Flower Report


{10月の花}ハロウィン 
(2007年10月19日奈良新聞より転載)

 10月31日はハロウィンです。日本でも最近はいろいろなお店でかぼちゃや魔女、お化けをモチーフに黒とオレンジのテーマカラーで飾り付けをしているところが見られるようになりました。ハロウィンとは万聖節(キリスト教で毎年11月1日にあらゆる聖人を記念する祝日)の前夜祭です。古代ケルトが起源であり、秋の収穫を祝い悪霊を追い出すお祭りでアメリカなどではポピュラーな行事として定着しています。

 ちょっと不気味で怖いイメージのあるハロウィンですが、お祭りとしての遊び心を合わせたこの時期ならではのアレンジメントをご紹介します。

 今回は上に向かって伸びる高さのあるアレンジメントです。器は黒で四角く高さが14センチメートルと少し高めです。高さのあるアレンジメントに仕上げるときはこのようなある程度の高さがある器のほうが全体的にまとまりやすくすっきりします。器にはスポンジをセットしておきます。

 まず今回の主役であるタニワタリを生けていきます。タニワタリは日本南部、台湾原産で主に樹上に着生する常緑性のシダです。生け花にはよく使われていますが、今回のようにフラワーアレンジメントに取り入れても非常におもしろい印象が出せます。手で矯めるか、もしくは葉の裏に18番の太さのワイヤーをテープで留めてタニワタリにカーブを付けます。それを2枚用意し高さを変えて生けます。器のすぐ上の中心部には23重に丸めてホッチキスで留めたタニワタリを二つ入れています。タニワタリを造形的に入れることで生き生きとした躍動感とハロウィンのちょっと不気味な感じも出して見ました。タニワタリの長さや太さに応じていろいろなバリエーションが考えられると思います。葉からインスピレーションを得ていろいろ工夫して遊んでみるのも楽しいですね。

 タニワタリに沿うようにオレンジのガーベラ、紅アオイを生け、右下には赤く垂れ下がる姿が特徴のケイトウ(ホットチリ)を器からこぼれるように生けています。中心部には黄色と赤茶のカンガルーポー(花の形がカンガルーの足に似た花材)を生けて軽やかさを出しました。

 全体の高さは65センチメートルと高く大きなアレンジメントですが、タニワタリという特徴のある葉を主役に使っているので、花材は少なく全体にすっきりとした印象に仕上げています。ハロウィンの象徴的なものの一つであるかぼちゃとともにお部屋に飾ってハロウィンの雰囲気を楽しみましょう。

(使用花材)タニワタリ、ガーベラ(オレンジ、黄色)、紅アオイ、ケイトウ(ホットチリ)、カンガルーポー(黄、赤茶)

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