メインストーリー



     俺の名はルーファス・クローウン。かつてはウィザーズアカデミーのマスターもつとめ
    ていたが、卒業後自らの実力を試すため旅に出ることにした。なぜかデイル先輩と一緒に…。
    みんなぁ、「全員」俺と仲良かったはずなのに、どうして誰もついてきてくれないんだよぉ…
     さてその旅もひどいものだったがまた別の機会に話すとして、2年間学園を離れていた
    俺は、久々にこのSkill&Wisdomに戻ってきた。もちろん部が心配だったこと
    もあるが、もう一度勉強して立派な魔導士になるという目的もある。この旅で自分の無力
    を知った俺は、Skill&Wisdom魔法学科の高位魔導士(アークメイジ)課程に入
    学することにしたのだ。せめてデイル先輩と互角にやり合えるようになりたい…。

    「全然変わってませんね、この学園も」
    「そうだなぁ。久々にコンパがやりたくなるな!」
    「もとからその気なんでしょう?(^^;」
     2年前まで俺の学舎だったSkill&Wisdom。古びた校舎、広場の噴水、そこ
    ここに立ちこめる冒険の香り…。なにもかもが元のまま、俺たちの帰りを迎えてくれた。
    今は春休みなので人も少なかったが、あいつらのことだ、一人くらいは部にも来ているに
    違いない。
    「先輩、俺先に行ってます!」
     我慢ができなくなった俺は、一路校内を駆け出した。俺の青春の全てといっても過言で
    はなかった、あの部室へ。
     魔法学科の一番はずれにある、もっとも歴史あるウィザーズアカデミーの部室。見慣れ
    たドアの向こうからは、明るい話し声が聞こえてきた。よかった、つぶれてなかった…
    「みんな、ただいま!」
    「センパイ!?」
    「おにーちゃん!」
     思いっきりドアを開け放った俺を、懐かしい空気が包んでくれる。みんなが泣いて笑っ
    た、ぼろっちい部室。そしてシンシア、セシル、ラシェル、メリッサ、チェスター…。あ
    のときの1年生は誰一人欠けることなく、以前と同じようにそこにいてくれた。
    「おにーちゃんっ!」
     シンシアが俺の首に抱きついてくる。2年前より少しは大きくなったが、中身はあまり
    変わってないようだ。
    「センパイ…よく無事で…」
     セシルの目は潤んでいた。おいおい、大ゲサだよ。
    「うっそー、ほんとにマスター!?」
    「ボクは無事だって信じてたよ!」
    「てめぇ!俺がどんなに心配…い、いや、なんでもねぇよ!」
     …なんか様子が変だぞ?俺はゴロゴロやってるシンシアを引きはがすと、事情を聞いてみた。
    「あのねあのね、デイルちゃんのてがみでね…なんだっけ」
    「センパイが海ヒドラに飲まれて行方不明だって…。ボク心配でしばらく寝込みました…」
    「デイル先輩っ!」
     俺が後ろを振り向くと、例によって先輩がにたつきながら立っている。
    「俺に手紙を書かせようという方が悪い」
    「先輩が書きたいって言ったんじゃないですか!」
    「そりゃあ書きたかったよ?ウソを」
     セシルがへたへたと床に座り込む。なんか悪いことしたなぁ…
    「やーんデイルさまっ、お帰りなさーい」
    「ま、てめぇみたいのでもしばらく会わなきゃ懐かしいよな」
    「相変わらずの態度のでかさだねえチェスター君!」
     思わずラシェルがぷっと吹きだし、周囲が笑いに包まれる。ああ、これだよなあ…。よ
    うやく俺は帰ってきたんだ。
    「ほらマスター!そんなトコ立ってないで中入ってってば!」
    「あ、うん」
    「ボクお茶を入れてきますね」
    「ボクはセンパイ達の冒険談を聞きたいな!」
     みんなに引っ張られて座り慣れた椅子に座る。今のマスターはラシェルがつとめている
    そうだ。少し不安だけどこいつならみんなを引っ張っていけるだろうし、無茶したら副部
    長のセシルが何とかしてくれるだろう。
    「それにしてもいるのは3年生だけか…。ま、春休みだし仕方ないな」
     回りを見回してデイル先輩がひとりごちたが、その言葉にいきなり部屋の空気が重くな
    った。
    「ど、どうした?」
     俺の質問にも、みんな決まり悪そうに下を向いて答えようとしない。俺の背中を、悪い
    予感という名の冷たい汗が流れる。
    「おい…新入部員は?」
    沈黙が部室を覆う。そういえば3年ほど前にも…こんな感覚を味わったような。
    「新入部員はぁぁ〜〜!?」


                               <続く>

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