世紀末「はじめて」物語


第3話



「はじめて」その参 〜デジタルな生活〜

 金遣いが荒かった1999年。荒かったといっても、無駄な出費ばかりというわけではない。たまたま、値のはる物ばかり買ったというだけのことだ。特に映像、音楽方面には金をかけた。

 まず、パソコン。もともと買うつもりではいたのだが、どんな機種にしようか迷っていた。そんな折、6年生を送る会でうちのクラスはビデオドラマを制作した。その時の編集は、学校にある機材だけではめちゃくちゃ手間がかかり、おまけに私の性格も手伝ってものすごく時間がかかった。そして、自分が頭に思い描いていた事の60パーセントほどの完成度で妥協せざるを得なかった。だから、パソコン選びの条件として、「動画編集をしやすいもの」を加え、ソニーのバイオを購入したのである。

 その後は、ビデオ編集のための買い物が続いた。編集用ソフト、デジタルビデオカメラ、アナログ‐デジタルコンバーターなど。夏休みには、実家でこれらの機材を使ってビデオ編集の研修を積んできた。以前納得のいかなかったビデオドラマも「特別編」として再編集し、2学期の始業式の日に子どもたちに披露した。この技術を来たる卒業式でも発揮したいと思っている。(そんなえらそうな事言えるほどではないが・・・)

 また、パソコン購入と同時にメールも始めた。始めは「アウトルック」でやってたのだが、ひと月ほどで友達が勧めてくれた「ポストペット」に切り替えた。CMでもやってた、ペットがメールを運ぶというあれ。よく調べてみたら、バイオにインストールされていたので、使ってみることにしたのだ。

 メール生活も10ヶ月になり、始めは2、3人だったメール友達も今や30人ほどになった。N岡先生やI田先生もポスペユーザーなので、時々やりとりをしている。春の校外学習の頃は、しおりを作成した後、できたやつをメールに添付してN岡先生にチェックしてもらい、再びメールで送ってもらうなんてこともした。こんな使い方もできて非常に便利。また、メールを始めて連絡のつけやすくなった友達もいるし、前の学校の教え子(現在高2)や、うちのクラスの保護者や子どもともメールのやりとりをしたりして、いろいろな情報が入ってくるようになった。だから、毎日のようにメールを送っている。その代わり電話することは激減した。(でも、通話料はインターネットしてるから、以前と大して変わらない)

 私の人生を大きく変えた出来事も、このメールによってもたらされたのだが、それはこの場では内緒ということにしておこう。

 音楽方面では、下北山へ転勤してきた時(5年前)以来、久しぶりのオーディオ、MDコンポを購入した。

 日本橋で購入し、下北山へ持って帰ってきてまずはCDを聴いた。さすがにメーカーがオンキョーだけあって、小さいのに音はかなりいい。音質、操作性、発展性にこだわって少し高めのものを買ったが、満足のいくものだった。

 MDは時間があるときにじっくりいじくろうと思い、1週間後、初めてMDを挿入した。さあ、CDをダビングしてみようかな。わくわくして説明書を見る。が、どうもおかしい。全然動く気配がない。とりあえず、もう一度最初からやりなおしてみるか。イジェクトボタンを押す。ん?MD出てけえへん。

 ・・・私のMDコンポは、MDを一度も操作することなく、オンキョーのサービスセンターへ送られる事になった・・・。

 修理から帰ってきた後は順調そのものだが、車にMDを積んでないので、まだほとんど活用していないのが現状である。家でCDを聴く事もあまりないので。今はもっぱら朝の目覚まし代わりに使われている。毎日午前5時半から1時間、バンドメンバーにダビングしてもらったイエローモンキーがMDで流れている。



・・・つづく・・・