アイソレーション・トランス

そ して 何も聞こえなくなった
2006/12/05

<目 次>

1.アイソレーショントランスの自作、クリーン電源装置との比較試聴

2.電源ケーブル試聴記

3.アイソレーショントランスをアンプに使用

4.200V伝送の効果

5.トランスの接続形態−どれがC/Pベストか?−

6.100V,200Vを切り換えできる トランスの製作

7.屋内配線ケーブル、アイソレーション・トラン ス、200V伝送
切替え試聴(総集編)−

8.ノイズ・フィルタは効果的か?

9.電源ケーブルで音は変わるのか?

10.アイソレーショントランスの(非本質的な)副作用とその対策

11.うなり防止回路

12.プライトロンのトロイダル・トランス

13.単巻、非絶縁トランスを導入−発想の転換−

14.アイソレーショントランスの正しい使い方−まとめ−


<はじめ に> アイソレーション(絶縁)・トランス単体の購入→ケースに入れて自作、という安価な方法を覚えたので、沢山のトランスを用意することができ、いろい ろ実験をしてみました。その結果を踏まえて、最終的には、200Vで伝送し、アンプ、プレーヤ1台に1個ずつトランスを付けてシステムの電源を担ってもら うことに しました。結果は上々で、美音系のスピーカだと思っていたヘリコン300が現代スピーカに大変身、また情報量が増加し生に近い音に・・・また アイソレーション・トランスの欠点(*)も段々と分かり、その欠点回避の仕方も研究中です。以下、その長い道のりを紹介します。

(*)欠点は低音のキレが落ちることにあります。よく 言えばゆったりとした、 ふくよかな音に聞こえます。悪く言えば甘い低音に なります。低音を最優先する「低音フェチ」の人は、14.を 先に読ん でください。

1.アイソレーショントランスの自作、クリーン電源装置との比較

アイソレーション・トランスを自作しました。CDプレーヤにアイソレーション・トランスを付ける効用については、かないまるHPの「絶縁トランスによる音質改善」 を参考にしてください。

絶縁トランスにはいろいろなタイプが市販されていますが、ノイズをカットするため専用に設計されたトランスを使いました。特殊なカットコアを使用し、一次側・二次側のコイルとも、それぞれ銅箔テープでがんじがらめに巻かれています。普通のトランスはここまで厳重なノイズカット対策がなされていません。トランスの容量は、CDプレーヤなら100VA〜300VAで十分ですので、今回は300VAにしました。一次側にヒューズかブレーカを挿入する必要があります。ここでは10Aのブレーカ2P1Eを使いました。トランスの二次側電源波形は綺麗な状態なので、外からノイズを拾わないように、二次側からCDプレーヤまでは慎重に電源ケーブルを引っ張ります。

絶縁トランス
<図1−1> アイソレーション・トランス:ユニオン電機ノイズゼロ トランスMNR−5型300VA最初、電研精機のノイズカットトランス(EI型)を使っていましたが、鉄心からの発熱が大きいので、ユニオン電機のノイズゼロトランスに替えました。こちらのほうは無駄に熱を発生しないし、音質も良いようです。トランスの左側にあるのは2次出力側コンセント2口。

CSEのクリーン電源装置と、このアイソレーション・トランスとを、それぞれSACDプレーヤにつないで音質比較の実験をしました。

クリーン電源装置:CSEのRK-100 (100VA)

SACDプレーヤ:デノンDCD-SA500 

アンプ:デノンAVアンプAVC-A11SR,スピーカ:ALR/Jクラシック1(10cmウーファ小型密閉型スピーカ)

まず、音を出す前にCSEのノイズチェッカーNA-30で測定したところ、
・オリジナル100V電源波形=レベル5/5(インバータ蛍光灯を点けていたので、ノイズの多い状態、屋内配線ケーブル同士が接近しているのでノイズが乗り移ったと思われる。)
・クリーン電源装置経由=レベル1/5
・アイソレーション・トランス経由=レベル1/5

となり、クリーン電源装置でもアイソレーション・トランスでも、計測ノイズは十分に軽減されていることが分かります。

■オリジナル電源そのままで聴くと、混濁感があって、そのため立体感も低下し、あまり感心しない結果となりました。←今まで聴いていた音が、これ。

■クリーン電源装置経由では、奥行き感が出て、細かい音も重ならないでよく聞こえてきます。中高音が美しく、ハイスピードな味付けになりました。ブーンと いうハム音が聞こえます(*)。 またクリーン電源装置はA級パワーアンプのような発熱量です→設置場所に注意。真夏が問題

■アイソレーション・トランスでは、奥行き感が出ることはクリーン電源装置と同じですが、低音が少しゆったり目の音になりました。このアイソレーション・トラン スは「ジー」というコイルの振動音が聞こえます。静かな部屋で聴くと耳に付きますが、音楽を演奏すれば気にならない程度。トランスからの発熱は極めて少ないです。。

■次に、クリーン電源装置→アイソレーション・トランス→CDプレーヤと、縦に接続したところ、スピードは鈍るけれど、まろやかで聴き疲れしない音になり ました。トランス単独の場合よりも、真空管アンプの音にもっと近づいた感じです。

(*)RK−100の下にインシュレータを敷くとブーンという音は小さくなります。

<まとめ>アイソレーション・トランスの音響改善効果が確認出来ました。クリーン電源装置とアイソレーション・トランスの特長と欠点が、なんとなく掴めてきました。

2.電源ケーブルの比較試聴

電源ケーブルの話はトランスと関係ないので、読み飛ばしてください。上記アイソレーション・トランスとSACDプレーヤとの間で電源ケーブルを取り替えて4種類聴きくらべしました。試聴メデイアはブルックナー:交響曲第5番アーノンクール指揮 ウィーン・フィルのSACD(BMG)

(a)名もないパソコン用電源ケーブル1.8m

(b)マランツPM-15S1に付属していた電源ケーブル1.8m

(c)アクロリンクの6N-P4020IIに、 明工社の電源プラグME2573、オヤイデのコネクタ4781BSRを取り付けた自作ケーブル1.5m

(d)オヤイデのPA−23に、明工社の電源プラグME2573、AETのコネクタPSE-320HRを取り付けた自作ケーブル1.2m

まず(a)は一聴して低音・高音が出ていないことが分かり、メデイアに入っている沢山の情報をわざわざ壊しているのではないかと思うくらいひどい音になる。これは使えない。

(b)は、レンジの広がりはよく、細かい音も聞こえるし、聴ける!しかし、音が平面にへばりついている感じでもう少し躍動感がほしい。しかし、贅沢を言わなければこれで十分使える。

(c)はゆったりと柔らかい音。高域の低下は(b)よりも多く、物足りない。刺激的な音はいっさいしないので、寝室に置いて寝ながら聴くのにはよいかも。 アクロリンクの6N無酸化銅ケーブルの上品な音。

(d)は、レンジの広がりはよく、細かい音もよく聞こえるところは(b)と同じ。さらにキレが良くなり、低音の重心が下がり、空間情報も出てくる。力強さ も出る。これは素晴らしい!

