ルーム・チューニング−部屋の音響特性を改善

何も聞こえなくなった


参考にしたサイト:
サー ロジックの解説書
Hotei's Website

ルーム・チューニングはオーディオマニアの最後の難関と思われていますが、意外と敷居が低い部分もあります。早い段階で「ベーシックチューニング」だけでもされておくべきです。しかし、思いつきのままにやっても駄目で、最低限の体系的な知識を持ち、順番に従って進めることが大事です。ベーシックチューニングと して、

(1)低音域の定在波を調整して低音域の圧迫感を解消する
(2)壁・家具の二次振動を減らして低音のブーミングを解消する
(3)フラッターエコーを減らして音の定位感・透明度を上げる

この3つがあります(サーロ ジックの解説書)。これらを1つ1つつぶしていきます。特に(3)があるとあと何をしてもダメなので確認が必要、(2)も要点検、(1)は知識を持っておけば良いでしょう。その後、(4)アップグレード チューニングに入ります。

(1)低音域の定在波について


「石井式リスニングルーム研究」の1次元モード、2次元モード、3次元モードの項目を見てください。音波がいろいろな振動モードで振動しています。実際にはこれらの振動モードを足した、複雑な振動が現れます。これを一点で測定し、横軸を周波数にとったグラフが、おなじみの音圧−周波数特性です。音圧−周波数特性は凸凹だらけですが、ミッドバス帯域(200Hzくらい)から上の細かな凸凹があっても大丈夫、耳で聴いても感じません。ミッドバス帯域から下の凸凹は、低域の定在波によるものです。ここに高い山や深い谷があれば問題です(*)。

周波数にかかわらず平均して音圧の高い場所が部屋の隅、床の上、壁際です。平均して音圧の低い場所が部屋の中央付近です。スピーカを低音の音圧の高い場所、例えば部屋の隅に、壁に寄せて置くと低音の凹凸が極端に現れ、低音域の圧迫感あるいは低音域の「音欠け」を感じます。特にコンクリート壁の部屋(地下室など)では振動分布が極端に現れ、下手をすると音楽を聴けない状態になります。

低音域の暴れを解消する対策は、(a)スピーカを前に出す(壁から離す)、(b)スタンドに載せる(床から離す)、(c)聴く位置をずらす、(d)扉や窓を開けて部屋をできるだけ開放的にする(部屋の見かけの面積を大きくする)、(e)部屋のコーナーに家具を置いて低音を吸収する、などです。

(e)のコーナー対策の実践: 低音の入っている音楽を鳴らして、コーナーに耳を近づけて聞くと、定在波が溜まっているかどうか判断できます。

<図0−1>コーナーに丸めたカーペットを置く。→効果は疑問。 <図0−2>コーナーに丸棒の構造体(森ポール)を置く。

コーナーに丸めたカーペットを置いても低音がすっきりした感じにはならず、定在波減少は疑問?でした。しかし丸棒の構造体を置けば、耳を近づけると低音のゴソゴソした感じが減って、定在波が減少していることが分かりました。丸棒で無くても、頑丈なコーナー家具を置いても有効と思います。

<図0−3> 丸棒の構造体をカーテンで隠して、コーナーの定在波対策完了。丸棒はほんの一例であって、しっかりした各種キャビネット、チェスト、机などを、低音溜まりの場所、例えばコーナーに置けば、効果あります。




(*)壁・床・天井の二次振動のためにブーミングが起こっており、これを定在波と勘違いしている人がいますが、原因と結果の関係です。定在波により増強された低音が、ブーミングの原因になるということです。ブーミングが起こると、主に125〜200Hzのミッドバス帯域の、波形の汚れた音波が壁や床から再放射され、これが 本来の低音をマスクしてしまい、ダブダブの低音に変えてしまいます。これが中高域に悪影響を及ぼし、全体として音質を低下させてしまいます。→(2)参照

(2)低音のブーミング対策について

切れの悪いもたつく低音の原因は、スピーカの作りが悪い、アンプの駆動力不足、非力な電源であり、そのとおりなのですが、スピーカ、アンプに良いものを使っている、電源ケーブル、コンセント、プラグ等も一応良品を使っているのに、低音にエッジが出ない、中高音に精彩がない、ということがあります。原因は(うちもそうでしたが)、居間などの軽装の石膏壁面と、薄っぺらい低級家具でした。壁面や家具が音波に揺すられて、だぶだぶのミッドバス(中低域)音を放出するのです(注1,2)。このため、本当の低音がミッドバスにマスクされて正確に聞こえません。

