2003年10月2日〜3日

 本当は、大連に行きたかった。でもバスのチケットがとれなくて、瀋陽への旅に早変わりしたのだった。Kちゃん、S姐、私とでオンナ3人一泊二日の小旅行。



 長春から瀋陽までは、豪華バスで4時間弱。本当に豪華なバスなので驚いた。私のイメージでは、少しアヤシイ、今にも止まっちゃうのではないかと思えるバスを想像していたから…。そして、バスには服務員(乗務員)もいて、ミネラルウォーターのサービスまであったから驚きだ。さらにびっくりしたのは、定刻にバスが出発したこと。中国のバスのサービスも、都市ではかなり進んでいるのだ。

 瀋陽までは、高速道路を利用しての快適走行だった。車窓から見える風景は、三角屋根の住居と延々と続くトウモロコシ畑。都会のゴミゴミした場所からは想像できない、田舎の、ほっと一息つけるようなのどかな光景だ。多分、わたしの無い物ねだりなのだろう。



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 瀋陽といえば、長春に赴任する時に思いがけず一泊することになった事件を思い出す。2003/8/6に北京から長春に飛んだのだが、長春が悪天候のため着陸できず、瀋陽で一泊せざるを得なくなった。その時は、3人一緒に長春赴任だったので心強かったし(1人だったらどんなに心細かっただろうか…)、同じ飛行機で会った日本人の方にもお世話になり、感謝している。あの時に、瀋陽で初めて感じた『中国のいいかげんさ』は今でもはっきりと覚えている。

 6日の夕方、瀋陽から長春に向かって飛行を試みることになったのだが、空港の案内放送がはっきりと聞き取れなかった私達は、搭乗口を右往左往する羽目になった。どこから搭乗すればいいのか?各搭乗口で聞くたびに、違う答えが返ってくる。言われた搭乗口に行けば、ここではないと言われる。
 30分くらい駆け回り、やっと飛行機に辿り着いたら、かなり待ちくたびれた乗客たちの冷たい反応や安堵らしき反応が待っていた。あの時は、本当に肩身が狭かった。結局、長春の天候が回復しなかったため飛行機はまたもや途中で引き返し、瀋陽空港に戻ってくることになってしまったのだが。
 
翌朝の増発便でやっと瀋陽から長春行きの飛行機に乗ることができた。

 夜の10時ぐらいまで空港で待っていたが、その日、飛行機は飛ばないことになった。
 空港が用意したバスで宿泊ホテルに着いたら、今度はホテルでひと悶着。ホテルの従業員は「部屋なんかない」という。空港職員のお姉さんと、従業員のお姉さんのかなり激しいやり取りが30分くらいは続いただろうか?最終的には、怒った中国人乗客も巻き込んでの交渉となり、そのホテルに宿泊することができた。しかし、空港関係者はどうしてホテルに予約を取らずに、いきなり乗客をホテルへ連れて行くことができるのだろう?どうして、ホテル側は空いた部屋があるのに、最初から快く対応してくれないのだろう?迷惑を被るのは我々乗客だ。



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 瀋陽には、11時ぐらいに到着した。まずは腹ごなし!ということで、目に付いた快餐(ファーストフードの店)に入った。店内はわりと小奇麗だ。いろいろなメニューがあったが、私は炒面と包子を頼んだ。中国の東北料理は塩辛いのだが、思っていたよりも薄味だった。
 その後、宿を確保しに招待所へ向かった。3人部屋があるのか?という希久ちゃんの疑問は、三人間(3人部屋)と掲げられた看板で解決。後は値段だが、3人で60元(約900円)という破格の安さにびっくり!一泊20元だなんて、本当に驚きだ。シャワーもあるし、即決した。

 荷物を部屋に置いて、観光名所『北陵公園』に歩いて向かった。約40分くらい歩いたかなぁ?結構いい運動になったのだが、歩いていて思ったのは瀋陽の街はとてもきれいだということ。道幅が太くてゆったりとしていて、ゴミがあまり目立たない。何と言っても、痰を吐く人がいない!これはすばらしい!!!道を走る車のマナーも長春よりいいと思う。クラクションの音はほとんど聞かれない。ドーンと構えている街、という感じ。道沿いに建っているビルもとてもきれいだ。さすが、東北三省でNo.1の座を誇る城市だなぁ。

