Flower Report


{11月の花}籠に花を生ける
(2008年11月20日 奈良新聞より転載)

 11月半ばを過ぎ紅葉の美しい時期となりました。今回は小さくてかわいいオレンジ色の実をつけるツルウメモドキに茎や葉が赤いトウゴマと合わせて深まり行く秋を表現したいと思います。

生ける器は籠です。籠は素朴で自然な雰囲気を出したいときに非常によく合います。今回は籠の中に水を入れる筒が入っているものを用いています。籠の器は軽いので花を生けると倒れてしまうことがあります。そこで筒の中に小石を入れて重りにしています。籠にはさまざまな形、サイズのものがありますので水を入れて花を生けるときにはそういった注意が必要です。

花を生けていきましょう。まずツルウメモドキとトウゴマで構成していきます。ツルウメモドキは落葉性のツル植物で、日本全国、朝鮮・中国に分布しています。葉の形や若枝がウメに似ているのでこの名があるそうです。ツルウメモドキの果実は直径78mmで、弾けると赤い実が現れます。軽やかな印象があるので曲線を見せて動きを出すようにするといいでしょう。トウゴマは葉の形が見えるように生けていきます。赤い葉が全体を引き締め紅葉の木々を連想させます。この二種類が入ると、これを花留めとしてあとの花が入れやすくなります。赤やオレンジ色の花材に対比して白い秋明菊(シュウメイギク)を風に揺れるように入れてきます。伸びやかに生けましょう。そして淡い紫色の段菊(ダンギク)を中心付近に少し入れます。

 この籠は和の雰囲気ですので全体的に和のインテリアによく合うように仕上げました。自然素材で作られている籠を用いる場合はあまり装飾過剰にならないようにし、花材の種類も少なめにあっさりと生けるのがいいでしょう。また軽い印象の器ですので合わせる花材も線の細い軽やかな印象のものがよく合います。

 籠には和、または洋の雰囲気のもの、高さがあるもの、低いもの、丸いもの、四角いものとさまざまです。籠の特長を生かしながらそれぞれの花材の花や葉の向き、枝、茎の様子をよく見て器と一体感が出るように自然的に入れましょう。

手作りの籠もよく出回っていますね。お気に入りの籠があればぜひ花を入れてみましょう。

(使用花材)ツルウメモドキ、トウゴマ、シュウメイギク、ダンギク

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