以下、サーロジックのサイトから引用します。「木造のオーディオルームのブーミングは、壁と天井の振動によるものが大半です。穴明きボード、化粧合板、プラスター石膏ボードなどの仕上げで、下地の桟に強度がないと必ず発生します。穴明きボードはそれ自身に強度がないので、常にブーミングの原因になります。 ・・・透明度の高い距離感のしっかりした低音が得られないオーディオルームでは壁振動をチェックする必要があります。低音の強いCDを再生して、杖のような棒切れを「壁・床・天井」に押し当てれば手に感じる揺れの大きさで不具合のポイントが判明します。 」「壁振動が原因の低音増加は壁振動を止めなければ解決しません。 」→まったくその通りです。

(注1)これは「定在波」とは別の物です。定在波は壁に囲まれた部屋で必ず発生し、場所によって低音〜中音が多く聴こえたり少なかったりします。部屋のコーナーに家具を置くと低音吸収効果があると言われるのは、部屋の隅に低音の定在波がたまりやすいからです。一方、ブーミングは定在波の山の所に存在する物体=壁や家具が二次振動を起こすことです。

(注2)強度のない壁は低音のブーミングを引き起こすだけでなく、中高域のフラッターエコーまで助長します。これは自分の経験ですが、壁の補強をするとブー ミングが減っただけでなく、フラッターエコーも一緒に低下しました。補強方法4参照

壁振動の対策は、大改装であれば、壁を裏側から支える間柱の数を増やして振動し難い壁に作り変えますが、軽いチューニングであれば、壁や家具に板又は棒を当てて補強します。いままでやって成功した例をあげます。

補強方法1−

振動している壁に、堅い石片を両面テープで貼り付けて振動を減らす。私は小さな大理石片を使いましたが、ガラス片、天然石片、焼き物のタイルなど比重のある物なら何でも良いのです。、


<図1−1><図1−2> 左はTハンズで買った大理石タイル、右は石膏ボード壁に貼り付けた様子。壁を手で叩けば乾いた音に変わります。これで中低音が締まります。その改善度合いは 電源ケーブル交換の比ではなく、使用前と使用後で誰が聴いても明らかに違いが分かります。




<図1−3>このような天然石でも良いのです。


<図1−4>これは天井裏の石膏ボードの裏面に貼ったところ。これで天井面の剛性が上がり、音が明るくなりました。天井裏側に貼るので部屋から見えないのも良い。

−補強方法2−


振動している壁に木材をネジ止めする。壁の外観に影響がありますが、それを厭わなければ、特効薬的な効果です。

<図1−1>リスニング位置の後ろの石膏壁の裏を横に走っている桟に、檜の角棒(幅30mm、奥行き15〜30mm、高さ1800mm)をネジ止めした。これで壁の振動を抑える。裏桟の位置を見つけるには、針を刺すか超音波センサを使う(どちらもホームセンターで売っている)。ネジの長さは45〜60mm必要

<図1−2>角棒の下端には、L型の切り込みを入れる。見栄えを良くするため

<図1−7><図1−8>サブウーファの後ろの壁の振動が大きいので、タモの角柱を張り付けて振動を止めた。見た目を考えて、角柱には白い色を塗り、高さも900mmと低くした。効果は絶大だった!



<図1−9>一番重要なフロント側の壁にも「当て木」をした。写真は買ってきた桧棒。

壁の色と合わせるため、白色のアクリル絵の具で着色し、乾いたらネオラック・ニスを塗布

<図1−10> ネオラックニスはラッカー・ニスと同じ成分。ラッカー・ニスはギターの塗装に使われるもので、硬くて薄い膜ができ、柔らかい膜ができるウレタン・ニスより音響的には良いようである。

<図1−11>なにもない石膏壁(上は出窓)。右に見えるのは米松の丸棒で作ったコーナー用森ポール。

<図1−12>当て木をしてネジで止めると完成。ネジで止める位置は、石膏壁の裏を横に走っている桟の位置に合わせている。天然大理石のチップも見える。


<図1−13>液晶テレビの裏側に、背の高いのを2本・・・左右フロントスピーカの真ん中の壁だから、一番影響の大きいところ。液晶テレビで隠れるのが有り難い。

これはすぐに変化を感じた。液晶テレビの音が明瞭になるという・・・液晶テレビの裏側の壁を補強したのだから、当然といえば当然。オーディオを聴いても、もちろん解像度、定位ともにアップ。液晶テレビの裏側に隠れるから、外観上も問題ない。

