北海道
〜Lonely Tour '96〜



第1話



 新しい年になり、早いもので1カ月が過ぎました。

 思えば去年(1996年)は私にとってまさに激動の年でした。ちょうど1年ほど前のFX号雪道スリップ事件に始まり、6月のカルディナ号スタンド破壊事件、そして7月の・・・事件と、ろくなことのない1年でした。しかし、8月の九州旅行の時、大宰府で買った厄除けのお守りが、その後の生活を楽しいものに変えてくれました。やっぱり、人生「攻めの姿勢」が大切ですね。近頃の私は、攻めまくっています。

 今回は、そんな人生の転機を迎えた私のお話です。

*    *    *


プロローグ 「7月28日」


 思い返せば、すべてがここから始まった。

 今の自分は、行動や考え方など、それまでの自分と大きく変わっている。「あること」が自分を変えるきっかけになったのだが、自分自身これほどまでに変わるとは、正直びっくりしている。

 ベースになる部分は相変わらずだが、なんといっても休日の充実ぶりがすごい。「何もすることがないから、ボーっとしよう」という生活から、「なんかしてやろう」という生活に変わり、それとともに、日曜日下北山に帰ってくる時刻もかなり遅くなった。とにかく今年の目標「ONとOFFをどちらも充実させる」を、常に意識している。

 それほどまでに私を大きく変えたきっかけとは、簡単に言うと「長年(ピー)てきた(ピー)(ピー)た」ことだ。その直後は、そりゃあもうボロボロの精神状態だったが、村内1周マラソンもなんとかやり遂げ、いろんな人に支えられて(一部いじめられて)いくうちに、強くなれたのかもしれない。

 今、こうして振り返られる自分が、何だか頼もしくも感じられる今日この頃ですわ。






第1章 「西村京太郎」


 別に本を読むのが嫌いなわけではない。しかし、めんどくさがりの私は、普段あまり本を読まない。読み出したらどっぷりとつかるくせに、読もうとしないのだ。

 そんな私が本を読み始めた。理由は簡単。ひまになったからだ。本来なら、やれ海だ川だ…と計画を立てるはずの夏休みに、一緒に行くはずの相手がいなくなっては、どうしようもないもんなあ。

 もともと西村京太郎の小説は好きだった。「土曜ワイド劇場」でも、よく観ていた。だから、何か読もうと思った時、まよわず西村京太郎にした。そして、はまった。

 気がつけば、大阪に帰省している間に15冊も読んでいた。あきれ顔の妹を気にも留めず、読んでは買いに行く毎日。そうしているうちに、ふと思った。

 《旅がしたいなあ。》

 私はブルートレインに乗ったことがない。小説にはたくさんのブルートレインが出てきた。中には、もう走っていないものもあったが、読むうちに自分の中で「ブルートレインでの旅」に対する想いがふくらんできた。しかも、小説の中では必ずと言っていいほど、きれいな女性が1人で乗っているのである!!ますます想いはふくらんでいった。

 時刻表とカレンダーを見て、自分の考えは決まった。

 《9月の連休に「日本海」で北海道へ行こう!!》

 ・・・ただ、小説の中のきれいな女性というのは、必ず死ぬか殺人事件に巻き込まれていたんだけどなあ・・・。



・・・つづく・・・