北海道
〜Lonely Tour '96〜
第3話
第3章 「出発」
いよいよその日がやってきた。11月1日。朝から落ち着かない。この日は午後3時から1時間年休を取っていた。そうしないと、スーパー雷鳥に間に合わないのである。
「○○くんが、**したのがこまりました。」
あいかわらず、帰りの会が長引いている。少し焦りを覚えつつも、じっと見守る。
「きりつ、れい、さようなら。」
やっと終わった。時刻は午後3時を10分ほど過ぎている。急げや急げ。
午後3時20分過ぎに学校を出て、まずは下市口駅へと向かう。午後4時40分過ぎ到着。車を駅前の1回200円の駐車場に止めるが、「大淀町」「黒滝村」と、駐車場所が分けられているのが少し気になる。とりあえず、「天川村」の場所に止めた。すると、
「どこから来はったん?」
おっちゃんが寄ってきて、声をかけてきた。やばい、下北山の者は止められないのか?しかし、ここに止めないと、この後の計画がすべてパーだ。どうする・・・。
「天川村です。」
なんとか止めることができた。4日まで帰ってこないことも告げ、荷物を持って駅へと向かう。ナンバー調べられて、レッカー移動でもされていたらどうしようと思いながら・・・。
午後5時18分発の特急で出発。途中、橿原神宮前で乗り換え、午後6時49分に京都駅に着いた。そして、30分以上前に出た「日本海1号」を追いかけるべく、「スーパー雷鳥」に乗り込む。
自分の席につき、ほっとひと息ついたころ、
《この列車は、京都を3分ほど遅れて出発いたしました。》
と、アナウンスの声が聞こえてきた。
(ちょっとまてよ、加賀温泉で2分の連絡なんやぞ。普通に行ったら間に合わんやんけー。おいおい!」
車掌に尋ねてとりあえず大丈夫と分かり、ほっとするものの、この後も苦労が続いた。やはり、学校を休むのでバチが当たったのか・・・?
その苦労とは、晩ご飯になかなかありつけなかったことである。私の乗った車両は前の方の指定席で、その後ろに自由席車両がある。この日の自由席はいっぱいで、通路にまで人があふれていた。車内販売で弁当を買って食べるつもりだったのに、その車内販売は一番後ろから来るため、自由席の混雑に阻まれて、なかなか前の指定席車両まで来なかったのである。やっと弁当にありついたのは午後8時30分ごろ。空腹は極限であった。
大急ぎで弁当を食べ終わったころ、まもなく加賀温泉であるとアナウンスが告げていた。
・・・つづく・・・