北海道
〜Lonely Tour '96〜



第4話



第4章 「加賀温泉駅」


 大学時代の友人に、加賀市に住んでいる子がいる。同じ研究室だったので仲もよく、今でもときどき手紙のやりとりをしている。今回の旅行のことも知らせていたので、加賀温泉駅で久しぶりに会おうということになった。ただし2分間である。


 午後8時58分着。ベンチに座っている彼女の姿が見えた。


 「おー、久しぶりやなー。元気やったか?この前、香港に行ってたらしいな。オレにおみやげはないんかいな。」

 「ちゃんと持ってきたよ。はい。車内で食べてね。」

 「サンキュー。すまんなぁ。・・・そやけど、なんで香港みやげがサークルKの袋に入ってんねん?」

 「まぁ、あんまり細かいことは気にせんといて。」

 「このチョコレート、日本語でなんか書いとるぞー。」

 「まあまあ。」

 《まもなく、日本海1号函館行きが発車いたします。》

 「あ、そしたらもう乗るわ。ありがとうな。また連絡するから。」

 「気をつけてね。」


 午後9時出発。初めて乗るブルートレインは、全てが新鮮に見えた。自分のベッドのところへ行き、横になると、どっと疲れが出てきた。実は体調が悪かったのである。結局、金沢を過ぎたころには眠りについていた。下北山を出てから、6時間が過ぎていた。




・・・つづく・・・