![]() |
自分の住んでいる場所、長春は東北地方で非常に寒い。暖かい場所を目指して、同期のKリンと雲南旅行を決行! |
長い長い列車の旅|大きな城市〜昆明〜|灼熱の太陽〜西双版納〜|ここは本当に南方?神秘の濾沽湖 観光地・世界遺産の街〜麗江〜|白族の街〜大理〜|夜行バスにて|さよなら雲南 |
![]() |
北京西駅から昆明までは44時間の列車の旅だ。河北、河南、湖北、湖南、貴州を通り、最終的に雲南省に辿り着くという、長い長い大移動だ。おまけに列車内で自分に与えられた空間は狭い。 中国の寝台列車は、硬いベッドと柔らかいベッド(まだ経験なし!なのでどのぐらい柔らかいのかはナゾ)の2種類ある。硬いベッドは上中下の3段に分かれており、6ベッド毎に仕切りがある(といっても個室になっている訳ではない)。私達は向かい合わせの下段のベッドで、約2日弱を過ごした。 北京を出発した翌朝の天気はどんよりとした曇り。 「南の天気はあんまりよくないようだねぇ…。」 見える景色もなんとなくグレーがかっている。ずっとこんな天気なんだろうか、雲南も?途中で小雨が降る地域もあり、なんとなく嫌な感じ。 翌々日も朝から曇天だ。全体的に景色は白のイメージ。昼過ぎには昆明に到着するのに…。
彼らに北京から持ってきたというおかずを食べさせてもらったり(初めて鶏の頭を食べた。そんなに美味しいものでもない…と思う)、日本の歌を教えてあげたり、親分の「鳥インフルエンザは日本が発祥の地だ」というとてつもない発言にあきれたりと、案外友好的な交流をしたのだった。 この親分、昆明にホテルを持っているらしい。金持ちなのだ、多分。 劇団は東南アジアやアメリカなど世界を相手に公演をしており、春節前の大晦日、中国人なら誰でも見るという「新年聯歓晩会」のトップバッターで雑技を披露したらしい。劇団のパンフレットも見せてもらった。団長の紹介では、おっさんの化粧姿がバッチリ載っていた。うむむ、美川バリだ。「素の方がいいよ…」と日本語でつぶやいた。 別れ際に「昆明に泊まることがあったら是非連絡してくれ。歓待するよ。」と名刺を渡してくれた。ラッキ〜!どんなにすばらしい雲南のごちそうが待っていることだろう!期待せずにはいられない! 昆明に宿泊することが決まった時に早速名刺の携帯電話にかけたのだが、つながらなかった。その後も何回かかけたけど、つながらないじゃないか! ったく〜、使えないっ…! |
![]() |
昆明は雲南省の省都だけあり、さすがに都会だ。とても大きな街だ。自転車がかなりの速度で突っ込んでくる怖い街だ。 市場には新鮮でまるかじりしたくなるような、いろんな種類の野菜やキノコや果物が並び、その横では生きた鶏(鳥インフルエンザ流行ってるのに)やウサギも売られている!ドナドナされていくのだ。 街のいたる所に米線(ミーシエン)という看板の麺(米、麦、粳米から作る麺があるが米が一般的)の店があり、こんなに競合していて潰れないのかと心配になるぐらいだ。 なんと言っても感心したのは、店の前に必ずゴミ箱が置いてある点だ。食べ物屋の店だけに限らず、日曜品や服を売る店先にも置いてある。これだけたくさんのゴミ箱が置いてあると、ポイ捨ても減ると言うもんだ。長春も見習ってもらいたいものだ。 そして何よりも東北地方と違うなぁ…、と思ったことは、街を行く人々の背は低く、色の黒い人が多いってこと!
昆明には3泊したのだが、郊外の名勝古跡に行くには時間が中途半端で足りない、近場にはあまり魅力的な場所がないという感じで、思い出すのは毎日のように食べていた雲南名物の米線のことばかり。結構油っこい鶏スープに麺がはいっている庶民的な食べ物。
|
![]() |
昆明の鉄道旅行会社にシーサンパンナ2泊3日のツアーを手配してもらった。昆明とシーサンパンナ最大の都市である景洪は往復飛行機を利用したのだが、何しろ1日目は夕方に昆明を出発するといういただけない日程だった。だから、シーサンパンナ観光ができたのは実質2日間だった。 シーサンパンナは暖かい。2月というのに日中はTシャツで十分だし(朝は肌寒いけど)、目に入る景色は見るからに“南国”なのだ。空港でお出迎えしてくれる椰子の木を見ただけで明らかに「昆明とは違うんだ!」という印象を受ける。 宿泊ホテルは、たくさんの椰子の木がある広い敷地内にいくつかの宿泊棟が点在している所で、歩いているだけで「うわぁ、南国だ〜!」。そして、部屋の中も、もちろん南国!たくさんの蚊が私達を歓待してくれた。部屋に着いたその日の夜、12匹もの蚊を潰すことを余儀なくされたのだった。 シーサンパンナでの2日目は、8人のツアーに乗っかって、猿山、泰族園、熱帯植物園を訪れた。ツアーのいいところは、移動手段や時間を気にせず、複数の観光地に連れて行ってくれることだ。ここシーサンパンナは各観光地間を結ぶバスがないため、個人旅行で1日に複数箇所訪れるのは不可能に近い。
だがこのツアー、かなり不満だ。話が違うじゃないか!
