休日はバイクに乗って・・・
〜普通二輪免許取得奮戦記〜



第6話



【チャレンジ partW】


 9月11日木曜日。この日は出張だ。午後2時半から中荘小なので午前中は学校に居れるのだが、試験を入れさせてもらった。よって、前日のうちに山を下り、橿原の先輩の家に泊まった。そしてやっぱり午前2時ごろまで飲んでしまった。

 午前8時過ぎ試験場に着き、いつものように手続きをする。受付の係の人が私の住所を見て、

「何時に起きてきたん?」

と聞いてきたが、

「大学時代の先輩が橿原に住んでいるので、昨日そこに泊めさせてもらって、今朝7時過ぎに起きて来ました。」

などと、くどくど説明するのがめんどくさいので、

「5時過ぎです。」

と、適当なことを言った。しかし後になって、あんなうそをついたら神様が怒って合格させてくれんかもしれん…と不安になった。あぁ神様どうかお願いします。


 試験は2番目にスタート。順調な滑り出しだったが、この日6回目にして初めてのBコースだったため、コースを間違えないか心配で緊張していた。(今まではずっとAコース。)
 そして失敗した。それも今まで1回も失敗したことのないクランクで。バランスを崩して足を着いてしまったのだ。

ああああああああ・・・・・・・

 声にならない叫びが心の中にこだまする。しかし次の瞬間、冷静に考えた。

(出発点に戻れという無線が入らんぞ。ということは、まだ行けるのか?)

落ち着け落ち着けと自分に言い聞かせ、不思議なくらい冷静にその後のコースを駆け抜けた。さあいよいよ最後の急制動だ。

 急制動とは、40キロまで加速してブレーキをかけ、ライン手前で止まるというものである。この時スピードが速すぎても遅すぎてもいけない。メーターを見ながら加速し、そしてブレーキをかけ止まった。

「スピードが出てないから、もう1回やって。」

無線から試験官の声がした。慎重になりすぎていたようだ。…ちょっと待てよ。やりなおしっていうことは…。

「・・・急制動でスピードが出てなかったりしても、合格できそうであれば、1回だけやり直してもらいます・・・。」

確か、試験前の説明で試験官がそう言ってたぞ。ということは、合格できるかもしれんぞ!こんなことを考えながら、外周を回り急制動2回目に入った。今度こそ…。


 出発点へ帰ってきて試験は終わった。あとは結果を聞くのみ。試験官の所へ急ぐ。

「失礼します。」

部屋に入って、恐る恐る前の机を見ると登録票がない。背中を向けていた試験官が口を開いた。

「下北山には仕事で行ってるんか?」

意外な質問だったが、もともと大阪出身で、今は下北山で小学校の教師をしていると告げた。そして…。

「おめでとうございます。」

という言葉が返ってきた。合格。ついにやった!喜びのあまり、大声で叫び、ガッツポーズをする私であった。


     6回目費用…受験料3500円


 技能試験は終わった。しかしこれで免許がもらえるというわけでもない。講習を受けなければならないのだ。危険予測講習である。10月4日に法隆寺自動車教習所で受けることにした。

 講習は話を聞くだけやろーと甘く見ていたら、ヘルメット持参となっていた。実習もあったのだ。

 受講者は、私とあともう1人の計2人。講師の教官はイヤラシイ奴だった。「飛び込みで免許取った奴なんて、たいしたことないわな。」という態度で人を見下してくる。バイクに乗っての実習では、「教習所ではこんな練習もすんねんぞ。どうだまいったか。」と、曲乗りを強要してきた。ジャズと試験場のバイクしか乗ったことない奴が、立ち乗りなんかできるかー!イメージトレーニング(注)でもそんなことせんかったわい!ひたすら我慢の3時間だった。


     講習費用…12600円


 10月6日月曜日。創立記念日で学校は休み。前日からまた先輩の家に泊まっていた。

 朝、先輩と二人で試験場へ。私は免許証交付のため、そして先輩はスピード違反の講習のため。(高田バイパスでやられたとのこと。一発免停。)

 こうして8月1日に初めて試験場に行ってから2ヶ月ちょっとで、ようやく念願の免許を手に入れることができたのである。


     交付費用…1800円+交通安全協会費500円




   (注)バイクの練習をしようと思っても、アメリカン(ジャズ)と試験場のホンダCB400とではギアの位置が違うので、
      乗って練習はしなかったのだ。



・・・つづく・・・