結論として、普通は(b)で十分。ただ、それ以上を望むなら(d)がよい。オヤイデPA−23を使った完成ケーブルPA−23FXは1万円くらいで買える ので、1万円の投資でこれだけ音が良くなるのなら投資する価値はあると思う。(c)は昔から売られているケーブルだが、柔らかい音が好きならば使える。 −−しかし電源ケーブルの比較試聴は体力を使いますね。



3. アイソレーション・トランスをアンプに使用

ユニオン電機から、300VAと1kVAのアイソレーション・トランスを購入して、それぞれ見栄えがよ いよ うに、市販の金属(鉄)ケースに入れました。

アイソレーション・トランス:ユニオン電機ノイズゼロトラン スMNR−5型300VA__MNR−8型1kVA。どちらも100V_vs_100V(結線で200V_vs_100Vに 変更可)。

1kVA装置
<図3−1>1kVA装置製作途中。トランスの一次側コイルと二次側コイルが分離され、それぞれ銅箔テープで厳重に巻かれている。







300VA装置

<図3−2>300VA装置完成。すっきりとコンパクトに、ケース寸法は 120x140x220mm。







1kVA装置
<図3−3>
1kVA装置。ケース寸法は160x180x260mm











聴き比べ条件:サブシステムの プレーヤとAVアンプの両方に、アイソレーショ ン・トランスから電源を供給。


<図3−4>
実験に使った配線図
配線図

結果:
(1)元からある商用100V電源(トランスはスルー):音が濁って、スケールが小さいです。曇りがちな音。これは聴き比べて初めて分かることです。

(2)絶縁トランス(ユニオン電機300VA)から、AVアンプとプレーヤの両方に電源を供給しました。最初の音を聴くな り、背景音場が澄んで透明度が上がります。深み・奥行きが出ます。音の瞬発力が甘くなることもありません。容量が小さいのによく健闘しています(*)

(3) 絶縁トランス(ユニオン電機1kVA)に交換。雄大なピラミッド・バランスになり、スケールが広がった感じです。が、よく聴くと、最低域の締まりがほんの わずか低下しています(**)。300VAをとるか1kVAをとるかは好みですが、オーケストラなら雄大な1kVA、小編成を聴くならキビキビとした300VAでよいと思います。私個人的にはマランツPM-11S1の駆動用に500VA〜1kVAを使いたいです。

(*)この 300VA装置を、メインシステムのマランツPM-11S1の 駆動にも使いましたが、透明感がアップし、躍動感のある見事な音を聴かせてくれました。

(**)1kVAは雄大なだけに、最低域の締まりの低下がわかりやすかったようで す。 この最低域が甘くなる問題は、絶縁トランスをプリメインアンプやパワーアンプに使うときの固有の問題で、避けて通れないことが後で分かりました。


結論としては、背景音場が澄んで透明度が上がる、というノイズゼロ絶縁トランスの効果を確認できました。電源ケーブルの交換に比較して何倍もの(自分としては十倍以上と言いたい)大きな効果です。ただ曜日・時間帯によって商用100V電源の質が上がれば、その分トランスの効果は相対的に薄くなることも確認しました(後の7.参 照)。

なおトランスの何kVAという数字よりも、アンプに瞬時に電流を供給できることが大事で、トランスの形式とコアの磁気特性を重視します。EI コアよりも、カットコア、Rコアが最適と思っています。コアは理想的にはアモルファス・コアですが超高価なので、普通の珪素鋼板です。

ユニオン電機のMNRトランスはカットコアで、一次側コイル、二次側コイルともに、銅箔テープが厳重に巻かれ、ノイズをカットするという機能は優れています。また、発熱も少なく、効率がよいのです。たった300VAで小型アンプを良く駆動できるならば、小型・安価で済ますことができ、こんな有り難い話はありません。ユニオン電機からオーディ用ケース入りも出て いるようです。このユニオン電機のトランスはお勧めできます(***)

(***)あとでプ ライトロンの医用トランスを入手しましたので、ユニオン・トランスとの対決をさせます。

ただ、次に述べますが、トランスを100V_vs_100V で使うだけで十分なのか、200V_vs_100V で使って初めて完全活用できるのか、よく検証する必要があります。

4.200V伝送の効果 −−輪郭の明確さとダイナミック・レンジ向上 −−

ブレーカからサブシステムの壁コンセントまで11mの屋内配線ケーブルを敷き、 200V で伝送しました。

200Vが通る屋内配線ケーブルは5.5スケアの銅シールド付きの電線(藤倉のCV−S_5. 5架橋ポリエチレン電力ケーブル・シールド付き)を使っています。これは普通、柱上トランスから家までの引き込み線に使うもので、極太でガチガチに硬く て、壁内に敷くのが大変だったようです。なお、電気工事は資格が必要なので、必ず有資格者(近所の電気工事店など)に依頼しましょう。

ここで200Vが優れている理屈を 説明すれば、200V伝送の効果として電流が半分で済み、 伝送損失(I^2・R)が 1/4になるので、柱上トランス〜引込み線〜分電盤〜壁コンセントまでの総距離が1/4になるのと同じです。200mならそれが50mに短縮したように なるわけです。あるいは、同じ距離なら電線の直径が2倍になるのと同じ効果です。



200Vbypys

<図4−1>
200Vコンセント(ホームセンターに売っている一般品、接地2P型)。木製ベースを当てている。






200/100トランス
<図4−2> ステップダウン・トランスには、7.で述べた ユニオン電機ノイズゼロト ランスMNR−8型1kVAを 、200V_vs_100V 結線に変更して使いました。

黒いケーブル(CV−S_2.0) が入力側200V、インレットを使わずに直接入力しています。左下は出力側の100Vコンセント。








インレット
<図4−3> 200V入力にインレットを使う。一般的な注意として、200V用トランス装置にインレット・コネクタ を付けるときは、100Vに使う一般品でなく、200V専用の特殊な形状の物を選びます。アメリカン電機のこの 製品(品番2125N;15A用2P型)が最もコンパクトだし、「引掛型」 と言って回して止めるタイプなので、つまり抜け落ちることがない点が気に入り、これを使いました。また品番3125N; 15A用3P型もあり、こちらは3Pなのでグラグラしないのでさらに良いです。





サブシステムの プ レーヤとAVアンプの両方に、ステップダウン・トランスを経由した100V電源を供給しました。


両方に供給

100V

200V_vs_100V と100V_vs_100V をスイッチ切り替えできないので瞬時比較できませんが、同じトランスで、200V_vs_100Vと100V_vs_100Vを、何度か往復して聴きまし た。

