



僕は幸せでした。ステーキが食べられると心が満たされていたのですから。
















そう、あの時までは・・・・。
















調理をしようと肉を手に取った僕はあることに気付きました。





それは、安すぎる肉の値段です。


1980円のステーキ用の肉が今日は特価で750円。














安すぎる安すぎるじゃないだろうか









それとも、俺が世知らずなだけで、世間ではこれくらいの値下げは当たり前なのか?


ただ単にこれは店の消費者に対するサービスなのか?





いろいろな事柄が俺の頭を駆け巡る。この値下げははたして・・・・。


いくらなんでも、いきなり1000円以上の値下げはおかしいのではないか。


もしかして店はこの肉をここまで値を下げてでも売りたい理由があったんじゃないか。


そう、赤字を覚悟してでも売りたい理由が・・・。





そのとき僕のなかである新聞記事が思い返された。





そして、僕は確信した。なぜこの肉はこんなに安くなったのか。


そう、この肉は恐らく・・・。








狂牛病侵されている・・・。


この仮説が正しければ全ての矛盾につじつまがあう。


ヨーロッパを中心に広がった狂牛病は今その猛威をふるい世界的な問題になっている。


狂牛病に侵された肉を食すことは人間のとって大変有害で危険であるから


ヨーロッパでは今牛肉の消費をみんな控えているのだそうだ。


またあまりに狂牛病が猛威を振るうためもし牧場に一匹でもそれに侵された牛がいたら検査なしに
その牧場のほかの牛たちも全部殺してしまうという。











もし日本に狂牛病に侵された牛が輸入されていたら、


そして、それを企業が安値で無知な市民に販売していたら・・・・。








目の前に置かれた肉を見つめ僕は不安になった。


そしておじいちゃんに聞いてみる。


「この肉大丈夫なの?」


「今日買ってきたばかりだ。賞味期限は心配ない。


「そうじゃないよ。安全なの?」


「ああ、もちろん大丈夫。日本産だからな」





その言葉に僕は胸をなでおろした。





日本産の牛に狂牛病はいない。





よかった。考えすぎてたみたいだ。いくらステーキだからって狂牛病の肉は食いたいくないもんね。





それに良く見ればお肉も新鮮そうだしね。


で、さっそく調理開始。


まずはお肉を取り出して・・・・。


そのとき、僕はいままでにない肉の感触に気がついた。











固い固すぎるぞこの肉








それに加えて めちゃくちゃ冷たいぞこの肉・・・。




まさか、この肉冷凍されているのでは・・・。







国産肉は冷凍されるのだろうか。。されるはずがない。




と、言うことで思いっきりこの肉が外国産である可能性がたかまる。





僕は様々な要素からみて明らかに狂牛病のこの肉を料理し食らうべきだろうか。


それとも、せっかく買ってきてくれた祖父の恩に感謝しおいしそうに食べるべきなのだろうか。


僕はひたすら答のでない自問自答に陥ってしまった。





食うべきか





食わざるべきか





なかなか調理を始めない祖父が僕に尋ねる


「早く肉を焼きなさい。お腹がへったよ」


その言葉に僕は揺り動かされる。


おじいちゃんの好意をむだにできない。


が、その思いと同時に「人間としての基本的、文化的な生活を保証した憲法25条が頭で駆け巡る。


あの肉を食ったら人間らしく生きていけないかもしれないんだぞ。








迷う





迷う





食うのか





あえて食わないのか





決まらない





決められない





だが、僕は一大決心をした。











「わかったよ。おじいちゃん。じゃぁ今から焼くね





こうして、僕は肉を焼き始めた。涙がでた。人間として摂取する最後の食事になるかもしれない。





発狂したらみんなに後ろ指指されるんだろう。


でも、いいんだ。おじいちゃんのためなら命を失ってもこわくない。


そして僕は肉を食らった






































疑惑の牛肉を食べて はや10時間が経過した。


あの肉がはたして狂牛病に感染していたかは定かではない。


しかし、ただ一つ言えることは・・・


ただ一つ言える事は・・・





























死ぬほど腹が痛えぇ