Flower Report


{1月の花}初春
(2008年1月18日 奈良新聞より転載)

 お正月を過ぎますと、早くもこの時期から春の花がお花屋さんに並び始めます。チューリップ、水仙、スイートピーなどが代表的な例です。特にチューリップは1月下旬から3月初旬にかけて品種も非常に多く出回り、まだ寒い時期ということもあって本来咲く春よりも長く楽しむことができます。新年のスタートとして今月は一足早い春を部屋に取り込んで、花のように明るく華やかな一年となるように花を生けてみましょう。

 今回は扇形の構成で和の雰囲気を取り入れたモダンなアレンジメントです。扇形を構成する花材は近年人気急上昇中のレッドウィローです。

レッドウィローは鮮やかな赤色で、イランの―30度まで冷え込む海抜2000mの山奥が産地の珍しい花材です。柳の一種でとても寒さに強く、曲げても折れない丈夫さ、硬くてしなやかな繊維質の枝を持っているのが特徴です。自由自在に構成できるのでデザイン性に富み創意工夫ができる注目の花材です。ただあまり出回っていないので、ないときはサンゴミズキか細い柳で代用しましょう。 

 高さ15センチの黒の器にスポンジをセットします。レッドウィローのしっかりした部分を長さ45センチで5本用意します。これを一本ずつ扇の縦軸となるようにスポンジにしっかり挿していきます。上部の最大幅は60センチです。横から見たときに一列になるように注意しましょう。次に横軸4本を下から順に入れていきます。しなやかな曲線を生かして入れ、縦軸との交差部分に30番の細いワイヤーで留めつけます。これで骨格は完成です。今回はレッドウィローの赤に対して銀染めの細い柳を装飾的に曲げて扇を華やかに飾り付けました。

 さらに花で扇に彩を添えていきます。扇の形に添うように前後、自由に生けていきましょう。写真の作品ではオレンジ系で花形の違うチューリップ3種を手で矯めて曲線を生かしています。すっきり見せるために余分な葉は取りましょう。白のスィートピーは茎の中に24番のワイヤーを入れて矯めています。花材を長く用いて作品全体の中で交差がたくさん見えるように生けていることがポイントです。花達が楽しそうに笑っているようなそんな気持ちで生けてみましょう。足元は短い枝若松と千両でまとめて和花と洋花のコラボレーションの完成です。

春の花は色も鮮やかで春の香りも運んできてくれます。まだまだ寒い日が続きますが家の中で春を待ちわびつつ花を飾って春の風を感じてみましょう。

(使用花材) レッドウィロー、柳(銀染め)、チューリップ3種(オレンジ、黄、朱色)、スィートピー(白)、千両、枝若松

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