図4−4(200V)の特徴は、すば やい エッジの立ち上がり、キリリと引き締まった音像、シャープな 輪郭。ダイナミックなパワーにあります。すっきりと広がる青空のような・・・ システム全体のグレードが一段と大きくなったようです。

図4−5(100V)では、図4−4を聴かなければ素晴らしい音ですが、図4−4を聴いてしまうと、エッジのダレ、音像のボ ヤケ、にじみが耳に付く。まとわり付くような粘っこい音。

ところで、図4−4と図4−5では、100V、200Vの違い以外に、屋内配線ケーブルが 違っています。図4−5は家の新築時に敷いた普通のVVF線(ビニル絶縁ビニルシースの平形ケーブル、距離は不明)ですが、図4−4は芯線をツイストし全体を銅箔シールドしてあるCV−S線(架橋ポリエチレン電線シールド付き、11m)です。 鈴原氏の「音生命」というホームページを引 用させて頂きますと、芯線ツイストの利点はノイズを拾いにくいことにあり、「音源の位置を指差すことができ、音の仮想現実が出現」するためには絶対有利と のことです。

電源ケーブル
<図4−6>VVF線(左)とCV−S線(右)

左のVVF線は芯線が平行しており、どこにでも使われている物。
右のCV−S線は芯線をツイストしたキャブタイヤ構造で、しかも銅箔シールド付きなので放送波やインバータノイズを遮断でき るころが有り難い。




上のホームページによれば、我々は 「電磁ノイズまみれの環境で」音を聴いているそうで、そのノイズは主に屋内配線ケーブルが拾ってくるものらしいです。なるほど、VVF線は2本の平行芯線 間で細長いコモン・ループができてしまうので、ノイズを拾いやすい構造であることは確かです。「電磁界強度を下げるには、屋内配線を一般的なVVF(平行 線)ではなく、すべてツイスト線にすることが有効で、これで電磁ノイズを約10分の1に低下させられる」そうです。そのとおりだと思います。

図4−4と図4−5の音の違いは、200V伝送と100V伝送の違いなのか、屋内配 線 ケーブルの違いなのか、両者がどのように寄与しているのか、い まのところはっきり分かりません。これを検証するには同じ屋内配線ケーブルを使い、同じトランスにつないで、一方200V_vs_100V、他方100V_vs_100Vで比較しないといけ ません。これは面倒ですが、下記の7.でこのテストに挑戦しようと思います。それ まで当分は「屋内配線ケーブル込みの200V伝送の効果」ということ行きたいと思います。

このように「屋内配線ケーブル込みの200V伝送の効果」が認められたので、こんど はメ インシステムにも取り入れるつもりです。多少のトランスのう なりは我慢しないといけません(*)

(*)トランスの うなりは、優秀なトランスであるほど発生しやすいようです(EIトランスはうなりが少ない)。しかし、トランスのセッティングをしっかりすることで、うな り音はほとんど目立たなくなります。

5. トランスの接続形態別のテスト−どれがC/Pベストか?−

 

(1)2台のトランスからアンプ、プレーヤに別々に供給するのが良いのか、1台のト ラン スからまとめて供給しても音質は変わらないか、サブシステム で試してみました。

<図5−1> トランス装置1台

トランス装置1台

トランス装置には1kVAを使用。理屈の上では赤 いコモンループが できるので、音質に悪い影響を与えるはず。またアンプ(プレーヤ)から発生するノーマルモード・ノイズがプレーヤ(アンプ)に逆流するはず。

<図5−2>トランス装置2台

トランス装置2台

トランス装置Aは750VA、トランス装置Bは1kVAを使用。なおトランス装置 A,B の200V入力側の分岐には、コンセント・ボックス(図 5−5)を用いています。

試聴ディスクはシューマン:交響曲第2番、 第4番(原典版)ダウスゴー&スウェーデン室内管弦楽団(BIS)

実際聴いてみたところ、図5−2のほうが音の粒子が一段とほぐれ、分離、見通 しがさらに良くなります。図5−1は団子状態に若干近い。この違いがあるので、1台の機器ごとに1台のトランスを設置しても決して無駄では ない、置き場所があり、価格面で折り合えば、1機器=1トランスの構成を目指すべき、と言えます。

<図5−3>プレーヤはトランス経由、アンプは商用100Vを直接供給。

プレーヤ=トランス


これは強力な対抗馬です。S/Nは図5−1よりも落ちますが、十分聴けるレベルです。もし図5−1をやってトランスの「低音 の量感が出て、音が柔ら かくなる」という効果が出すぎる場合、アンプには使わず、この図5−3にとどめるべきです。


<図5−4>アンプもプレーヤも商用100Vから直接供給。
商用100V

これは角の取れたナローレンジな音になってしまい、最も低い得点です。これも 100V電 源はVVF電線経由です。

どれがC/Pベストかと言われると、小 型 トランス1台で済む「図5−3」がベストで しょう。プレーヤ用のトランスは200VAくらいで十分です。「図5−1」はアンプも駆動するので、500VA〜1kVA〜くらいの容量が必要となりトラ ンスの値段も高くなり、重く大きくなり、音も鈍重になります。「図5−2」はシステムのS/N向上には理想的です。しかしアンプにトランスを通すので、音 は鈍重になります。

<図5−5> 横道にそれますが、コンセント・ボックスの写真。コンセント、プラグは 200V15A用のものを取り付けています。孔の形・サイズは 100V用と同じですが、100V用と比べて溝の方向が違います。 200V15A用のコンセントとし て明工社のME2830とアメリカン電機の7120GDを両方入手しました。

コンセントボックス

200V用のコンセントの溝の形状を明 工社のホームページで調べてみましたが、いろいろあります。端子で分類すると、「2P」というのは極が2つ、「接地2P」=接地1つに極が2つ、 「3P」=極が3つ、「接地3P」=接地1つに極が3つ。

15Aタイプでも、図5−5のような(接地 2P)、あるいは(3P)、(接地 3P)といった型があります。20A用では(3P)、(2P)が あります。同じ型でも、アンペアが違うと溝の大きさ・位置が違って互換性はありませ ん。なおCSEが出しているオーディオ用のCON−5は20Aの(3P) タイプです。いままで述べたのは「平刃型」といって、差し込んでバネの圧力で横から押さえるタイプですが、さらに、引掛型と言って差し込んで回して固定す るタイプがあり、これもいろいろな溝の形状があります。アメリカン電機は引掛型が得意なメーカーで沢山出しています。アメリカン電機のホー ムページ参照

このように200Vコンセントは迷うほどたくさんあり、どれを選ぶかもオーディオの楽しみの一つです。私は20A用のほうが 刃も広くて厚いのでこれを使う予定です。引掛型のほうがしっかり固定できるのでよいのではないかと思っています。