<図1−14>あとは左スピーカの奥の壁・・・


左スピーカの奥は、音波が直接当たるところで、触るといつもビリビリ振動している。ここは30x45x910のとびきり太い棒を当てた。

こんな調子で、メインスピーカの後ろの壁に、合計9本の桧棒を当てていった・・・
合計9本の棒を取り付けて、改めて聴いてみたところ、低音のくぐもりが減って、しかも低音量もアップしている。量感が上がったというのは、いままで壁からの汚れた振動音が、本来の低音のエネルギーを削いでいたということだろう。

「幻想交響曲」「惑星」など、オーディオファイル向きの派手な音源を聴いたが、低音の音程がよく分かり、低音の量が増し、それが中高音の明瞭さにもつながっているようだ。大太鼓の迫力もアップしている。 

図1−1から図1−14は、角柱をネジ止めする方法だったが、これ以外に広い「木の板」をネジ止めするのもある。
この場合「木の板」から中高音の反射効果も得られるので、中高音の反射が欲しいときは「木の板」を、中高音の反射が要らないときは「角棒」を選ぶのがよいと思う。また、「木の板」を使って、その表面に好みに応じて拡散、吸音などの処理を積極的に行う、という方法もある。

<図1−15><図1−16>これは壁一面にタモ集成材の板を張った例(高品交差点宅)。図1−16のように、ネジの頭を隠す処理をしている。堅い板で面積も広いので振動防止に大きな効果があるが、対向面との間でフラッターエコーが発生しやすくなるので、注意が必要。

−補強方法3−

壁に対向している家具の裏板が振動源になる場合がある。家具の裏板が薄い場合補強が効果的。

<図1−21>壁と家具の隙間は、振動が家具と壁の間を往復するので、振動のたまり場になる。家具の裏板は3〜4mmの薄板が使われていることが多い ので、この裏板を補強する。

<図1−22>これが家具(チェスト)の裏板。厚さ3mmほどしかなく、叩けばボコボコ。

<図1−23>厚さ9mmのシナベニヤ板を当ててネジで止めた状態。これでしっかりした。


−補強方法4−

<図1−24>6畳の部屋のクローゼット扉(右壁の面積の7割を占める)。見た目は綺麗だが、これが大変な悪さをしていることが分かった。つまり吊り下げているだけの扉なので、いつもフラフラしているのである。そのため、低音で共振してだぶだぶのミッドバス (中低域)音を放出するわ、一次反射するとき中〜高音域に付帯音を付けて元の音を濁らせるわ・・・写真のように斜めに開いたら何とかなると思ったが解消しない。角度を付けて済む問題でなく、クローゼット扉そのものが振動しているのである。



<図1−25>結局、下の写真のようにプラスティックの楔を、扉の下と上の隙間に押し込んだ。この程度のことで大丈夫かな? とおそるおそる、いつもの高音ソフト(森麻季のSACD) をかけてみたが、いままで膨らみ気味だったソプラノ音像が見事にスリム化し、高音のヌケが良くなり、透明感は上がり、低音の締まりも改善した。この部屋で聴く音響の不満がいっぺんに解消してしまった! この効果は、アンプのグレードアップかそれ以上に匹敵する。一定の効果を出すための、そのお手軽さは会心!


<図1−26>こちらは1階の部屋の開き戸(聴く位置の後ろ)。1階のリスニング・ルームにも頑固なフラッター・エコーがあり、森ポールかSylvanを複数台導入しないと無理だろう?と思っていたところ、ふと思いついて、開き戸に楔を入れた。これが効果を奏して、フラッター・エコーが見事に消滅。木管楽器の鮮度が上がった。なぜもっと早く手を打たなかったのかと言うと、非常に重いしっかりした「開き戸」で、まさかこれが中高音の共振音を出しているなんて思わなかったため。オーディオは何でもやってみないと分からないという教訓。


補強方法1〜4を挙げたが、ある程度大音量で聴き、低音の解像度を上げたい人で、壁や家具が弱いと思うなら、アンプやスピーカの交換をする前に、真っ先に補強を実行されることをお勧めする。というのは、部屋のブーミング対策ができていなければ、折角良いアンプやスピーカを買っても生かし切れない。

