北海道
〜Lonely Tour '96〜



第6話



第6章 「はるばるきたぜ函館」


 函館の駅は、いかにも終着駅といった感じだった。人生初の北海道。感動がこみあげてきた。

 他の客がいなくなり、ひとけのなくなったホームで、写真を撮りまくる。天気は良かったが、なんとなく寒いような気がした。その後、宿の手配を済ませ、荷物をコインロッカーに預けてから、まずは昼食をとるべく、駅の外へ出た。

 昼食はいくら丼(1200円)。北海道ぜいたくグルメのスタートである。どこへ行くか食べながら考えていたが、とりあえず五稜郭へ向かうことに決め、店を出た。どうせならとバスをやめ、市電で五稜郭へ。途中、気になるものを見つけ、帰りに寄ろうと考える。

 五稜郭は、下から見ればただの公園。でも、中に入ってみると結構広かった。もみじはきれいだし、観光客は多いし(私もその一人だが)、大砲なんかもあって、幕末をほうふつとさせる。すぐ近くに、どうも周りから浮いてしまっている(ちょうど京都タワーのような雰囲気)展望台があり、520円も払ってのぼった。上から見た五稜郭は、かなりでかくて、星型の感じがわかった。

 1時間弱ぶらついてから、買い物もして五稜郭を出る。市電には乗らず、歩いて「気になった」場所へ。そこは、「本場の味」と大きく書いてある大阪たこ焼きの店。本場とうたっているからにはさぞおいしいんやろうなあ、と1パック買って隣の公園で食べる。…まずい。大阪のたこ焼きはこんなんとちゃうわい!怒りを覚えつつ、市電で次なる目的地「外人墓地」へと向かう。

 市電の中は、人影もまばらであった。しばらく走ると函館駅を通り過ぎ、一路西へと進んでいく。

「高龍寺へは、どこまで乗っていればいいのですか?」

ふいに尋ねられ、驚く。しかも女性だ。一瞬緊張したが、振り向いて見てがっかりする。年の頃は70〜80歳のおばあちゃんだった。おれも観光客やのになあと思いつつ、ガイドマップを取り出して説明する。その後、世間話をして結局同じ場所で降りた。向こうは家族連れ。こっちは1人である。方向は同じだったが、すぐに引き離してしまった。

 外人墓地は、なかなか雰囲気の良いところだった。海は見えるし、丘のような場所だったし。でも写真を撮るのは少し勇気がいった。あまりオバケは得意ではない私である。15分ほどぶらぶらして、そこを離れた。

 午後3時過ぎ。辺りは早くも夕方の気配。函館の夜景を見るために、函館山の方へと向かう。時間もまだあるので、のんびり歩いて行くことにした。「千歳坂」「幸坂」など、坂のある風景が印象的だった。




・・・つづく・・・