3日目は、旅行会社と交渉して自由行動という設定にしていた。昨日のことがあったし、大正解の選択だったと、今でもそう思う。 目的地は『曼飛龍仏塔』。何でもシーサンパンナのシンボルとも言うべき建築物で、1203年にインド僧によって設計され、タイ族の領主によって創建されたということだ。
最後はドタバタしたが、無事に昆明にも到着できたし、結果よければすべてよし!…としよう。 |
![]() |
バスが通ったのは、あまり開発が進んでいない道だった。だから、途中で通り過ぎていく少数民族の村に住む人々の生活は、都会とは程遠いものが多かった。 まず、民族衣装を着て暮らしてる人の姿に釘付けになる。本当に民族衣装を着ているんだ!という事実にまず驚いた。恐らくイ族だと思われるが、不思議な帽子?をかぶっている。どんな利点があるんだろう?と頭をひねるが答えはナゾだ。 いくつもの山々を越えていくバスの中から見えるもの。放し飼いの豚や馬、牛、そしてヤギ(飛んでいた!)などの家畜。 季節が冬だからだろう。緑は少なく若干荒涼とした感は否めなかったが、丘の斜面を利用して作られている緩やかな段々畑や、荒れた土地を耕している人々の姿。このような景色から、恐らく昔からそう変わっていないと思われる“生活”を感じることができた。 また、レンガ造りの家から次第に木造の家に変化していく様子などは、見ていてとてもおもしろかった。異なる民族が住んでいるということなのだろう。 ニンランに着いたら、早速個人軽トラタクシーのおっさんが声をかけてきた。値段も妥当だったのでそのおっさんに連れて行ってもらうことにした。中国人のカップルと韓国人の女性2人組みと私達+おっさんの7人で濾沽湖へ向かう。
翌日は、ここの住民達が集っている広場の一角で遅い朝食(ここでも米線!)を食べた。 ここの男達は朝からマージャンや将棋をしていて、みんな遊んでいるように見える。女達は洗濯をしたり、店の準備をしたりと動き回っている。子供達は湖のほとりでバスケをしている。そして、その側では放し飼いの豚が駆けている。毎日毎日、こんなことが繰り返されているのかなぁ、と思う。 濾沽湖附近をゆっくりと散歩する。湖は透明度が高く、小さな魚が泳いでいるのがよく見える。これが成長して食料になるんだろう。ここの名物料理はバーベキューらしいということを後で知った。湖で取れる魚介類を湖畔で焼いて食べるらしい。昨夜は寒くて外で食事なんて考えられなかった!! この辺りは建設ラッシュのようで、ホテルと思しき建物があちこちで作られている。このようにして、ここも観光地化が進んでいくのだろう。せっかくの古くからの生活が壊されていくのは惜しい、と思ってしまうのは、私のような観光客のエゴなのかもしれない。ここで生活をしている人の立場になれば、また違った考えを持っているのだろう。
そして濾沽湖へ来た時と同じメンバー+交代した運ちゃんの7人で3時に濾沽湖を出発して、世界文化遺産の街「リージャン(麗江)」へと向かった。 |
![]() |
濾沽湖を出発してリージャンに着いたのは夜9時半。古城で宿を探す。2日ぶりのシャワーはとても気持ちよく、さっぱりして就寝。
南の市場は、長春の市場とは違う。何が違うって?もちろん並んでいる野菜の種類の豊富さが格段に違う。北はまだ雪に閉ざされているから、野菜は高いし種類も少ない。それに比べて南の野菜は本当に新鮮でパリッパリッしてて、おいしそうだ。 そして、生きた鶏やウサギの姿!いやー、さすがにウサギは北では見たことない。犬は売ってるけどね。 買い物をする人々の格好も違う。南の人は、ほとんどの人が背中に丸い大きな籠を背負っている。野菜も日用品も何もかも、買ったものはポイポイ籠に入れている。北では見られない光景で、おもしろいもんだなぁ〜と思う。 後ろに目はついてないから、背負った籠に入っているものは盗ろうと思えばいくらでも盗れそうだ。信用で成り立っている世界ということか。 白沙には結局タクシーで向かった(メーターを倒さずに20元。高い…)。おじさんにバスターミナルは教えてもらったものの、どこ行きのに乗ってどこで降りたらいいのか分からなかったから…。 白沙はこじんまりとした村だった。でも、今回の目的である有名な壁画は一体どこにあるんだろう?通りかかったおじいさんに聞いたら、親切にも連れて行ってくれた。ありがとう。 壁画は写真禁止だったので撮ることはできなかったのだが、壁画を保存してある建築物は古くて木の組み方もおもしろかったし、壁画もすばらしいものだった。しかし、壁画に描かれている人物の目に穴が開けられている。開ける方も悪いが、開けられるような保存をしている方にも問題があると思う。貴重な遺産なのに…。