(3)フラッターエコーについて: −平行面は極力減らす−

フラッターエコーも定在波ですが、中高音に注目するとき特に「フラッターエコー」(*)と呼ぶようです。日東紡のここのページの動画を見てください。

(*)手を叩いて変な響きが聞こえないからフラッターエコーがないと思うのは早計です。ソプラノ、フルートなど高音の入っているディスクを再生すればすぐ分かります。フラッターエコーがあると、コロラトゥーラ・ソプラノの音像が、音程が変わるに連れてあちこち移動します。低い声で歌っている時は真ん中から聞こえるが、高い声を出すと右に行ったり左に行ったり、広がったりします。

フラッターエコーは、平行な面のあるオーディオルームに必ず発生します。「中低音域に勘に障る喧しさを生み、サウンドステージの奥行きが相当量減退します。フラッターを解消し、体験してみて初めてその影響力の大きさに吃驚する筈です。フラッターを解消しない限り楽器の佇まいがスカッと見える音場にはなりません。」←サーロジックの解説書から引用。フラッターが解消しなければ、上の段階(アップグレード・チューニング)に進めないし、ハイエンド機器を買う意味がないと言ってもよいのです。

<図1−40>このようにフラッターエコーの原因となる壁、平行壁面の4つの位置A〜Dに音を吸音・拡散する物体を置く(できれば少し角度を付けて)。それと天井と床の間にも発生するので、床にデスクを置いたりして、できるだけ凹凸ができるようにします。

−対策例−

本格的な対策なら、音を拡散する音響パネル、棒状拡散体があります。どちらもうまく使うと、非常に効果があります。音響パネルには、サーロジック、サウンドステージ、QRD、クリプトン、FAPSなどのメーカーがあり、それぞれ特徴があります。棒状拡散体は日東紡のSylvanです。これらはフラッターエコーだけでなく、アップグレード・チューニングにも役立ちます。

<図1−41>これはリスニング位置の後ろ(B)にFAPSの音響パネル「凛」を置いた例。少し斜めに置くとよい。音響パネルがなければ、ホームセンターなどで売っているベニヤ板(強度を保つため厚さ12mm以上が良い)を畳一枚分買って、斜めに(6度以上の角度を付けて)立てるのも有効な対策。


<図1−42><図1−43>リスニングポイントの後ろ壁が、フラッター面になっている。そこで、自作の棒状拡散体(森ポール)を設置したところ、フラッターがかなり収まった。ただし視覚的な圧迫感が出るのが問題で、いまは解除している。


<図1−44>右スピーカの背後に植木鉢と座布団を置く。少しだが効果はある。このような吸音材(座布団、絨毯、カーテン、布のタペストリなど) は大量に使うと音の生気がなくなるので、最小限にする。簾(すだれ;図1−41)は軽いフラッターエコーに対してなら効果がある。


<図1−45>左スピーカの背後の壁に市販の音響クロスを貼った例。壁から反射して来る音波を抑えてエコーを減らす、結果的に音の滲み・ボヤケが減る。ただクロスの面積が小さすぎて、おまじないという気がしないでもない。


<図1−46>床と天井との間のフラッターエコーを取るため、スピーカの足元に座布団を試しに置いた。こんな簡単なことでも、心持ち、分解能が上がり、音像の定位感が向上する。ただ効果は小さいので、見た目を優先するなら、こんな不細工なことはしない。


自作アクセサリ集の「簀の子(すのこ)を使ったフラッター・エコー防止」も参考にしてください。これは両スピーカの間Aに、音響パネルの代わりに檜の簀の子を置いた例です。

(4)アップグレードチューニング

ここからやっと本格ルーム・チューニングらしくなります。

サーロジックの解説書によれば、アップグレード・チューニングとして次の2つがあげられています。

(4−1)初期反射音を増やして楽器の佇まいを明確にする

「フロントに配置された反射面によって前から後ろへ向かう方向感を与える」ことです。これによって、音が部屋の中で、立体感を崩すことなく、奥行き感を作ります。

−音響パネルの使用例−

音響パネルはパネル面なので反射率が高くて強い反射波が出ます。なので取り扱いが難しいのですが、うまく扱えば大きな効果が得られます。

<図2−10>このように両スピーカの外側に置くと、横方向の拡がりが出て臨場感が上がるとともに、中低音が厚くなる。

<図2−11><図2−12>実例がこれ。両スピーカ(ヘリコン300)の外側に音響パネル「凛」を置いた。これで今までスピーカの間から音が出ていた音源が、スピーカの外側に自然に広がるようになった−−臨場感の向上、素晴らしい効果


このように音響パネルを広げて置く長所は、音を横に広げて臨場感を上げる、中低音を強化する。賑やかになる。逆に音響パネルを外すと、音がスッキリして見通しが良くなる−−これを淋しい、味気ないと見るかどうかで、音響パネルの設置が決まるだろう。私は音響パネルの助けを借りて、多少賑やかになったほうが良いと思っている。

