2004年4月17日〜18日

長春からは列車で一晩眠ったら到着する大連。今回は大連まで1人で移動。そして、大連の友達と春を満喫♪

 列車で迎える朝は、周りの人達が起き出す気配を感じることから始まる。今回は初めての1番上の寝台ベッドだった。思っていた以上に狭い。まともに体を起こすことができない。油断していると、天井の蛍光灯に頭をぶつけてしまう。
 朝5時半ごろに「みんな起き出したなぁ…」と思いつつ、ベッドでずっとゴロゴロしていた。下に降りてもすることがない。いや、あるにはあった。1年生の作文添削だ。こんなところにまで仕事を引きずって来ているわたし…。でも朝っぱらからそんなことをする気にもなれないし、おまけに窓際にある席は2つともすでに他の人が座っている。しばらく狭いベッドでダラダラした後、窓際の席が空いたのを見計らってベッドから降りて座り、車窓の景色をぼんやりと眺める。
 そして気付いたこと。緑が多い!ってこと。枯れたように見える木々の枝先に、可愛い、そしてハッと目を引く柔らかい色の若葉が芽吹いている。「あぁ、春なんだなぁ」と思い、なんとなくうれしい気分になる。長春より早い春。ウキウキして来て心も軽くなる。

 7時半に大連に到着して帰りの切符を買った後、迎えに来てくれたK 嬢とご対面。朝食を食べた後、K嬢の部屋で少しくつろぎ、買い物へ出かけた。道路沿いに植えてある銀杏の枝先から、これまたすごく可愛い赤ちゃん葉っぱが競い合っているかのように手を伸ばし太陽を浴びている。
 春だ、春!あちこちに春を感じる。何かが新しく始まる!そんな感覚で満たされている。日本にいた時はあまりこんな風に思ったことはなかった気がする。長春の冬があまりにも厳しくあまりにも長かったから、いっそう強くはっきりとそう感じるのかも知れない。
 昼食は、K嬢の友達とその彼と4人でイタメシを食べた。「ここは日本か!?」と錯覚するようなレストランだった。日本語で書かれたメニューから始まり、静かで落ち着いた店内の雰囲気、訪れるのは日本人だけ、そして味も日本人好みで口に合う。食後のケーキも美味かった!さっすが大連!日系企業が多いだけある。
 大連は、地形も気候も日本と似ている点が多い。『海』に囲まれており、長春では見ることができない『山』もある。冬の気候もそこまで厳しくはない。退職した人達にとって「大連で第2の人生を送る」という選択肢は”あり”のようだ。日本よりも物価は安いし、それなりに日本食も手に入る。実際、退職後に留学に来ていたり、日本語教師をしていたりと、活躍されている方々も少なくないという。


幹から直接??たくましい!


一面サクラの園!
 
 今回の旅の1番の目的は『花見in中国』をやってしまおう!だ。旅順で桜を見ることができるらしい、というK嬢の情報を基に、きっと今が見頃に違いない、という日程を組んで大連までやって来た。K嬢の生徒に言わせると「桜はまだ早いです。5月になってからです。」
 えっ?ホント?…でも、もうここ大連まで来ちゃったし、桜、咲いてないかも知れないけどとりあえず行くぞ〜。
 そんな感じで、日曜日の昼前に家を出発。星海公園近くのバスターミナルから旅順行きのバスに乗る。そう、星海公園はその名の通り海に囲まれた公園だ。路面電車内からちらっと見ただけだが、久しぶりの海に心は躍る。中国に来てから初めて見る海。よく考えてみると9ヶ月ぶりだ。少し曇りがちの天気だったので、残念ながら海の色はあまりきれいではなかったのだれど…。
 桜花園は、旅順の手前の龍王塘という所にあった。ずらっと並んでいる車の列や人々の歩く姿からして、桜花園の方向は見当がつく。しばらくの間臭い車の排気ガスを我慢しながら歩いていくと、遠くに桜らしき花が見えてきた。「おぉ〜、咲いているじゃん〜!!」