白沙にも観光客目当てにお土産屋がならんでいる。ここに、1コ20元というブレスレットがあった。銀製ということだ。20元なんて高いよ!と思い「10元!」と言ったらOK。しかし、10元でもやっぱり高いよなぁ…と思って「やっぱいらないよ」と言って帰ろうとしたら、土産屋のおばちゃん、食いついて来る。しかも、わらわらと別の店のおばちゃん達までやって来た。 おばちゃんは1コ5元でいいという。20元→5元だなんて!言い値なんて本当に適当だ。結局5元で買ったのだが、その後別のおばちゃんは「3コで10元!」と言ってた。最初の20元は一体どこへ行ったんだ? 値切るには、買うそぶりを見せつつ一言「いらない!」がテキメンに効くようだ。しかし、そのブレスレット、旅行中に失くしてしまった…。う〜む、残念だ!? 白沙からは有名な玉龍雪山がきれいに見えた。お天気もよく、青い空に雪を頂いた山が光り輝いてみえる。うっとり〜!! さて、白沙からどうやって帰るか?そこら辺にタクシーの姿はない。そこへ一台の軽トラがやってきた。Kリンがその軽トラを止めて交渉し、乗せていってもらえることになった(1人5元)。すでに数名の村人達が乗っていた後ろの幌部分に乗り込み、ガタガタ揺られながら楽しい気分で古城へと向かった。
実際に食べてみると蒟蒻ではなかった。寒天のような感触で、薬味の入った醤油ベースの漬け汁とともに食べる。そこまで美味しいものでもないと思う。 もう一つの名物「リージャンババ」も食べた。「甘いの?塩辛いの?どっち?」と聞かれて塩辛いのを注文したのだが、きっと甘い方がおいしかったと思う。リージャンババは結構油っこい餅(ビン)だった。 リージャンの古城は確かにきれいな街だった。しかしあまりにも観光地化されて洗練されている感じは予想外だった。そういう私も観光客。矛盾してるよね…。 私達は14時半のバスで大理へ向かった。大理までの菜の花畑は、私達の目を十分に楽しませてくれた。 |
![]() |
大理での目的。絞り染めを買う!白族の村で三道茶を飲む!三塔を見る! あわよくば絞り染めの現場を見たい、そんなささやかな願いを胸に宿泊地点の下関から周城へとマイクロバスで向かった。ガイドブックによると、周城は藍染で有名な村らしい。
売り場には、たくさんの絞り染めが山積みになっていた。大きさも模様も様々だ。かなり、Kリンも呆れるぐらいかなり悩んで、やっとベッドカバーを決めた。それとランチョンマットになりそうな大きさの布3枚を購入することにし、値段交渉の始まりだ。おばちゃん達の言い値170元を120元に下げさせた。もっと下がったかも知れない、と思いつつも納得した。何よりも、欲しかった絞り染めを手に入れたことがうれしかった。
喜洲では第二の目的『三道茶』を飲んだ。白族の民族舞踏を鑑賞しながら、三杯のお茶を飲む。
喜洲から下関に帰るバスの中から見えたのは、だだっぴろい畑でゆっくりと農作業をする人々の姿だった。 雲南は長春に比べて日がとても長い(その分朝が遅いんだけど…)。長春ならとっくに真っ暗という時間にまだ畑で仕事をしている人々がいる。ここでも「中国って本当に広いなぁ〜」って感じずにはいられない。というか、あれだけの国土を同じ時刻で管理しようとする方が無茶なのだ。 翌日は、大理古城でショッピングをした。ここは本当に観光客が多い町だった。中心の通りにはショップとカフェが並んでいる。ここにも絞り染めがあったので手に取って見ていたら、昨日買ったランチョンマットは8元だと言ってきた。 え〜?昨日のおばちゃんは、この大きさのは20元って言ってたぞ。…なんてふっかけかたなんだ! 「6元にしてくれる?」「…いいよ」「うーん、やっぱり要らない」と去ろうとしたら「5元でどうだ?」