Flower Report


{3月の花}春爛漫
(2008年3月21日 奈良新聞より転載)

 寒さの厳しかったこの冬もようやく終わりを告げ、春の日差しが降り注ぐ気持ちのいい季節になりました。あちらこちらで花のつぼみが膨らみ始め、春のモード全開です。今回は春爛漫をテーマに春の花をたっぷり用いてアレンジしてみましょう。

 生け方は投げ入れです。これは水を入れた器に茎を互いに交差させて花を留めていく生け方です。口があまり広くなく適度な深さの器を選ぶと生けやすいでしょう。写真の作品では高さのあるガラスの器に生けて透明感を出し、春のみずみずしさも演出しました。

 花材はラナンキュラスをメインに器の上で丸く構成し、曲線が美しいコデマリを器からこぼれるように生けています。

 ラナンキュラスは別名をハナキンポウゲといい、花弁が幾重にも重なり,ボリューム感のある花です。赤,ピンク,黄色,オレンジ,白と花色も豊富です。茎が太く留まりやすいのでこの花から生けていきましょう。水に葉が浸からないように下の方の葉を取り除きます。途中で花が動くこともありますが全体のフォルム(形)が丸くなるように意識してどんどん入れていくと次第に花が固定されてきます。ラナンキュラスが入ったらアリストロメリア、スイートピー、フリージアを色のバランスもよく見ながら入れていきましょう。茎を長く用いることで空間も取れ全体的にふんわりとボリュームのあるアレンジになっていきます。

最後にコデマリを器からこぼれ落ちるように生けて完成です。コデマリは別名をテマリバナといい、直径810ミリの白花が鞠状に咲き,穂状になって美しく垂れ下がる姿が特徴です。水揚げが悪いので切り口を深く裂いておくことが大切です。

 たくさん花の入った投げ入れでは水を頻繁に換えることができません。そのため最初器に水を入れるときに適量の延命剤を入れておくと水も腐りにくくなり花も長持ちします。最近は花屋さんに売っていますのでぜひ試してみてください。

 黄色やオレンジ、赤など色とりどりの花をふんわりと生けたアレンジを飾るだけで部屋が明るくなり気持ちもうきうきしてきます。花を通してお友達や家族との会話を楽しみましょう。

(使用花材)ラナンキュラス(黄、オレンジ、赤)、コデマリ、アリストロメリア(オレンジ)、スイートピー(黄)、フリージア(朱赤)

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