−棒状拡散体(森ポール)の使用例−

棒状拡散体は、音の一部を拡散させ、残りを透過させるので、音質に癖が付きにくく、誰がやっても成功率が高いという利点があります。丸棒を買ってきてその両端を平面板にネジ止めしたのが自作「森ポール」です。

<図2−13><図2−14>凛の脇に置いた「森ポール」。森ポールは音の拡散だけでなく、フラッターエコーの解消や低域の定在波の吸収にも役立っている。


<図2−15>下の写真はサブシステムでの「森ポール」の使用例。右スピーカ(アダムHM−1)の奥に「凛」、横壁に「森ポール」を二基設置している。右スピーカの音は、「凛」で反射し、2つの森ポールで遅れて反射して耳に届くので、ある程度の立体感(三次元的表現)が得られる。ただし奥の「クローゼット扉」に大問題があったことは上<図1−24>に述べたとおり。




あとで分かったことだが、森ポールは音をランダムな方向に反射させ、位相情報を正確に伝えないという面がある。フロントスピーカーと同じ側に置くと、音像がぼやけたり広がったりして、奥行き感が減る。そこで、いまはフロントスピーカーと反対側(リスニング位置の後ろ側)にのみ置くようにしている。

(4−2)反射音、残響音のエネルギーバランスを整えて音楽の躍動感をアップさせる

上の(4−1)に述べた対策をすれば、音の三次元的な広がりが得られますが、まだ音の密度向上とまでは行きません。サントリーホール、ザ・シンフォニーホールなど上質のコンサートホールの良い席で聴くと、ステージから発せられた音が床、壁、天井で反射・拡散して届き、音楽が輝いて聞こえるのです(天井に多数の反射板が吊り下げてあり、床や壁が無垢の銘木でできており、 反射・拡散音の質・量ともに十分だから)。

サーロジックの解説書によれば、「高域の残響音のエネルギーを増やす」ことが必要です。しかしこれは音響パネルや棒状拡散体を設置するだけでは足りません。石膏ボード壁のクロスが高音を吸収するからです。サーロジックの実例を見れば分かりますが、壁面に大量の音響パネルをつぎ込み、天井に反射パネルを張り巡らしています。ここまでやって、聴覚上の効果は大変大きかったそうです(しかし、測定上の残響時間は0.1秒くらいしか増えていないのが不思議)。

音楽ソースにはステレオにしろマルチチャンネルにしろ、反射音、残響音はもともとある程度入っているので、それを忠実に再現すればよいではないか、という発想もあります・・・・しかし私の生演奏の経験は、次のような感想です。

(A)ザ・シンフォニーホール、トリフォニーホール等の響きの良いホールで、良い席で聴いたオーケストラは、(残響音がたっぷり入っているはずの)優秀録音、ハイエンドのオーディオ装置で聴くオーケストラより、中高音の密度感が3割くらい上がっているように聞こえます。この原因は、ステージから発せられた生楽器の音が、コンサートホールの天井からつり下げられた反射板で反射・拡散してホール内に充満し、それが元の音と相殺することなく、元の音にプラスされて、つまり正しい位相関係を保ちながら(*)、耳に入るからだと思います。

(*)質の悪い(位相がメチャメチャな)残響音が混ざったらどうなるか?→音は相殺されて柔らかくなる。→お風呂に入って音楽を聴くのと同じことです。

(B)音楽専用でない多目的大ホールで聴くオーケストラの音は、音量が小さいし密度も薄い。これなら普通〜ハイエンドのオーディオ装置で聴く音楽と互角の勝負。

リスニングルームで、コンサートホールのような質の良い(正しい位相の)反射音を沢山作って(しかしフラッターエコーはいっさい増やさず)、音楽の輝き、密度感をアップさせる・・・最終課題です。有名コンサートホールの音響を参考にしようと言うあまりにも大それた目標でもあります。

どこからの反射音を作るか? できれば、垂直方向の拡がりが出るように、高い位置から来る正確な反射音を増やしたいのです。次のような方法を考えています。

(a)フロントスピーカの上方、かつ奥の方にフロント・ハイトスピーカを置いて、AVアンプで残響音を作って聴くのも(例:ドルビープロロジックIIz、ヤマハのDSP)一つの方法です。しかし、ピュアオーディオをやっているのに、AVアンプの疑似サラウンド回路を通したくありません。