電源ケーブルについては、芯線の数は200Vも100Vと同じで最低2本の線で足ります。アース線は原則として不要です。 100Vでは線ごとにライブ、ニュートラルの違いがありますが、200Vでは極性の違いすらありません。

6.100V と200V両方で使えるアイソレーション・トランスの 製作

<図6−1> トランスの回路図
両用トランスの回路図

このように100Vと200Vを4極スイッチで切り換えることのできるアイソレー ショ ン・トランスを製作しました。インレットは100V用は普通の IECインレット
http://oyaide.com/catalog/products/p-73.html
でよいですが、200V用は別の形のものを付けないと、コネクタを間違って挿入すると大変なことになります。そこで、まった く違う形のアメリ カン電機のインレット、この中から15A250V用の物(2125N)を採用しました。

背面の写真
<図6−2>背面の写真。右上の白い四角が 200V用インレット(2125N)、右 下の黒が100V用インレット、左下の白は100V出力コンセント(明工 社)。黒い丸い端子は接地端子。













スイッチボックス
<図6−3>スイッチボックス内の配線。真ん中に 4極の大型スイッチがある。







<図6−4>コンセント・ボックスの配線

コンセントボックス

このように、分電盤から3芯の屋内配線ケーブルを 壁コンまで配線すれば、コンセント・ボックス内で同じ電線を通った100Vと 200Vを作ることができます。100Vと200Vをスイッチで切り換え可 能なアイソレーション・トランス(図6−1)を使えば、200V伝送の効果のみを検証することができます!

<図6−5>3P壁コンセント3P壁コンセント。


200V3P20A・引掛式_ア メリカン電機製(3220)。 さすが20A用、差し込みの反発力もあり、オーディオ用として十分使えそう。ここから100Vと200Vを給電する。







7.屋内配線ケー ブル、アイソレーション・トランス、200V伝送−切替え 試聴(総集編)−

100V,200V両用トランスの組み立てと配線が完了したので、いよいよ切替え試 聴に 入ります。テストに使ったディスクは
続きのフォリア: サヴァール&エスペリオンXXI (Alia_Vox)」の1曲目と2曲目。
ショスタコー ヴィチ交響曲第11番 コフマン&ボン・ベートーヴェン管弦楽団(MDG)

試聴のポイントは、ズバリ「チャンネ ル・ セパレーション」(透明感、ステレオ感、立体感etc.)です。トラン スを入れることで低音の質感が低下して甘くなったり、低音〜高音のバランスが変わることがありますが、こういった「周波数特性の変化」「低音の変化」は チェックしていません。 低音の変化対策については14.アイソレーショントランスの賢い使い方を 参照してください。


機器は、プレーヤ:デノンDCD-SA500, アンプ:デノンAVC-A11SR, スピーカ:ALR/Jのク ラシック1,SPスタンド:サイドプレス、です。電源ケーブルはホームセンターで売っている3芯ビニルキャブタイヤ(VCT)ケーブル。コンセント、プラ グ類はホームセンター等で売っている一般品です。コンセント・ボックスも未来工業のプラスチック製です。

実はテストの印象は曜日、時間帯によって異なり、深夜の寝静まった頃、日曜日、連休 など 音が全体的によくなり、10点くらい上がります。うちの家(工場地帯でもない普通の郊外住宅 地)で曜日、時間帯により透明感が 変わるという現象は、何度も遭遇していることです。以下の点数は、平日夜、同じ時間帯に行ったもの同士の比較です。80点以上なら優秀、80点以上の点差 は誇張して付けています。

<図7−1>普通の壁コンセントから給電した。このVVF平行ケーブルは我が家の中 を巡 り巡ってオーディオ・ルームまで到達している(長さ不明)。


(結 果)●平日聴いたフォリアは全体の輪郭が曖昧。真ん中にあるヴァイオリンのエコーが右から強めに聞こえ、ヴァイオリンが中央から右に広がっているように感 じる。ベース、パーカッションなど低音群が弱く、しかもボンボン鳴ってはっきりしない。厚いヴェールをかぶったような曇った音。●日曜日のショスタコも残 響音がカラっとしないで湿っぽい。楽器の音に残響音がまとわりついている感じで、一番大事な直接音が甘くなっている。全体にスピードが鈍い。音場感も物足 りなく、平面的。これを70点とする。






<図7−2>屋内配線ケーブルをオーディオ専用に敷いたCV−S線(フジク ラ,11m) に替えてみる。CV−S線は2スケアの太さで、3芯のうち白 黒2芯を使用。これで屋内配線ケーブル交換の効果が分かる。


(結 果)●図7−1と比べて良くなっている。フォリアは雰囲気が静かになってきた。ヴァイオリンが中央と右にそれぞれ1台合計2台あるように聞こえる。ベース も良くなったがまだ曖昧さはある。全体に甘さは改善されたが、まだ少し不満。●日曜日のショスタコは、残響音が楽器の音から離れてくれたようで、良くなっ た。だが、まだ喧嘩して打ち消し合っている部分が少しある。瞬発力は上がっている。音場も図7−1に比べて広い。80点





<図7−3>普通の壁コンセントから給電して、絶縁トランスを経由。トランス挿入の 効果 がどう表れるか?トランスには750VAを使用



(結果)●図7−1よりも良い。フォリアは各楽器の音が明瞭になり、ベースが締まり音程が聴き取りやすくなる。●ショスタコ は、ラッパやティンパニの音離れが良くなり、瞬発力が上がってきた。しかし図7−4に比べると薄いヴェールが一枚かかっている感じ。。。。83点






<図 7−4>CV−S線にトランス装置を挿入。

(結 果)●図7−2と比べるとさらに良くなった。フォリアは深閑とした雰囲気。ベースも音程が聞き取れるし、パーカションも力が出てきた。ヴァイオリンは実は 真ん中に1台だけあって、右から聞こえるのは反射音であることが初めて分かる。ギターもヴァイオリンの右から聞こえだした。●ショスタコは図7−3に比べ ると深みがでてきたというか、音の重心が下がってスケールが増してきた。余韻の滞空時間もやや長くなってきた。満足度上がる。85点



<図7−5>屋内配線ケーブルの芯線を赤黒に変更して200Vにする。トランス装置 はス イッチ切換えで200V対応に。これで200V伝送の効果が 分かるはず。

(結 果)●フォリアの深閑としているところは図7−4と同じ。ヴァイオリンもくっきり、左から聞こえる拍子木みたいなもの、右から聞こえるマラカス、それぞれ 位置がはっきりしてきた。ステージ全体がよく把握できる。図7−4との差は小さいが、違うところは、楽器の音像の大きさは変わらないものの(かえって大き いかも知れない)、エネルギー、瞬発力が増していることである。●ショスタコも、図7−4との差は、ホールがさらに広大になり、その中で各楽器の音の持つ 生々しさが伝わってくる。演奏の力強さとスケールの雄大さを感じる。これなら大編成でも十分に聴けるはず。90 点


