世紀末「はじめて」物語


第1話



1999年。

巷では、ノストラダムスが騒がれていた。

「七」の月に恐怖の大王が降ってくる事を知り、

生き残れるのか心配していた小学校時代。

それでも、まだまだ先の話だと思っていた。

ところが・・・

気がつけば、すぐ目の前に1999年。

1000年代最後の年。

時はまさに世紀末だ。そして、私も20代終盤。

来るべき新しいミレニアムと新世紀を、

ちゃんと迎えられるのだろうか。

そんな心配をあおる「予言者」たちが、

連日テレビをにぎやかしていた―――。



7月が過ぎ、何事もなく8月、9月も過ぎた。

そして、2000年の年明け・・・


「予言者」どもよ、どう責任取ってくれるんじゃ!

*    *    *


 そんなわけで、なんの心配もなく今を過ごしている私ですが、1999年は、この歳になって人生初めてという経験をたくさんしました。まだまだ、私も青二才ということですな。

 そこで、今回の『夢』は、このネタでいくことにします。大掛かりな事からくだらないことまで、いろいろまざってますが、まあ、気にせんといてくださいね。



「はじめて」その壱 〜スノーボード〜

 スキーを始めたのは、高校2年に上がる直前。中3の同窓会を兼ねて、ハチ高原へ行った。それ以来、特に大学以降は毎年必ずスキーに行き、もうかれこれスキー歴10年以上になっている。だから、まあそこそこ滑れるのだが、ここ最近自分の技術に限界を感じていた。ちょっとアキてしまってたのも事実である。

 そんなこのご時世、世間ではボードが大はやりだ。下北山村保小中若者チームのみなさんも、すっかりボード派になっていた。興味はあるんだけど、けがが恐い。そんな二の足を踏みつつ、なかなか手出しをしなかった私が、新年そうそう初めて北海道スキーに行く事になったのである。

 初めて味わうパウダースノー。これなら、こけてもけがしにくいし、滑りやすそうだ・・・。

 きっかけなんて、ささいなもの。3日間の日程のうち、1日だけボードを借りてやる事にした。そして、どうせやるんだったら、始めはきちんとスクールで教えてもらおうと思い、まる一日スクールで「板のつけ方」「こけ方」「リフトの乗り方」など、基礎の基礎から教えてもらったのだ。

 結局、このシーズンはこれ1回きり。でも、今シーズンはボード一本に絞るつもりだ。年明けのニセコで、ちゃんと連続ターンもできるようになってきた。家族連れでにぎわうダラダラとした初級コースを、喜んで何本も滑り降りていた私である。

「最高ですかー?」

「最高でーす!」

 ちなみに決意の表れとして、ボードウェアー、ブーツ、グローブなど、総額約10万円のボードグッズも買い揃えた。

 もう、逃げられないのだ。やるしかないのだ。まあ、これからしばらくはハマッていることだろう。



・・・つづく・・・