(b)上の(a)の別案として(マルチchソースに限りますが)、リアチャンネルの信号をリアスピーカだけでなく、フロント・ハイトスピーカにも直接突っ込めばどうか、と考えています。これなら疑似サラウンド処理をすることなく、前方向からの残響音を得ることができます。このリアチャンネルの音をフロント・ハイトスピーカに突っ込む方法は非常に有力であり、実践しました。別の文書で解説することにします。

(c)部屋のフロント側又はリア側の高い位置に反射板、拡散板を置いて反射音、残響音を作ります。問題は良い構造の反射板をどこから入手するか、あるいは作るかです。市販品ではいくつか出ていますが、自分で調達するには、ガラスか磁器の照明器具の利用、塗装で反射率を調整した木の板の取付け、 etcを考えています。実践したところ、ステレオソースにも適用できるし、非常に効果的であることが分かりました。

−試作例1−

<図2−17><図2−18><図2−19> 部屋のスピーカ側のコーナーに三角の反射板(シナ合板)を取り付けた。狙うところは、上からの反射音を増やして、音の密度感を増やし、実際のステージに近くなるようすること。こんな一辺35cmの小さな三角板が効果あるのかな?



<図2−20><図2−21>聴いてみたが、音像定位がやや上にあがってくる。いままで真正面から聞こえていた演奏(図2−20)が、少し高いステージに立って演奏しているように(図2−21)聞こえてくる。奏者の背の高さが感じられ、現実感が少しアップ! 天井高が上がった、と言えば大げさだが、そんな錯覚を起こさせてくれる。コーナーに溜まっている、熱になって捨てられる音響エネルギーを有効に引き出すことができた、と言えるかもしれない。三角板にはヴァイオリン・ニスを何回も塗って、反射音の量と質を高めようと思う。なお、天井のコーナーに設置する三角板のような製品も出ている。

−試作例2−

<図2−23><図2−24><図2−25>床置き用の三角板も作ってみた。図2−23はベースとなる木組みで、足には山本音響のPB−11Aを使っている(余っていたから)。図2−24は反響板を取り付けたところ(取付角度は計算要)。図2−25は一階の部屋の左隅に設置した状態。これは、コーナーの定在波対策にも一役買うことになった。
じつは、左隅には森ポールを置いていたのだが(図2−13)、視覚的な存在感が強すぎてインテリアとマッチしないという結論になった。そこですっきりしたデザインの三角反射板に交換したのだ。それにこの方が形状がシンプルなだけに位相情報も保存してくれる。



<図2−26><図2−27>床置き用反響板に加えて、さらに天井三角板(試作例1)を設置、これで音がやや斜め上から降りてくるようになり、音像の高さが少し上がる。このような効果を見れば、三角板は、ルームチューニングの有力アイテムだと思う。ただこれで完璧というほどのものではない。


<図2−28><図2−29><図2−30>三角板と、FAPS凛と、森ポールを組み合わせた部屋の最終配置例がこれらの写真 (左スピーカ、右スピーカ、左リアスピーカ)。右スピーカの出窓のコーナーには森ポールを配置、左リアスピーカのコーナーにも森ポールを配置している。このようにスピーカのそばに置くのは極力避けて、部屋のコーナーに配置している。これで部屋の大きさから想像できない広大が音場が得られている。しかし何度も言うように、森ポールをフロント側にもってくると音像が乱れるので、いまは森ポールはフロント側から撤去している。


左スピーカの周り右スピーカの周り左後ろのコーナー

−試作例3−

<図2−31><図2−32><図2−33>両スピーカの間にスリムタイプの森ポールを設置した。両スピーカの間は、小さな物体を置いても音場に大きな影響を与える場所。森ポールを設置したことで音圧が増え明るい音になった。もっと大きな森ポールを置けば反射が増えすぎて定位感が悪くなると思うが、スリムタイプにしたことで、定位感の低下は少なくて済んだようだ。しかし、今、このスリムタイプの森ポールは取り除いている。

左に置いた森ポール正面右に置いた森ポール


−試作例4−

うちのリビングでは、左壁が大きなガラス戸、右壁が台所への開口になっており、左右が超アンバランスである。このため、音像が左に寄るので右壁の開口を森ポールで塞ぐことにした。いつも塞ぐわけにはいかないので、音楽を聴く時だけ塞ぐことにしている。

