Flower Report


{6月の花}  梅雨時に花を生ける

(2007年6月22日奈良新聞より転載)

  

 花がそこにあるだけでほっとした気分になったことはありませんか?花には心に安らぎを与えてくれる不思議なパワーがあります。花を暮らしに添えることによって、花をより身近に感じてみましょう。このコーナーでは、季節の花を使って簡単にアレンジするコツをご紹介します。

 今回は“梅雨時に花を生ける”がテーマです。この時期は清涼感のあるすっきりとさわやかな印象に仕上げることがポイントです。そこで茎をいかして交差を強調したアレンジにしてみました。

まず器ですが、写真では透明のグラスを用いています。茎が水に透けることで透明感を演出しています。ご家庭にあるグラスやビン、ペットボトルの再利用でもかまいませんが、倒れやすい場合はビー玉など重りになるものを入れるとよいでしょう。花留めにもなり、生けやすくなります。

次に花選びです。今回はメインの花材として小振りで茎の細いタイプのカラー(白)を選びました。カラーは南アフリカ原産のサトイモ科で和名をオランダカイウといいます。水揚げが非常にいい花で、手で簡単に矯める(カーブをつける)ことができます。全体的にすっきりした姿が特徴で、モダンな印象になります。交差を強調しますので合わせる花もすっきりとした印象のブローディア(紫)、葉を間引いた姫ひまわり(黄)を用いました。全体の配色は白とグリーン(カラーの葉)でまとめ、紫と黄色を少量取り合わせています。

最後に生け方のポイントです。器は4つのグラスを左右不均等に配置し、横から見たときに一直線にならないように前後に奥行きをもたせて置きます。そしてまずカラーを生けていきます。カラーはそれぞれのグラスに1〜2本に分けて入れますが、交差させることで全体として1つの作品になるように構成しましょう。茎の長短をつけ、また交差させる角度も様々に変えるとリズム感が生まれます。茎をなでるようにやさしく矯めてみてください。他の花も同様です。花を前後左右に振り出して自由に生けます。花たちが楽しくおしゃべりしているようなそんな雰囲気を表現してみましょう。

この作品は、花数は少ないのですが、横幅1メートル、奥行き30センチメートルと非常に大きく仕上がっています。生ける空間に合わせて器の数を2〜3個に減らし、小花を用いてアレンジしてみてください。花屋さんでよく見かけるスプレータイプのカーネーション、トルコキキョウなども適しています。花を1〜3輪に間引き、葉も多い場合は少し取りましょう。また庭にクレマチス(テッセン)が咲いていれば是非用いてみてください。葉を整理して茎をすっきり見せるととても趣のある作品になるでしょう。

これから夏にかけて花持ちが悪くなりますが、出来るなら毎日水を替えてその度に茎を数センチ切り戻しましょう。花持ちがぐんと良くなります。

(使用花材)カラー(白)、カラーの葉(緑)、ブローディア(紫)、姫ひまわり(黄)

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