Flower Report
{6月の花}涼感を呼ぶアレンジメント
(2008年6月20日 奈良新聞より転載)
雨の降り続く梅雨時は部屋の中もどことなく暗く感じてしまいがちですがそんなときこそ花を飾ることをおすすめします。梅雨のうっとうしさを吹き飛ばすようなさわやかで清涼感のある花を生けてみましょう。
また梅雨という日本ならではの気候に合わせて花も和ものを何種か取り合わせて少し和風の印象を出すのもいいと思います。
今回は庭に咲いていたテッセンをメーンに使いました。テッセンの原産地は日本、中国、南ヨーロッパ〜東南アジアと広範囲に渡り別名をカザグルマまたはクレマチスといいます。つる性または直立性の多年草で枝先に華やかな花を咲かせます。花色は紫、白、ピンク、黄、青などがありますが今回は白を使いました。
清涼感を出すためにグラスに水を入れて生けていますが花留めがないとテッセンは思った位置にうまく留まりません。そこで約60センチのトクサを10本程平らにまとめて編んだものを2つのグラスに乗せて花留めとしました。このトクサは花留めと同時に作品に横の流れを出す役目もしています。トクサは細く竹のような形をしていて日本の庭でも下草としてよく見られます。いけ花やフラワーアレンジメントではこれを束ねたり折り曲げたりして作品全体の構成を決めるのによく用いられます。
テッセンの花の向きを見ながら左右に流れるように生けていき、つるや葉も生かして動きを出します。リキュウソウを一本長く使うことによってさらに動きをプラスしています。彩として水色のアジサイを小さくまとめて入れ、赤のアスターを数輪、ベルのような形がかわいらしいサンダーソニアも少し入れました。
テッセンは茎が細く強いことから漢字では「鉄線」と書きますが、そのイメージとは反対に花は清楚かつ華やかです。テッセンを生けるときは取り合わせる花の種類、数を抑えてすっきり仕上げるのがポイントです。全体をより和風に仕上げたい場合は器を竹製のものや素焼きの器に替えてもいいですし、キキョウやナデシコなどを取り合わせてもいいでしょう。
梅雨の時期こそ花を暮らしに取り入れて気分をリフレッシュしてみませんか。すがすがしい晴れやかな気分になりますよ。
(使用花材)テッセン(白)、トクサ、アジサイ(水色)、サンダーソニア(オレンジ)、アスター(赤)
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