ある日、男が山に山菜をとりに出かけました。

男は山の中にどんどん進んでいきました。

今日はなぜかいつもより山菜がよくとれます。

「こんなに取れたのはひさしぶりだなぁ−」

そう言いながら男は知らぬ間に山奥へと進んでいきました。



日が暮れて男はふと気がつきました。



「もうお日様が沈んでしまった、もう帰るとしよう」



が、男は山菜取りに熱中しすぎたため帰り道をわすれていたのです。



「しまった。日も暮れて周りが良く見えんし、ここがどこかもわからない」



男は困ってしまいましたが今夜は山で野宿することにしました。






しかし、人間、一度 運を逃がしてしまうと




人生の歯車は





どんどん狂い始めてしまうものです





なんと、この日に限って山がだんだん冷え込んできたのです

半日で帰るつもりだった男は薄着で山へ来ていたためその寒さに身をふるわせました。



「ああ、しまった。こんなことなら早く帰れば良かった…」



こんな寒さのなかで眠ってしまっては男の命などひとたまりもありません。

男は「眠ってはいけない、眠っては行けない」と言い聞かせて

自分の意識を保とうとしましたが、とうとう力尽きバタッと倒れてしまいました。



男は薄れ行く意識の中で今までの人生を思い返していました。

楽しかったこと、悲しかったこと、切なかったことを…。



と、そのときです。一匹の大きな大蛇が茂みのなかから現れたのです。



男が力尽きるのを待っていたのでしょう、蛇は男の様子を観察し、

本人に活気がないことを悟るといきなり飛びかかってきました。



男は蛇がこちらに近づくのを分かっていましたが、もうどうすることもできませんでした。



蛇は男を完全に殺そうとしたのか男の体に巻きつきはじめました。





ぎゅう



ぎゅう



ぎゅう



ぎゅう



ちょっとづつですが確実に男の体に巻きつきます。



「ああ、へびが俺の体に巻き付いている。俺の命もここまでか…」

そう思った瞬間、男の意識は完全に消えてしまいました…。

































男はパチパチという火の音と暖かさに目覚めました。

「どうしたんだろう。俺は蛇に絞め殺されて食われたんじゃないんだろうか?」



不思議に思って男は自分の体を見てみるとびっくりしました。



なんと蛇がまだ男の体に巻きついたままなのです。



男はその状況に驚きましたが、しかし冷静になって考えて



何故自分が生きているのかを悟りました。



なんと



蛇が巻き付いてくれたおかげで体温が暖められ男は死なずにすんだのです。



「なんと言うことだ。てっきり俺を食うもんだと思っていたが俺をたすけてくれたとは・・・」







男の気配を感じたのか蛇は男の顔をみると締め付けていた体をするするとはずしてやりました



そして蛇は男を座りやすい場所へ移動させると男に食べ物を差し出しました。



夕方から飯を食っていなかった男はそれを全部平らげました。



そうすると男から蛇への恐怖心が消え去り、感謝愛着の念が生まれ始めました。



「蛇は、我々を食う怖い生き物だと思っていたが、俺を助けてくれた」



「なんと、ありがたい生き物なんだろう・・・」



蛇のさしだした、暖かい食事と、暖かい愛情に男は支えられ朝を迎えることができました。



蛇は親切にも気力の回復した男を元の帰り道まで案内してくれました。





「蛇さん。この度は本当にありがとうございました。蛇さんがいなかったら

 私は無事に山を下ることが出来なかったでしょう。心からお礼を申し上げます」



男が蛇にお礼を言うと蛇は」口にくわえていた山菜を男に手渡しました。



「なんと、命を助けていただいただけでなく、山菜まで持たせていただけるのですか・・・」

「本当にありがたいことだ。本当に本当にありがとうございます」



蛇は何度も頭を下げる男に背をむけ山道へと帰っていきました。



すこし、行ったところで蛇は振り返り男にこう言いました。

































じゃ