21世紀に間に合いました!
〜オーストラリア“
珍”婚旅行記〜



第4話

26日 〜「飛んで飛んで」ケアンズ1日目〜

 飛行機はまず、ブリスベーンに着いた。ここで乗り換えだ。ただでさえ一緒のツアーの人が私たちを含めて4組8人しかいなかったのに、私たち以外の人たちとは、ここでお別れとなった。みんなシドニーかゴールドコーストへ行ったのだ。そういえば、出発前に行ったいつもの散髪屋(美容室)の店長さんが、

「ケアンズは田舎やで。釣りする人しか行かへんで。」

というようなことを言ってたぞ。これは選択ミスか?

(まあ、ええわ。とりあえず次の飛行機を待とう。)

 たった2人のために、現地案内のおねえちゃんは、朝も早よから待っててくれた。国際線から国内線への移動のためだけに、現地時間朝5時過ぎから。ごくろうなことだ。(ちなみに、オーストラリア時間は日本時間プラス1時間)若いそのおねえちゃんも偶然名前は「高橋」だった。

 2時間ほど待って、ケアンズ行きの飛行機に乗り換え、約2時間のフライトで無事ケアンズに到着した。

 ケアンズ空港は「国際空港」と銘打っている割には、なんとも田舎くさい。まあ、国内線の方だったからかもしれないが。しかも暑い。さすが熱帯地方だけはある。日本からの続きで長袖を着ていた私は、さすがにつらくなった。袖をまくりつつ、案内の人に連れられてホテルへと向かった。

 ケアンズは、つい最近まで雨ばっかりだったそうだ。それもどしゃぶりの大雨が連日続いていたとのことだった。しかし、私たちが着いたときには、そんな様子は全く感じられなかった。(ひょっとして、オレらラッキーちゃうん?)

 ホテルに着くと、そこはなんともゴージャスなホテルだった。そこまでの道のりは田舎の風情が漂っていたが、このあたりはリゾート地の雰囲気がいっぱいだ。ええとこやなぁ〜。

 荷物を置き、ちょっと部屋でくつろいでから、午後は半日市内観光バスツアーに出かけた。

ガイドさんは陽気なオーストラリアンだった。名前はアンソニー。日本にも何年か住んだことがあり、奥さんも日本人だそうだ。日本語もうまい。コギャル語までをも使いこなしていた。

  植物園に行ってめずらしい蝶を偶然見れたラッキーの後、動物園に到着。といっても、ちっちゃいとこだが。ここでの目玉は「コアラ抱っこ」だ。話によると、オーストラリアでコアラを抱けるのは、もうこのケアンズのあるクイーンズランド州だけで、ここもあと半年で禁止になるのだそうだ。ということは、ラストチャンスか?などと思いながら、抱っこして写真を撮った。コアラの毛はなんか使い込んだカーペットの毛のように、ごわごわした感じだった。でも、やっぱりかわいかったなあ。

 その後、羊の毛刈りショーを見て、少しだけ毛刈りも体験させてもらった。大人でやったのは私だけ。しかも、係の人は私の時だけ「お約束」をした。バリカンで指を切ったというパフォーマンスだ。

(なんや?オレのせいってか?おいおい。)

肩をすくめてみせる私であった。

 次に寄ったのが、バンジ―ジャンプ。今や世界中のあちこちで行われているバンジ―だが、ここはその元祖ともいうべき人が作ったところらしかった。しかも、足首だけにゴムを巻いて高さ約40メートルから飛ぶというもの。(まあ、見学や)とたかをくくっていたのに、一緒にツアーに参加してた人が、ガイドさんにのせられて、次々と参加申し込みをしていく。困った、どうしよう。私の心が揺れた。

 実は私は以前、知多半島でバンジーを経験している。だからまあ行けんこともないかなとは思っていた。しかし、なにも新婚旅行で飛ぶことはないやろーとも思ったので、ためらったのだ。しかし、結局最後には飛ぶことにした。

 費用は思いのほか高かった。現金で支払うにはあまりにも「大ピーンチ」なので、そばにレイクエンジェルがいなかったこともあり、VISAカードのお世話になった。

 手続き後、いよいよ階段を上っていく。そして一段ずつ上るごとに、

(ああ、やっぱりやめときゃよかった・・・。)

という後悔が押し寄せてくる。やっぱ怖いでーこの高さはー。

とうとう頂上に到着。下を見ると、うげぇ、たっけぇー。でもしかたない。覚悟を決めてハーネスを取り付ける。写真を撮ってもらっても、どこか顔が引きつってしまう。なのに、係のにーちゃんたちは陽気だ。なんでやねん!

飛び込み板に立った。すると、ロープ、ゴムの重みで、ずるずると奈落の底へ引きずり込まれていく。やっべー。ぐっと足に力を入れてふんばる。横ではガイドさんや係のにーちゃんが、カメラの方を向けと言っている。あっほー、そんな余裕あるかい!でも、なんとかポーズを取る。撮影も終わり、さあいよいよか・・・って、おい!もうカウントダウン始まっとるやんけ。えーわい。行ったれえええぇぇぇぇぇぇぇぇ・・・・・・・。

飛び込みは失敗だった。やはり最後の最後まで腰が引けてしまった。よって、くるくる回って人形状態。もう、なされるがままだった。

帰りにビデオをもらった。確認で見たがなんともなさけない姿が映っていた。まあええか。生きてたんやし・・・。

 バスは帰りにパーム・コーブビーチに寄った。きれいな海岸線が続き、海水浴には絶好のポイント・・・なのだが、ガイドさんの話では、泳げるのはブイで囲ってある狭い範囲のみとのこと。なぜなら、毒クラゲが出るから。刺されたら15分以内に処置をしないと死ぬそうだ。注意を促す看板があるにはあったが、小さすぎてめだたない。

(これじゃあ、毎年死人が出るわな。)

 その後、ガイドさんの発案で童謡「チューリップ」の大合唱をしながら、バスはホテルに帰ってきた。予定時刻をずいぶんオーバーして。

 その日の夜はカジノのあるホテルでのショー見学つきディナーだった。豪勢な食事と、楽しいショー、そして帰りにカジノをのぞき、スロットをちょっとだけしてホテルに戻った。


・・・つづく・・・