Top一般ログ>03年10月
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更新リスト
2003/10/19 不倫は何故いけないのか
2003/10/23 久しぶりの読書
Title: 不倫は何故いけないのか
Genre: 今日の一言->科学
Date: 2003/10/19
Option: 文化の話

 とあるのサイトの日記を読んで思ったこと。

 『愛と恋と性と結婚、全てはどこかで繋がっていても別のもの』という認識は想像するに間違っていないにもかかわらず、何故不倫という行為がダメなこととして共通な認識が当該文化圏に浸透しているのでしょうか。

 今日はそれについて考えて見ましょう。



 といってもその答えは実は単純で、人間の持つ独占欲と自尊心が密接に絡んでくるから、というわけなのです。



 そもそも恋愛とは両者の不足分を補う契約としての一面を有し、これはすなわち呪いです。呪いを規律に基づかずに破ると手痛いしっぺ返しが訪れるのは世の常で、恋愛そのほかにしてもつまりは一緒です。

 片方の精神的安定を供給するものがそれを裏切れば、恨みや不満を買うのは当然のことで、それが世間的に一般的なものにされるならば相手は安心できません。

 商売においてお金をせしめておいて品物を渡さない商人を放置するような社会があるとするならば、そこで生真面目な商人が生き抜くことは出来ないのと似ています。



 相手を、ひいてはお互いを安心させるための祝いが婚姻や恋人という束縛なのであり、つまりは不倫を禁忌としてあらかじめ規定しておくことになるわけです。

 だからたとえば自尊心が特別な意味を持つメリケンなどでは不倫は一層強力な禁忌として働くでしょうし、発覚は、イコール大事となりやれ裁判だのやれ離婚だのとなります。日本でも似ています。

 その一方で、あらかじめ裏切ることを前提とした、言葉を言い換えれば片方がもう片方以外との自由恋愛を楽しむことを相手に強制できる環境、例えば一夫多妻制などの制度や、互いが自由恋愛を楽しむ社会としての多夫多妻制度(人間社会にあるのかどうかは知りませんが)といったものであれば、不倫はいけないことと認識されることはないでしょう。

 またアメリカにも日本にも、その文化に反発するような形でセックスフレンドという言葉が存在し、これはセックスの独占をあらかじめ放棄した付き合いであることが知られています。



 ここで重要なのは、どちらが遅れているとかどちらが進んでいるとかではない、ということ。
 独占欲や自尊心が高いのはダメだなどといっては世の中立ち行きませんし、それがないのはダメだ、というのもやはり違うということです。

 自分のしたいことを、相手の意思を尊重しつつする、という点ではどちらも同じですし、それを自覚しながらするのがわりと大変そうではあるのも同じではあるのですけどね。



 ひたすら自由恋愛を客観的に見た場合、不倫したい気持ちもわからないでもない、というのはわかる話です。
 それでいて不倫は信用問題的に相手を傷つけるのでいけないというのも、わかる話なのです。

 どちらかに妥協点を見つけること。もしくは、完全に開放された相手を見つけること。
 それが肝要だと思います。

 ただし、後者は社会という集合において特異点となりますので、当然何らかの軋轢が発生することは覚悟せねばならないでしょうし、それについては勿論予想の範疇でしょうから、怒るだけではなく(作戦ならともかく)何らかの対処ができるようにするくらいの準備をしておかないと話しになりませんよ。



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Title: 久しぶりの読書
Genre: 今日の一言
Date: 2003/10/23
Option:

 というわけで上遠野浩平さんの『殺竜事件』を読みました。

 そこで思いついたことを色々書いてみたんですが、名探偵役のエドワース・シーズワークス・マークウィッスルって、登場シーンが御手洗潔とかぶっちゃってるなぁということについて考えたあたりで指が止まりました。


 そこから勝手に想像が進んで、それにしても典型的名探偵像を使った小説は結構あるなぁと思ったんですよ。

 例えば外見情報をなくして、見栄を張らせて、鬱にさせて、謎を知性で解かせたら、『姑獲鳥の夏』に登場する榎木津礼次郎は御手洗潔(※1になるなぁ、とか、御手洗潔から『無茶苦茶な行動=無茶苦茶な行動』を省いて『無茶苦茶な行動=実は答えへの伏線』を残し、見栄と鬱を省けば『翼ある闇』の名探偵木更津悠也になるなぁ、とか、

 でも知らない人が読んだらわけのわからない文章が出来ちゃったので消しました。

 (例)後動悟や風桜青紫や石崎幸二みたいなどっしりとしたような年上のような探偵役も一時流行ったようなとか、レーゼ・リスカッセは妹尾睦月みたいな立ち位置だな、とか。一瞬本を引っ張り出して名探偵のタイプを分類しかけたりとか。


 ようするに結論だけいいますと、そのままベタベタな名探偵をそのまま使ってしまえば、それは単に面白いだけになってしまいますが、ベタベタな名探偵だという先入観を逆手にとって、そこに笑いなり別の意図なりをどれだけ巧く潜めるかに、作者の手腕が推測されるわけなのです。


 (※1)御手洗潔を説明すると、シャーロック・ホームズを知らない人が持つシャーロック・ホームズの印象を特化させた上で、躁鬱をブレンドし、笑えたり爽快だったりする奇怪な行動をスパイスとして加えれば、似た感じになると思われます。凄い端的な説明ではありますが


 ところでお話は少し変わりますが、清涼院流水の『コズミック』を読んで毒気に当てられた人がここやらここやらに。

 あれはミステリに見せかけたギャグ作品ですから真面目に読んだら当てられるかと。いろんな意味で。



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