北陵公園の入り口。いかにも中国という感じの龍がお出迎え。  
 北陵公園は、とても広い。入場料は6元。正門から入ると、まっすぐに伸びた道が私達を迎えた。その道の先に、昭陵が小さく見える。この場所で、写真を撮る人達がたくさんいた。もちろん、私達もパチリとシャッターを切った。
 昭陵の方向に向かいつつ、脇の池の周りをのんびり散策。緑の色と、空の青空がとてもきれいだ。池ではボートを漕ぐ人達が大勢いた。が、Kちゃん所望の足漕ぎボートは、ここには見あたらなった。
 昭陵見学は別途30元が必要だった。特に見たいとも思わなかったので、パスした。北京で見たことがあるような感じの建物だと思ったから。北京ですでに故宮を見ていたので、瀋陽の故宮にも特に惹かれない。
北陵公園を後にして、シアトルコーヒーに向かう。公園に向かって歩いている時に見つけたのだ。
 豪華なホテルの1階にある珈琲館で、コロンビアコーヒーを頼んだ。飲んだ瞬間、ストロングだなぁ〜、と思ったが、おいしかった。ここはまるで異空間。とても中国とは思えない。のんびりおしゃべりをしながらくつろいでいたら、おっちゃん服務員(ウェイター)がコーヒーのお替りを持ってきてくれた。
 S姐が「わたしのはイタリアンだ」と何度かおっちゃんに言っていたのが、おかしかった。イタリアンだろうとコロンビアだろうと、2杯目のコーヒーは同じ種類らしい。一体なんの種類のコーヒーを注いでくれたのか分からないが、少し薄めの2杯目も飲んで、ショッピングに向かうことにした。
 
北陵公園内の池。天気がよかったので、ガラスのように周りの景色が映って美しかった。
老辺餃子で飲んだ雪花ビール。  
 お腹が空いてきたので、ご飯を食べることにした。
 「家庭人」というショッピングモールの地下のフードエリアを見てみると、行きたいと思っていた『老辺餃子』がある。ここにも支店を出しているのだ。これはラッキーということで、そこで食べることにした。
 餃子を2つと土豆片を注文。土豆片はポテトチップスのようでおいしかったけど、少し塩辛かった。餃子は、皮がツルンとしていて、これまたおいしかった。ビールは「雪花」を初めて飲んだ。苦味があって、日本のビールに近い気がした。これはいいビールを発見したかも!

 食事後、DVDを求めて中街を散策。歩行者通りの真ん中には、夜店がたくさん出てて、見ているだけで楽しかった。
 CD屋を3件まわり、それぞれ数枚買った。3人で買ったので少し安くしてくれたようだ。しかし、帰って気付いたのだが、傷が入ってるCDがあった。S姐が買ったのには、傷のため読み取ってくれないものもあった。サイテーだ。
 招待所に戻り、シャワーを浴びて23時半前に就寝。



 翌朝は、シャンコー姐のリクエストで、吉野家で食べることになった。北駅の周りにもあるはずなのだが、どこにあるのか分からないので、中街まで行って食べた。
 私は吉野家初デビュー。まさか中国でデビューするとは…。シャンコー姐曰く、日本のと同じ味だとか。しかし汁が少ないということだ。

 今日は、「怪坡」という観光名所に行く計画だったので、食事後にタクシーに打診。往復で200元かからないくらいだというから、行くことに決定。
 怪坡に着いたら、入場料が1人20元。もしもタクシーで入るなら、車代25元と運ちゃんの20元も余計に払わなければならない。しかし、タクシーを門の外で待たせるなら、その間3分に1元必要だと運ちゃんが言う。しかも、門から怪坡までは1.5キロあるらしい。考えた挙句、タクシーごと中に入ることにした。
 実際、怪坡までのタクシー代は100元もかかってなかったから、よしとする…。

 怪坡の威力は、実際車で体験してこそよく分かった。驚きだった!下り坂に見えるのに、エンジンを停止したらバックしてしまう。しかも、坂の折り返し地点はすごい勢いでバックする。おもしろいっ!タクシーの運ちゃんもかなり喜んでいるように見えた。運ちゃんと一緒に門をくぐってよかったと思う。
 今度は自転車で挑戦することにした。運ちゃんが待っている間、料金加算はしないと言っていたらしいが、あったりまえじゃん!そのくらいサービスしろって!
 自転車でも、やはり坂の折り返し地点で、その不思議な感覚を一番よく味うことができた。下り坂に見えるのに進まない。しかも、うしろに下がろうとしている。一体この坂はなんなんだろう??単なる目の錯覚???

 
左から右へ下っているように見えるのに、右端のチャリはバックしてしまうという変な坂。

 中街まで戻り、ガイドブックに乗っていた馬焼麦のシュウマイを食べることにした。お客が多いことから、流行っているようだと分かる。ここのシュウマイは、噛むと肉汁がジュワッと出てきて、おいしかった。羊のシュウマイ、イケテル。海老のシュウマイもおいしかった。やはり中華料理はおいしいなぁ。
 それからカルフールで、天津名物という麻花を購入。いろんな種類があって、どれがいいのか分からない。チョコレートと何だかよく分からないのを買った。カリカリしていて、いつも長春で食べている”主食”という感じの麻花とは別物のようだ。お菓子という感覚。
 その後、招待所で預かってもらっていた荷物を受け取り、長春行きのバスを待つ。あー、これで今回の小旅行も終わりだなぁ…と思いつつ。18時に瀋陽を出発して、21時半過ぎに長春に無事に辿り着いた。これでこの旅もおしまい!