<図 7−6>VVF平行ケーブルから2台のトランスを経て、それぞれアンプとプレーヤ に。100V派の最後の拠り所、このダブルトランスの効果は図 7−3と比べてどうか?トランスAは200VA、トランスBは750VA。


(結 果)2台のトランス使用の効果は凄い。図7−3よりもS/Nが上がり躍動感が増している。低音の量感も増している。渋いと思っていたクラシック1が輝いた 音を出している。これで十分な水準である。あと図7−7と比較すると、音源の滲みがわずかに残り、定位に少し不満が出てしまうが、図7−7を聴かなければ 分からない。他に何も不満はない。これで100Vトランス使用の究極形態になる。95点







<図7−7> トランスを2台使ってプレーヤとアンプ別々に。図7−5に比べてどのくらい 変わるか?


(結果)図7−5と比べて、こちらのほうが完成度 は一枚上という感じ。S/Nがさらに良くなっているようで、濁りのないピュ アな音色で、倍音も美しい。精密な音響空間を感じ取ることができ、演奏中の舞台に立っているかのように錯覚する、各楽器のリアリティが素晴らしい。97点








<番外>電源ケーブル、コンセント、プラグ類を、全部オーディオ用高級品に替えたら どう なるか試したいところです。

オーディオ用高級品にすると予想は2つあり、(a)屋内配線ケーブル、アイソレー ショ ン・トランス、200V伝送をベースにするのだから高価な電源 アイテムを使えばもっと良くなるはず。(b)屋内配線ケーブル、アイソレーション・トランス、200V伝送で、本来電源アイテムがするべき仕事をやってし まったのだから、高価な電源アイテムを投入してもそれほど良くならないだろう。どちらが当たっている?

まとめ

まだテスト・ディスク2枚の中間報告ですが、(1)オーディオ専用の屋内配線ケーブ ル (CV,VVRなどのツイスト線)を敷くだけでも、VVF平行 ケーブルと比べて良くなります。トランスを使わない(使えない)場合でも、このオーディオ専用の屋内配線ケーブル敷設工事は是非やっておきたいです。

(2)いままでのVVF平行ケーブルに絶縁トランスを加えるだけで静かになり良くな りま す。オーディオ専用屋内配線ケーブル+絶縁トランスにすれば さらに良くなるので、図7−4あたりが1つの中間ランディング点でしょう。

(3)プレーヤとアンプに別々のトランスを当てると、音像がピシッと定位感が改善さ れ、 全音域にわたってヌケがよくなります。たとえ200Vにしな くても(できなくても)、オーディオ機器ごとに別々のトランスを使うのが最終ランディング点でしょう。

(4)200Vにすると、さらに広がる音場の中で力強さがアップしました。しかしす べて の人に200Vを勧めている訳でなく、高音質の音源を十分聴 き分けることが出来る耳と装置を持ち、演奏中、舞台の最前列で聴いているかのようなリアリティを追求する方に勧められます。

(5)日曜日・祝日等は元になる商用100V電源の質が良くなるようでトランスの有 り難 みは相対的に低下します。日曜日・祝日等の商用100V電源 の質は、商用100V電源が悪い平日のトランス使用の効果に近づきます。→つまりトランスを使えば、日曜日・祝日並みの電源がいつでも確保できると言うこ とです。

私のメインシステム(ヘ リコン300スピーカ)のプレーヤと3台のアンプに、200V&絶縁トランス(合計4台)を導入しました。これは化けました! リアリズムの世界に突入!  湧き出す泉のような透明感、深い森のような静まりかえった背景(決して人工の沈黙ではない)、時には色鮮やかな音色を奏で、時には地も割れんばかりに力 強く迫って来る・・・決して誇張ではありません、生演奏の感触に近づきました。ただし後で気がついたことがあり、フロントch用のアンプだけ、絶縁トラン スを外しました。この理由は14.アイソレーショントランスの賢い使い方

私のサブシステムでも、プレーヤとアンプに、200V&絶縁トランス(合計2 台)を使っていますが、情報量の増加には目を見はるものがあります。

なぜ電源が大事なのか? 電源といっても、電源ケーブルの交換といった上の階層の話 では ありません。もっと下の階層、電源そのものの「質」、電源に 含まれているノイズの話です。ノイズとは「目的とする信号が正確に伝わるのを妨げる要因」と定義します。

電源のノイズを減らせば、鈴原氏の「音生命」 というホームページで引用されている片岡先生の言葉どおり、「音源の位置を指差すことができ、音の仮想現実が出現」することがテストではっきり確 認できました。逆に電源の質が悪いと、「ピンボケ状態のように細部が不明瞭で、元の情報を認知できなくなってしま」います。

<図7−8>

電源の質が良い場合
電源の質が良い場合、低音から高音までよく位相 が揃うので、「音の仮想現実」が再現。音源の位置がはっきり分かり、躍動す る生々しい音になる。






<図7−9>

電源の質が悪い場合
電源の質が悪いと、音像が広がり、にじむ。音の 明瞭度が低下する。ステレオ感(チャンネル・セパレーション)が悪くなる。 音量も小さく感じる。この状態で電源ケーブルやプラグを交換しても訳が分からず、「電源アクセサリはオカルトの世界」になるのではないだろうか?







8.ノイズ・フィルタは効果的 か? 

トランスの10分の1の値段で買えるノイズ・フィルタでも、トランスに代わる効果が あるか? そのあたりを試してみました。まずノイズ・フィルタに はどんな種類があるか?参考にしたのはこの文献です。
http://www.tdk-lambda.co.jp/products/sps/catalog/jp/nf_tech_data.pdf

コンセントに差し込むだけのオーディオ用並列型のフィルタが販売されていますが、こ れは コンデンサに感電防止用の抵抗を付けた物だと思います。これ はこれで効果があるのでしょうが、おまじないみたいで使う気は起こりません。普通ノイズ・フィルタといえば、
<図8−1>
ノイズフィルタ回路

このようにチョークコイルとコンデンサを組み合わせた直列タイプになります。アース を採 らないで済むタイプ(低漏洩電流型)と、アースを採るタイプ とを両方用意しました。アースを採るタイプ(標準型)のほうが当然ノイズカット性能は優れています。またオーディオ用なので低周波を重視して、1MHzま での低周波をカットできる製品を選びます。