 桜花園の入場料は15元(約200円)。園に入るとすぐに鮮やかなピンク色の桃の花(多分)が目を惹いた。まさに満開。まっすぐに上方に伸びている枝の、下から上までびっしりと花がついている。あまりにもたくさんの花が一気に咲き乱れていて、少し気味悪いぐらいだ。
 桃の向こう側には桜が見える。木はまだ小ぶりなのだが、花はこれまた「今見ないでいつ見るっての?」というぐらい、まさに見頃なのだ。正好っ!!しばらく花に見とれてしまった。まさか中国でこんなにきれいな桜を見ることができるなんて思っていなかったから。木の下に立って上を見上げるも良し、少し離れた位置から全景を眺めるも良し。これで、おにぎりがあればもっと良し!なんだけど。
 桜花園の奥に行けば、かなり大きな桜の木々が今を盛りとばかりに花を見せ付けてくれる。年輪を重ねた木の花は迫力も違う。木のかなり低い位置からも枝が出ているので、腰ほどの高さにも花、花、花。上手く写真を撮れば、桜の花に囲まれたショットも可能だ。
 

ボケの花もきれい!


まるで日本の風景のよう
 中国の人達は「花を見ながら酒を飲む」ということはしないようだ。「場所取りで花の下はビニールシートや紐で仕切られている」なんて状態でもない。少なくとも、酔っ払ったオヤジ達がふらふらと歩いている姿は見られないし、必要以上の奇声も聞こえない。…奇声は聞こえないけれど、もともと声の大きな中国人。存在感はばっちりである。
 
「花を見ながらご飯を食べる」「花を見ながらトランプをする」「花を見ながらおしゃべりをする」「花の側で羽蹴りをする」(いや、どれもこれも実際は花は見てないのかも知れない。それは日本での花見の宴会でも言えることだが)。いずれにしても、日本の花見よりも健康的な気がする。
 「日本のように、”今ここは花の見頃です!”なんて親切な桜情報提供があると、きっとものすごい数の中国人が雪崩れ込んでくるんだろうね…。恐ろしい…」そんな会話をしながら、桜花園を散歩した。


 そんな中国における花見では、かなりおもしろい光景も見られた。
 まずは『花の冠』。造花なのだが、園内で花の冠を売っている。そして、子供だけではなく大人もそれを被っているのだ。女だけじゃなく、男で被っている人もいるのだ。どういう心境で被っているのか?恥ずかしくないのか?ちょっとおもろいぞ、その姿。
 桜花園の入り口附近には、ミッキーとドナルドらしき人形がお出迎えをしてくれた。中国でよく見かける”空気”で膨らませた人形だ。それにしても…。どーしてそんなに顔が違うん???
 これだけ違うと著作権なんて言われないかもねー、などと言いながら、せっかくのおもしろい記念だからと写真も撮っておいた。ところでこの人形、後から見ると紐で縛られた棒で支えられていた。そんなとこまでしっかりと見せてしまうのが『中国』チックだよなぁ。
 桜花園内には、かなり不気味なオブジェがあった。何だろう?キティちゃんか?はたまた別のキャラなのか?昔は可愛かったのかもしれないが、今や亀裂の入った顔には、ゴミまで捨てられているという有様。ちょっと怖いけどかなり笑える一品だ。


かなり笑えるキャラ!


 この桜花園は、大連市の水道会社(大連市自来水集団有限公司旅順分公司)の敷地内にある。春になるとかなり儲かるんだろうなぁ。

 桜花園からバスが走る大通りまでの道沿いには、多くの一戸建ての家が並んでいる。一見すると、日本の家を思い出す。何故だろう?家の垣根を越えて外に張り出している樹木のせいだろうか?屋根の角度も日本の家屋のそれに似ている。この辺りの家のほとんどは、道路沿いにまず階段が数段ありその先に庭と家がある、という造りだ。
 庭に見える樹木も、春を感じさせる花々が咲いていてとてもきれいだったし、家の前で日向ぼっこをしている老人や、何故だかひょうたんを売っている人達の姿は、のんびりとした風景にそのまま溶け込んでいた。
 約1時間半桜花園を散策した後、帰路についた。K嬢と夕飯の「米線」を食べた後(本場雲南の方がやっぱりおいしいなぁ)、夜8時過ぎの寝台列車で長春へと向かう。
 翌日にはしっかりと授業があるのだ。なかなかハードな週明けになりそうだ…。