Top一般ログ>10.モンティ・ホール問題
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Title: 10.モンティ・ホール問題
Genre: 今日の一言->Report
Date: 2011/01/19
Option:

「ねぇねぇ博士、冷蔵庫に入れてあったわたしのチーズケーキ知りませんか?」

「おや、丁度いいところに良く来た。リカ君。何だか久しぶりな気がするね」

「何故か久しぶりな気がしますね。で、何です?」

「うん、これを見てくれたまえ」

「何ですか? あ、箱が三つ置いてありますね。A、B、Cとか書いてありますけど」

「うむ。どれも白い箱だ。ところで君はモンティ・ホール問題というのを知っているかね」

「も……も?」

「桃じゃない。モンティ・ホール。一文字しかあっていないじゃないか」

「だって知らないですもん」

「まぁいい、良いか。この三つの白い箱の中に一つだけ、チーズケーキが入っているとしよう」

「あー! わたしのチーズケーキ」

「その通り。この中に、あっ、こら、触っちゃいかん!」

「だって! ちょ、もうちょっと」

「く、触っちゃいかん、落ち、落ち着いて聞きたまえ」

「うー。何ですかぁ」

「何でまだ手を伸ばしているんだ君は。良いかね。君はこの白い箱の中から1つだけ箱を選ぶことが出来る」

「……もしかして、正解したらチーズケーキが貰える、とか、そういう寸法ですか」

「その通りだ。さぁ、どれにする」

「えー……。何だか納得いかないなぁ」

「まぁまぁ。騙されたと思って選んでみたまえ」

「うーん……。じゃあAの箱で」

「そうか。Aの箱だな。間違いないな」

「はい」

「では、残るBとCの箱のうち……よっと。Cを捨てることにしよう」

「あ!」

「大丈夫、中はからっぽだ」

「あ、本当ですね」

「さて、残ったのは君が選んだAの箱と、Bの箱な訳だが」

「はぁ……。そうですね」

「もう一度君に、選びなおすチャンスを与えよう」

「え、ええ!?」

「つまり、残ったAの箱と、Bの箱のうち、どちらか好きなほうを選べるわけだ」

「もう一度ですか、何でわざわざ」

「まぁそこがモンティ・ホール問題の面白いところだな。さぁどうする」

「えー、でも、結局、Aの箱とBの箱のどちらが正解かわからないんですよね」

「そりゃそうだ」

「じゃあ、Aのままにしておきます。どうせどっちにしても確率は50%ですし」

「ふふふ」

「何ですか、その不敵な笑い」

「どうやら君もモンティ・ホール問題にはまってしまったようだね」

「え、どういうことですか」

「これは確率論の問題なのだが、実はAの箱にチーズケーキが入っている確率は1/3なんだ」

「へ?」

「だから、Aの箱にチーズケーキが入っている確率はBの箱にチーズケーキが入っている確率より少ないんだよ」

「え、あはは。まさかそんなぁ。ABCのどれかが正解からABのどちらかが正解、に問題が変わっただけじゃないですか。1/2に決まっていますよ」

「直感的な判断と、論理的な判断を誤る典型的な例だね。さぁ帰るか」

「あれ? えっと、その、解説はないんですか? 何だか納得できないです」

「うーむ」

「……」

「まず、ABCの箱のうち、Aにチーズケーキが入っている確率は1/3だな」

「はい」

「そして、BCのうち、入っていないほうの箱を捨てるとする。今回はCだったね」

「はい」

「もし最初に選んだAの箱が空っぽの箱だったとしたら、ここでBにチーズケーキが入っていることが確定する」

「そうですね。BかCのどちらかが当たりで、ハズレの方を捨てるんだからそりゃ確定しますね」

「じゃあ最初に選ぶAの箱が空っぽの箱である確率は?」

「2/3ですね」

「そのとおり。Aの箱が空っぽの確率が2/3で、Cの箱はもういないので、Bの箱が空っぽの確率は残り1/3となる。つまり、Aの箱が空っぽでない、チーズケーキが入っている確率は1/3だ」

「あれ?」

「解決!」

「あれーーーーー?」

「博士!」

「何だね」

「直感的に、納得できません! もっと解りやすくお願いします」

「やれやれ。じゃあ直感的に解るように説明しよう!」

「おお!」

「結局のところ、最初に選んだAの箱にチーズケーキが入っている確率は1/3。これは変わらないんだ」

「えーっと、そうですね。選んじゃってますもんね」

「うん。でも、選んでないほうの箱たちのうち、ハズレの箱が減っていくと、相対的に減らなかった箱にチーズケーキが入っている確率は高まっていくよね」

「そういえばそうですね。 あ、もしかして最初にAの箱を選んでいるのがポイントだったりします?」

「その通り! 最初に選んだ箱は、捨てられた箱による『あたり』の確率アップの恩恵を受けられないわけだ。さらに分かりやすい例を言うとすると、例えばこれが3個じゃなくて1000個の箱だとわかりやすい。最初に好きな箱を選んだ後、残りの999個の箱のうち僕がはずれの箱だけを998個捨てたとする。最初に選んだ箱と、残った箱、どちらを選んでも50%だと思えるかな?」

「確かに思えません。1000個から選んだ1つがあたっていることなんてそうそうないですよ」

「うむ。Aの箱にチーズケーキが入っている確率は1/3のままだが、Cの箱が減ることによって、Bの箱にチーズケーキが入っている確率は1/3増えて2/3になったともいえるね」

「ほんとだー!」

「ある確率に対してあるデータ……今回は箱の操作だったわけだが、そういうデータが得られた時に、その結果を反映した確率を事後確率という。勉強になったかね」

「はい、なりました!」

「よし! じゃあ帰ろうか」

「あの、博士」

「何だね」

「今見たらABCどの箱にもチーズケーキが入っていないんですけど」

「……」

「……」

「……」



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