オーディオ用の製品なら、CSEのノイズ・フィルタ
http://www.cse.ne.jp/nfw.htm
もこのタイプですがやや高価です。サンリッツからLNF−5A
http://www.sanritz-corp.co.jp/products/emc/lnf_series.html
が出ています。どちらも完成品であり、自作しない人は、この2つの中から選択すればよいでしょう。

ここでは、デンセイ・ラムダというブランドで沢山の製品が出ているので、その中の MA1206,LMA1210,MA1206L,LMA1210Lという単品フィルタ
http://www.tdk-lambda.co.jp/products/sps/catalog/other/ma12_mx12_j.pdf
を買いました。”L”は低漏洩電流型です。


ノイズフィルタ
<図8−2>MA1230L。
定格電流30Aの低周波カット型、低漏洩電流型、価格は1個2500円。








<図8−3>屋内配線ケーブルを、オーディオ専用に敷いた CV−S線(フジクラ,11m)にしてまず、フィルタな し100Vで試聴。これを基 準にします。









<図8−4>CV−S線の先にフィルタを付ける。



(結 果)あえて言えば変化はあるが、「変わらない」と言っても良いくらいわずかの変化です。テストしたのは接地をとらない低漏洩電流型ですが、接地をとる標準 型を使って、清浄なアース線に接続すれば、少しは効果はあると思います。しかし、もうテストしようとする意欲もなくなりました。このフィルタは冷蔵庫、蛍 光灯に使うことにします。



結局、ノイズ・フィルタは効果的でな かっ たです。



9.電源ケーブルで音は変わるのか?

200V伝送で質の良い100V電源が得られたので、いよいよ末端の電源ケーブルで 音が 変わるかどうか調べてみました。

予想は2つあり、(A)屋内配線ケーブル、アイソレーション・トランス、200V伝 送を ベースにするのだから、電源ケーブルで音の違いをはっきり聴 くことができるはず。(B)屋内配線ケーブル、アイソレーション・トランス、200V伝送で、本来電源ケーブルがするべき仕事をやってしまったのだから、 高価な電源ケーブルを投入してもそれほど変わらないだろう。私の予想は(B)であってほしいです(高価な電源ケーブルは買う気ないから)。

使った電源ケーブルは3つですべて同じ太さ(2スケア)、長さ(1m)
(a)ホームセンターで売っている3芯のビニルキャブタイヤケーブル(VCT) 150円/m、プラグ=アメリカン電機(一 般用)、インレット=オヤイデの4781
(b)フルテックのFP−314Ag 3000円/m、プラグ=明工社、インレット=フルテック
(c)オヤイデのPA−23 3500円/m、プラグ=レビトン、インレット=オヤイデの4781
このようにプラグとインレットは統一していません。(b)のケーブルは網シールド付き、(c)のケーブルは銅箔シールド付き です。


<図9−1>
サブシステムでテスト








トランスの100V出力を、電源タップを介してプレーヤとア ンプに分けています。音質の変化が多いと思われるアンプの方をテストしました。

しはらく繰り返して聴きましたが、結果は(c)PA−23の優勝です! 背景の静け さと 空気感、音の粒立ちの良さ、奏者の指使いまで聴き取れるリア ルさ、全部素晴らしい。「音の仮想現実を追求する」という私の聴き方に最もマッチします。これなら全部の電源ケーブルをPA−23に代えたくなります。
(b)FP−314Agも悪くありません。PA−23に肉薄していますが、わずかにエネルギーが膨らむところがあり、少し落 ちます。しかし神経質でない聴き方をするならこれで十分です。
(a)は残念ながら、値段なりの結果になりました。音像はやや大きく、エッジも丸くなります。背景の静けさ、解像度がやや物 足りないのです。そのため、特に低域が曖昧な表現になり、「奏者の指使いまで・・」とは行きません。

これは困った〜 (a)がもう少しがんばってくれたら、全部VCTケーブルで統一す る予 定だったのに・・・いままでトランスのテストで聴いてきた音 が(a)のVCTケーブルなのです。それはそれで良かったのですが、オヤイデのPA−23がその状態をさらに引き上げてくれたみたいです。やはり人気ケー ブルだけの実力はあります。末端の電源ケーブルといえども甘く見てはいけない、上記予想(A)が正しかったようです。

10.アイソレーショント ランスの非本質的な副作用とその対策

<トラン ス自体から出る音>
トランスを使いこなしてくると、(a)ブーンとい う「うなり音」、(b)ジーというコイルの振動音、の2種類があることが分かります。(a)はトランスをアンプにつながなくても発生します。(b)はアン プにつないだ時初めて発生します。

ユニオン電機のMNRトランスは(b)「コイルの 振動 音」が主体です。プーンといううなり音は聞こえません。プライトロン(後述) のトロイダル・トランスは「うなり音」が主体です。プライトロンはコイルを樹脂で固めていますので、「コイルの振動音」はまったくありません。

「ブーン」という低いうなり音はしっかりしたオー ディオ用のインシュレータ足を付けるか、うなり防止回路を入れると少なくな ります(*)
(*)
うなり防止回路については、11.を参照。

「ジー」という振動音は周波数が高いので、音楽の 邪魔になるのですが、この音は、トランスに木箱をかぶせると、音楽鑑賞に差 し支えないレベルまで低減可能です。また、トランスをケースに入れるなら、ケースの内壁に吸音材を貼り付けて も低減可能です。

<変な響きが付く>
ト ランスを使えばエコー成分が増える。和室から洋室に移したように、響きが付くことがあります。この響きは音源によっては聴きやすくなって好ましいと感じる でしょうが、厳格な音で聴きたい人には、この響きは邪魔になります。響きが載る分、音像がやや肥大します。→あとで分かったのですが、これはトランスの ケースのゴム足の副作用だったのです。

「トランスを入れると響きが付いて 音像が肥大する」のでは、手間をかけてトランスを製作 した私は困ります。これはトランスに固有の性質か、それとも チューンして改善されるものか、調べてみました。

まず、トランスにもオーディオ用のインシュレータを履かせてみました。今までは単な るゴ ム足だったのですが、タオックの定番インシュレータTITE-35Sを 履かせてみまし た。


<図10−1>トランスケース付属のオリジナル・ゴム足











<図10−2>
タオックのインシュレータTITE-35Sを 履かせた状態。明らかに高音のエッジが立つようになった。ためしに、両手でトランスを持ち上げると音は甘くなり、インシュレータの上に載せると明快な音に 変わる!