<図2−34>

これで少なくとも中高音はランダムに反射されるようになり、左右のアンバランスは改善された。一枚板で塞ぐと、音響に癖が付いたり、対向壁との間でフラッターエコーができるおそれがあるが、この森ポールなら大丈夫なようだ。この森ポールを無くすと右側が淋しくなるので、欠かせない(フロント側でなくサイド側なので音像を乱すおそれは無い)。

−試作例5−

うちの家のリビング・オーディオ部屋は、左右方向からは一応賑やかな反射音・拡散音が聞こえるのだが、天井が「ブラックホール」につながってるのん? と思うくらい上から音が降りてこない。三角板(試作例1)だけでは無理なようだ。

現状、天井には全面的に石膏ボードが貼られてあり、これが高音を吸っているのだろう、と想像はつく。

そこで、ぜひやってみたいのが、天井面に反射・拡散体を張り付けること。自作でもよいが、arteのピラミッド・シーリングという既製品が出ており、デザインも目立たないので有力候補にしている。またデザインは嫌いだが「スカラホール」という傘みたいなのを逆向きに吊下げる方法もある。

しかしよくよく見ると、いまのシーリング電灯には柔らかいアクリルセードが付いているではないか?
<図2−35>


これでは高音の反射効果がない、音響的にもったいない、ぜひとも反射・拡散効果のあるガラスにすべきだ・・・

と、寝室のシャンデリアと交換すればどうか? 早速、取り替えてみた。
<図2−36>

実際音を聞いたところ何となくplaseboの域を出ていないが、楽器の音が上に登って、天井から降ってくるような気がするが、すぐに慣れてしまいそうだ。こうなると、4つのダウンライトも天井引っ込み型でなく、飛び出し型にすべきだし、テーブルのペンダントライトも反射効果の多い丸型に変えてみようかと思う。

しかし、やりすぎてガラス固有の音がするのでは困る・・・そこが難しそうだ・・・

−試作例6−

一流のコンサートホールへ行くと、天井から反射板が沢山、吊り下げられている。

<図2−40>これはザ・シンフォニーホールの天井から吊り下げられた反射板。合成樹脂製で曲面を持っているので、床との間に平行面はできないようにされている。。


<図2−41>ザ・フェニックスホールの天井板。6枚の青い三角板が違った角度で配置され、床面との平行反射を防いでいる。

そこで、うちの部屋でも、天井に反射板を取り付けてみようと思う。

<図2−42>買ってきたベトナム製の椅子。この天板を利用する。天板の中身は低密度MDFだが、表面は硬くて厚いラッカー塗装がしてあって、反射率は高そう。

<図2−43>このように天井裏の桟にねじ止めして取り付けてみた。天板はこのようにある程度の厚みがあるほうが、反射量が多くてよいだろう。


<図2−44>ペンダント灯の付け根に取り付けた


どうせプラセボ効果だろうと思って聴いてみたが、なんと、天井から音が降りてくるように聞こえる! 試作例1,試作例7と合わせて聴いているが、確かに部屋全体に、特に上からの響きが豊かになったような。。。コンサートールで経験している自分なりの響きのイメージを10とすると、1割くらいの効果と思うが、少し良くなっていることは確か。こんな小さな円板でも、本来なら天井一面の石膏ボードに吸われて消えてしまう音を反射しているのだ。

<図2−45>

ペンダント灯の上につけて少し効果があったので、シャンデリア灯の根元にもつけてみた。今度は直径60cmの丸テーブルの白い天板で面積は大きい。材質は低密度MDF、アクリル樹脂加工でツルツル。ねじの頭を白く塗っておこう。

<図2−46>左奥に三角板、正面奥に丸棒・梯子、左フロントハイトスピーカー、石膏ヴィーナス像も見えている。

効果は明らかで、部屋中が豊かな響きになった。図2−44が1割とすると、これは3割くらい。頭の真上なので効果は大きかったようだ。合計で「4割」の効果。

しかしこれ以上の面積をやると、上方向からの直接反射音が強くなりフラッターエコーがお出ましになりそうで怖い(床との平行面を形成するから)。今度ダウンライト(4カ所)を交換するときに、小さな円板を取り付けることを考えている。また図2−44のベージュの天板をもう少し大きな白い天板に交換するか?

