Flower Report

｛１月の花｝新春を祝う花
（２００9年1月22日　奈良新聞より転載）

　新年がスタートしました。事始の一月は希望を持って明るい気持ちで過ごせるように花から元気をもらいましょう。今回は運気が向上することを願って上昇形態の花をご紹介します。シンプルですが凛とした印象に仕上がり、新春を祝う花としてふさわしいと思います。

　全体的に和の印象にしたいので器も和風のものを選びます。写真では家にある小鉢を利用しています。食器など身近なものを利用すると部屋との調和もいいと思います。再び食器として使う場合は吸水性スポンジをセロファンなどで包んで器が汚れないようにしましょう。

　今回のメーンの花材はストレリチアです。別名ゴクラクチョウカ（極楽鳥花）ともいい、南アフリカ原産です。花形が鳥のような独特の形をしておりオレンジ色や青紫色の鮮やかな色彩も目を引きます。茎も長いのでそれを生かしてのびのびと生けましょう。上に向かって飛び立つようなイメージです。次にショウリュウマツ（昇竜松）を入れましょう。このマツは竜が天に昇って行くかのように茎にうねりがあります。この茎のうねりを生かしながらゴクラクチョウカに沿うように上に向かうように生けましょう。ストレリチアの葉を入れて縦のラインをさらに強調します。最後に足元を締めていきましょう。上に向かう形を強調したいので足元は広がり過ぎないようにコンパクトにまとめます。難を転じる意味を持つ南天の実と葉、そして財運も付くことを願って千両も入れましょう。

　ストレリチア、マツともに個性のある花材なので花数はあまり多くせずすっきりと仕上げることがポイントです。器の下にはお盆やランチョンマットなど何かを敷くと作品全体がさらに引き締まります。

　今回の花材は水揚げがいいので長く飾っておくことができます。ストレリチアは一つの花が終わっても苞（ほう）の中の次の花を引き出せば、また楽しめます。なにかと暗いニュースが多いですが新春ならではの華やかな花を飾って気分をリフレッシュさせましょう。

（使用花材）ストレリチア、ショウリュウマツ、南天、千両