響きが付くという副作用はセッテイングで改善されることが分かり、ホッとしました。 こん なに変わるなら、トランスの入れ物も大事、足も大事。セッテ イング関連のオーディオ・アクセサリは一杯市販されているので、好みの方向にチューニングできます。

うちのサブシステムでしばらく聴いているのですが、ゴム足を付けていた頃の音は「金 沢兼 六園の雪景色」を眺めているようなウェットな音だったのです が、インシュレータTITE-35Sを 履かせると、五月の新緑の兼六園になりました。音量も大きくなったし、分離度も上がったようです。スーパー・インシュレータTITE-35Sの 特徴である、低音が豊かになり、低音の解像度も上がるという、有り難い効果もちゃんと得ています。おまけにインシュレータを履かせることで、うなり音も減 るという、一石三鳥の効果も出ました!よく電源タップにインシュレータを敷かせたら音が良くなったという話を聞きますが、電源機器はセッティングに敏感なことに納得しました。

結局、最終形態として、フロント用アンプのトランスとリア用アンプのトランスに、タ オッ クのインシュレータTITE-35Sを、 センター用のト ランスにはTITE25-WFを、 プレーヤ用のトランスに逸品館のス イッチ・レグ02を 付けることにしました。インシュレータと床との接触を安定させるためにクロロプレンゴムの1mm厚を挿入しましたが、音が緩くなりすぎたので、これをやめ て、木曽興業の制振スペーサG−51を敷くとちょうどよい雰囲気になったので、これで確定です。SACDマルチ・チャンネル再生をすると雑味が取り払わ れ、位相情報も崩れず、ものすごく迫真感と立体感のある音が出ています。



<図10−3>
センター用のトランス(300VA)に取り付けたタオックのインシュレータTITE25WF。鋳鉄製でずっしり と重い。
→しかしこのTITE25WFはダメです。TITE25WFは底に分厚いフェルトが敷かれていますが、このためか、音数(情報量)が少なくて、エア感など 音楽のニュアンスが出てきません。そこで山本音響の黒檀スパイクPB20とPB21のコンビに変更しました。これなら音が死ぬことなく十分使えます。タ オックのTITE25WFは、右図のように、音響拡散ボードの足として重宝しています。









<図 10−4>こちらのトランス(200VA)には、AIRBOWの 真鍮足ス イッチ・レグ02を取り付けた。下の木製ボードを手で触ると、振動が足 を通してボードに降りてきているのがわかる。











<結論>トランスを入れると音が濁って解像度が悪くなるというのは誤解で、それはト ランス固有の音質はなく、セッティング次第で、音の濁りを抑えて 解像度を上げる方向に持って行けることが分かりました。

11.うなり防止回 路

トランスの「ブーン」といううなり音に悩まされているなら、直流成分を除去する「うなり防止回路」を、トランスの一次側に挿入しま す。

実際に挿入して聴いたところ、曜日、時間帯によって効果が違いますが、総合して、うなり音は減る傾向にあります。

音 質への影響が心配ですが、うなり防止回路を挿入すると、ほんのわずかですが、音が甘く、ソフトフォーカスになります(アンプの下にゴム一枚敷いた感じ)。 モニター的に厳格に聴く 人ならば、うなり防止回路の挿入は許容出来ないと思います。しかし、うなり音に悩まされている人ならば、多少音は甘くなっても、うなり音が減るほうを採る だろう、と思います。




<図11−1> 自作電源タップの中に取り付けたうなり防止回路。ブリッジ整流ダイオードと抵抗から成る。ボックスはタカチのBDNシリーズ








12. プライトロンのトロイダル・トランスを導入


カナダのプライトロン日本代理店からトロイダル トランスが販売されています。このトロイダルトランスをJillartさ んから借りて、ユニオン電機のトランスと聴き比べたところ、引き締まった低音が出るのに驚きました。アイソレーショントランスは、「周波数バランス的には、中低音の量感が増え、ゆったりとし た、ふくよかな音に聞こえると書きましたが、これはすべてのトランスに当てはまると 思っていたのですが、プライトロン・トランスは、トロイダルコアという構造上、瞬時電流供給能力が特に優れているようで、低音の制動力が上がるようです。

そこで早速このプライトロンのトロイダルトランス を導入することにしました。アイソレーション(絶縁)のためには、「1次と2次間の静電結合対策対応(オプショ ン)」付きが必須と思えたので、医療機器用のType_1(500VA)を 注文しました。

<図12−1>プライトロン・トランス500VA
プライトロントランス


<図12−2>ケースに入れた状態
ケースに入れる

<図 12−3>ケース前面にスイッチとランプを取り付けた。配線方法はこ こ
http://www.eonet.ne.jp/~audio-interior/isolation_transformer.html
を参照。
完成


5人ほどでユニオン電機のノイズゼロ・トランスと プライトロン・トランスを比較試聴しました。

プ ライトロン・トランスは確かに元気があり、低音も強く出てくるのですが、細かなニュアンス、情報量の面で物足りないところがあります。ポピュラー向き、これは5人の一致した意見です。映画を観るためのAVアンプ用なら適性があると思いました。またプライトロン・トランスはプーンといううなり音が大きくて 「うなり防止回路」が必須です(*)。「うなり防止回路」を入れるとますます情報量が減って角の取れた音になり、プライトロン・トランスの特徴を助長してしまい ます。

(*)半年くらい使うと、うなりは小さくなったので、うなり防止回路は不要になりました。

ユニオン電機のノイズゼロ・トランスは、S/Nが良く、情報量が多くて、細かなニュアンス、空間まで正確に再現します。低音ゆったり目の安定したピラミッドバランスであり、クラシック向きと言えます。

どちらをとるか好みですが、クラシック音楽を聴く ことが多い私は迷わずユニオン電機のノイズゼロ・トランスを選びます。とい うことで、プライトロン・トランスは、いまサブシステムのAVアンプ用として使っています。

13.単巻・非絶縁トランス−−今までの考え方をリセットする−−


今まで絶縁トランスの良いところばかり書いてきましたが、ここからはもっと冷静・客観的な話になります。

単巻/複巻トランス、絶縁/非絶縁トランスという分類で言えば、いままで使ったのはすべて複巻、絶縁トランスだったのです。目標は絶縁によってノイズをカットする、この一点に絞ってきま した。

2010年春に我が家でトランスの試聴会をしました。その様子はMt.T2さんによって
http://community.phileweb.com/mypage/entry/311/20100821/20158/
ここに詳しく述べられています。Mt.T2さんありがとうございました。この日はすべて電源側は商用200V、供給側は100Vでテストしました。いま思い返すに、テストしたトランスはほとんどが複巻トランス、一つだけMt.T2さんの持ち込まれた産業用単巻トランスがあったのですが、傾向的に明らかに違いがあ り、
・複巻トランス・・・一般的に綺麗な音、空気感、広がりの表現に優れている。
・単巻トランス(*)・・・荒々しい迫力ある音、目の前で聴くような表現に優れている。

(*) 「単巻トランス」とは、一次巻線と二次巻線の一部を共有したトランスのことで、入出力間は絶縁されていないのが特徴。

<図 13−1>単巻トランス(左)と、複巻トランス(右)
トランスの結線の種類

この違いの原因を考えると、電源ノイズ浄化能力は「複巻トランス>単巻トラン ス」という式が成り立ち、電流供給能力は「単巻トランス>複巻トランス」という式がなりたつからでしょう。