だって。そこまで下がるんだよ、しかも人通りの多いショップで。卸値は一体いくらなの?? 昨日、おばちゃん達は「してやったり!」と思っていたに違いない。相場を調べてから乗り込むべきだったか…とちょっぴり後悔した。ま、いいのだ。自分の好きなものを買えたんだし、値切る過程も結構楽しかったし。まだまだ修行が足りないってことだよね。 恐るべし、したたかな中国人! 古城をブラブラした後、三塔見学のために移動する。ここ大理古城には移動手段として馬車も大活躍している。1人1元で安かったし、せっかくなので乗ることにした。 おじいさんが馬を走らせてくれるのだ。幌付き荷台に乗り込み、馬車に揺られながらしばしスローな景色の移り変わりを楽しんだ。
|
![]() |
夜行バスは21:30発だった。今まで何度か夜行バスに乗ったが、やはり寝付きが悪くなる。だから今回はビールを飲んでみた。これが失敗だった。 バスに乗ってすぐにトイレに行きたくなり、寝るどころではない。結局、真夜中の1:00のトイレ休憩まで寝られなかった。寝られなかったが、窓越しに見えた星、さすがに田舎だけありとてもきれいだった。夜行バスに乗るたびにきれいな星を見ている気がする。 さて、トイレ休憩でバスが止まると、女性3人でなんとかトイレに辿りついた。おぉ、これでやっとすっきりできる!そう思ってトイレに入ったとたん 「ブヒッ」「…!!!!ギャ〜ッ!」 うわ〜、マジでびっくりした。豚がいる、豚が!絶対いる!真っ暗でよく見えないけど。その様子を見ていた中国人女性が懐中電灯を取りにバスまで戻って行ってくれた。 わたしとKリンは、懐中電灯の光を頼りにして豚のいない方のトイレに入り、中の構造を確かめる。それで分かったこと。向こう側は崖になってて、その崖に向かって放尿するらしい。うーむ、こんな大胆なトイレは始めてだ。 暗闇の中、Kリンと2人で並んで妙な開放感を味わった。これが昼だったら…。もっとびっくりするような景色が見られたのかもしれない。残念なような、でも真昼間から友達と並んで連れションだなんて… …できないだろうなぁ。 |
![]() |
朝、6時半ぐらいにバスが止まった。 ここはどこ?運転手が何も言わないのでまだ昆明ではないと思っていたら、実はもう着いていたのだった。到着したんだったらそう言ってくれないと分かんないじゃないか〜!8時ぐらいにバスを降りて昆明駅に向かう。まずやらなきゃいけないこと。それは帰りの切符の確保だった。 これから数日間の切符の情況をみると、18日までの北京行き切符は完売。席なし(无座切符)すらない。今日は133日だ。困った…。帰れない。 シーサンパンナへ行く時に利用した雲南鉄道旅行会社へ行き、切符の手配を頼んだところ、15日の列車の切符、あるいは今日の飛行機の切符のどちらかを選択することになり、Kリンの希望により飛行機で帰ることに決定。飛行機は20:15発で23:00北京着だ。列車だと44時間なのに、飛行機だとあっという間。まさに「お金で時間を買う!」ということだ。
空港ではまたもや冷や汗モノの情況が待っていた。 自分達が乗るべき飛行機の便を勘違いしていて、時間ギリギリでなんとかチェックイン。焦った焦った〜!これで帰れなかったら、ホントに洒落にならん! 間に合ったものの私達2人はバラバラの席になり、私は飛行機の最後部の席に座ることになった。狭い!あんなに狭いとは知らなかった。まぁ、乗れないよりはマシだったんだけど、飛行機運は良くない旅だった。 雲南への旅は、ずっと天気に恵まれて雨には降られなかった。寒さにびっくりすることはあったけど、毎日毎日青空の下、北の殺風景な景色とはうって変わった色彩豊かな自然を見ることができて本当にラッキーだった。 重たい荷物を背負っての異国での長旅は初めての経験だったけど、気の置けない仲間と一緒だったし、素敵な思い出がいっぱいできた。自分がいつも住んでいる場所とは衣食住、そして異なる民族も住む別の世界。中国のでっかさを実感した2週間だった。 日が変わってから北京の隊員連絡所に着いた。久しぶりにゆっくりと湯船に浸かって疲れを取り、風呂上りに雲南の土埃にまみれて黒く汚れていた爪を切った。 サラバ、雲南! |