休日はバイクに乗って・・・
〜普通二輪免許取得奮戦記〜



第2話



【出会いから…】


 忘れてしまっていた思いがよみがえってきたのは、下北山に来てからだった。転勤とともに運命的な出会いがあった。私の人生を大きく方向づける出会い―池ちゃん(注1)との出会いである。池ちゃんは友達のたっつん(注2)とともに、バンド「ロズウェル」を結成し、私もドラムとして参加した。そして彼らはことあるごとにいろんな遊びに誘ってくれた。そんな中で二人からつねづね言われていたのが、

「たかはしくん、バイクの免許取れよー。」

だった。

二人はすでに免許を持っていて、夏には毎年ツーリングに出かけていた。もし私が取れば、三人でツーリングに行けるのである。彼らはそれを望んでいたのであった。しかし、

「いやー、金ないっすよ。取りに行くヒマもないっすよ。」

と、いつも決まって答えていた私だった。

ところが、ヒマができてしまったのである。1996年の夏休みは大阪で本ばかり読んでいた。(理由は次回連載作品を参照)そして、1997年の夏休みも特にこれといった予定がなく、大阪でぼけーっとするのかなあと思っていた。

                    *    *    *

 6月の終わり、ロズウェルの練習がいつもの桜井のスタジオであった。そのあと3人でマクドへ行った。バリューセットを食べながら、もうすぐ夏休みやなあというような話をしていた。その時、私の頭の中に(大阪へ帰ってもすることないなあ)といった思いがよぎったのである。

「・・・バイクの免許でも取ろうかなぁ・・・。」

ふと、こんな言葉を口にした。独り言のつもりだったが、二人が聞き逃すはずがなかった。

「おお!それはええ!」

 ハンバーガーをおかわりしたあと、練習日程から試験場へ受けに行く日取りまで、着々と段取りを話し合ってくれる二人であった。その話を聞きながら、私はしだいにがんばって取ってみようと意欲がわいてくるのを感じていた。


     (注1)「池ちゃん」とはこのHPの掲示板でもおなじみ、ロズウェルのボーカル「チャーリー」氏のことである。
     (注2)「たっつん」とはこれまたおなじみ「モルダー巽」氏のことである。



・・・つづく・・・