単巻トランスは一次側二次側の絶縁がないので、そもそもノイズカットは望めません。しかし一次側と二次側で配線がつながっているので、一次側から二次側へ電流がスムーズに流れます。複巻トランスは一次側と二次側のコイルを絶縁しておいて、鉄芯の磁化を介して電流を通そうという構造なので、 一次側から二次側へ電流が流れるものの急激な変化に追従しにくいはずです(鉄芯の磁化特性が理想的なら別ですが→そのため磁芯の材料は重要です)。

単巻トランスは構造が単純だから複巻トランスより安いはず、購入しようかと探しま したが、何のことはない、複巻トランスの一次側と二次側をつなげば単巻トランスとして使えるではありませんか(図14−2(B)参照)。しかもスイッチで単巻と複巻を切り替えることもできます。

<図 13−2>スイッチでトランスのモードを切り替える。図のようにスイッチを下に倒せば単巻モードになり、上に倒せば、アイソレーション・モードになる。

単巻/複巻トランス

いまメインに使っている1kVAのユニオン電機製ノイズゼロトランスに、このような切換スイッチをつけることにしました。ただし配線ミス→トランス溶融対策として一次側にヒューズ(5A程度)を入れることは必須です。

<図13−3>新しいトランス装置。切換スイッチは背面にある。



切換スイッチを付けたものを、アンプにつないで聴き比べしました(アンプ PM−11S1に使用)。

(1)アイソレーショ ントランス・モードの場合、低音のキレがいまいちです。確かに中高音は宝石のように綺麗に輝きますが、低音がやや鈍重になっています。う ちのシステムを聴きにくる人にたま〜に「低音が甘い」と言われるのですが、その意味がやっと分かったような気がします。

(2)単巻トランス・モードにすると、低音の切れはよくなるのですが、少しですが全体に騒がしくなります。

結局、オーケストラなど低音の多い盤では低音を優先して単巻トランス・モードに、小規模な曲はアイソレーショントランス・モードで聴こうと考えています(そのためにスイッチを付けたのですから)。


14. アイソレーショントランスの正しい使い方−まとめ−

<瞬時電流供給能力の低下>

絶縁トランスをプ リメインアンプやパワーアンプに使うと、周波数バランス的には、中低音の量感が増えます。しかし残念なことに低音の瞬時電流供給能力が落ち、音質的には低音の切れ味が低下します。よく 言えばゆったりとした、 ふくよかな音に聞こえます。悪く言えば粘っこい低音に なり、コントラバスの弓の動きも分からなくなります。これは絶縁トランスの本質的な副作用です。

では、絶縁トランスの使用を全面的に止めるべきか、あるいは譲ってプレーヤ、プリアンプだけにとどめておくべきなのか(図5−3参照)?

答えは、(A)商用100Vを使っているならば、パワーアンプへの絶縁トランスの使用は諦めるべき、"YES"です。つまり、アイソレーショントランスはプレーヤ、プリアンプには是非使いたいが、パワーアンプに使ってはいけないのです(*)。

(*)ただしプリメインアンプはどうか? 上の項目13.で書いたように、低音の切れを優先するか、美音を優先するかで答えは分かれます。

(B)商用200V伝送を採用しているならば、電源電圧を100Vに落とさないといけないので、どんなアンプ、プレーヤであろうが降圧トランスは必要。

ここで、なぜ200V伝送を採用するのか、もう一度整理すると、(B−1)柱状トラ ンスから200Vで引いてくるので、電力損失が少ないという恩恵を受けられる(ケーブルの直径を2倍のものに交換するのと同じ意味があ る)。(B−2)200Vを使う機器は大型電器製品であるが、各家庭でそのような大型電器製品を使う割合はまだまだ少ないと思われる。したがって200Vの方が波形が綺麗である。

低音特性の悪い「絶縁トランス」で降圧すると、せっかくの200V伝送の良さを台無しにしてしまう可能性があるのです。なぜなら、絶縁トランスは、低音の瞬時電流供給能力が落ちるという欠点があるからです。13.でテストしたように、良質のカットコ アの絶縁トランスでも瞬時電流供給能力が落ちたので、産業用のEIコアトランスはもっと落ちると思います。

<回避策>

商用200V伝送をやっている場合、パワーアンプには、200Vを100Vに落とす単巻トランス(*)を使うことで、瞬時電流供給能力の低下を回避します。

(*)単巻トランスは原理的に直流に近い周波数でもしっかり変圧しますので、低音特性がよいことは直感的に分かります。図13−1参照。

<図14−1>単巻トランス(1kVA)の例(写真はノグチトランス販売株のホームページから拝借)

産業用単巻トランス

上の写真はEIコアの単巻トランスですが、これでも良い音質ですのでこれを使えば十分です(上の13.でMt.T2 さんの持ち込まれた産業用単巻トランスと同タイプ)。もっと欲張るなら、EIコアよりも音質のよい(はずの)カットコア・トランスやトロイダルコア・トランスの単巻のものを使います。 しかしカットコアやトロイダルコアの単巻トランスはまず売ってません。トランスメーカーに特注する手もありますが、いま気に入ったカットコア、トロイダルコア、Rコアなどの100V用絶縁トランスがあるならば、 その絶縁トラ ンスの一次側巻線と二次側巻線とを結んで、単巻トランスのようにして使うことができます。

<図14−2>下の図(A)は100V:100Vの絶縁トランス。下の図(B)のように結線で 200V:100Vの単巻トランスに変更できる(実際に確認済み)。一次側の配線は(B)のように100V−0V=100V−0Vとなるようにします。この順番を間違えるとトランスから煙が出るので、一次側にヒューズ(5Aくらいのもの)をかならず入れます。

絶縁トランスを単巻トランスとして使う

<結論>

(A)電源伝送方式が100Vのとき、プレーヤ、プリアンプにはアイソレーション トランスを使い、パワーアンプにはいかなるトランスも使わない。プリメインアンプやAVアンプの時は、自分の好みで判断する。

(B)電源伝送方式を200Vにしているとき、オーディオ機器の手前で100Vに落とさなくてはならないが、プレーヤ、プリアンプにはアイソレーショントランス、パワーアンプには単巻トランスという棲み分けをするのがよい。単巻トランスは、瞬時電流供給能力が落ちにくいのでパワーアンプにこそ使いたい。








トップページにもどる。

マルチチャンネル オーディオシステム・アンプ構成例に移る

我が家のシステム−メインシステムに 移る

我が家のシステム−サブシステムに 移る

 

直 接メー ルをお送り下さるときは、こちらにお願いします。

作者へのメール