−試作例7−

高い位置から来る反射音をもっと増やすため、「部屋のフロント側又はリア側の高い位置に反射板、拡散板を置いて反射音、残響音を作る」と言うことで、部屋の上隅コーナーの置く三角板を試作例1でやってみた。しかしこれよりももっと効果的な方法を見つけたので報告する。

<図2−57>材料は丸棒と細長い板。丸棒のカット長さは0.1mm単位で揃える。

<図2−58>組み合わせて梯子状にした。

↑壁と天井との境に取り付ける丸棒・梯子を作った。


<図2−59>

真正面、両フロントスピーカの真ん中の位置の、天井との境目に置いてみた。これで音が斜め上からくるようになり、かなりの臨場感upを感じた。いままで部屋の下半分のみ音が満たされていたのが、部屋全体が音で満たされるようになった

<図2−60>あとで分かったが、上の丸棒・梯子では拡散効果が強すぎて、高い位置での音像が強すぎる。すこし小さなサイズを作った。

<図2−61>ミニ丸棒・梯子、これで反射量を少し減らすことができた。しかし、これでもまだ効きすぎる。もっと小さいサイズに挑戦してみる。

<図2−62>背面、サラウンドバックの位置に梯子を置いてみた。ここは大きいサイズで十分!

正面と、サラウンドバックの位置に置くと、部屋全体(特に上半分)がコンサートホールのように鳴るようになった。

では試作例1の三角板は不要なのか、というとそうではなく、複数の人に確認してもらったところ、試作例1は試作例7の補助みたいな役割になることが分かった。つまり試作例7だけでは両端が寂しくなり、試作例1がそれを補うようである。しかしメインはこの試作例7の「丸棒梯子」と、後で取り付けた試作例6の「天井天板」である。全部合わせた効果は凄い!

その後聴き続けると、図2−61の丸棒梯子のおかげで確かに音は上から降ってくる。しかし位相情報がいまいち不揃いで、音像がバラバラ気味である。これはクラシック音楽やジャズ・ヴォーカルなどで問題となる。

もっと位相を揃えて反射するプレーンな形の物体はできないか? そこで図2−42の脚の廃材を利用することを思いついた。
このように突起状に切り取って板に貼り付けた。
<図2−63>

<図2−64>

これを天井の正面際に取り付けた。
<図2−65>


試聴音源はステレオにした。マルチchで聴くと他の要素が入ってくるのでややこしくなる。

図2−65のように天井の正面際に取り付けて聴くと、一音聴くなり「正確な」音像ができていることが分かった。形が乱れずにそのまま上に上がる。透明感が減ることはない、密度がありストレスを感じない自然な音像である。図2−62よりも自然に聞こえるのが有り難い。

やったー、これでようやく天井問題が解決の方向に・・・

いままで丸棒・梯子で拡散された音は、実は位相情報が失われていたのだ・・・なので音像がばらけ気味に、濁った音になっていたのだ。

<図2−66>次に左右のスピーカの上にそれぞれ離して置いてみた。

↑これが意外にもつまらない。真ん中から音が寂しい。ステレオの欠点=「中欠けの音」がこれだろう。

<図2−67>やはり真ん中設置がよいことを確認。音が明るくなり、密度が上がっている。実際にコンサートホールで聴くような輝く音が出ている。立体感も向上する。


<図2−68> これはセンタースピーカの下から撮った写真。


<図2−69>斜め下からの写真


<図2−70>左右に平板を追加し、突起を中央に1つ置いた。すこし物足りない。


<図2−71>突起を2つにしたら、ちょうどよいバランスになった。

突起を4つ(写真なし)にしたが、これでは散漫になりすぎる。図2−71を採用。

というわけで、意外な廃材の利用で、いままでのネックが解決の方向に・・・このルームチューニング・アイテムの効果は、前からの音響を強化し密度を高める。その効果は大きいと思う。昔エイスナーヴ(EIGHTH NERVE)という、部屋のエッジやコーナーに置く布のチューニンググッズがあった。これはそれに似ているが、布でなく木で作っている。

要するに「丸棒・梯子」や「森ポール」は音をランダムに反射するので音の位相情報が乱れてしまう。多重反射した音=残響音を作る(シミュレートする)のに最適だけれども、一次反射音をシミュレートする能力はなさそうだ。「丸棒・梯子」や「森ポール」を置くなら部屋の後ろ半分に置くのがよさそうだ。

この新型の「平板型反射体」は、位相情報を結構保存するようで、聴いていて音像が広がったりすることはなかった。音も輝かしくなり立体感も出てくる。置くなら両フロントスピーカの真ん中に1つ〜2つ取り付けるのがよい(疑似センタースピーカとして働かせる)。

−塗装について−

今まで作ってきた森ポール、コーナー反射板、丸棒梯子は、ある程度表面からの反射率を上げた方が、密度の高い反射音が得られる。 そこで表面を塗装して、塗膜の力を借りて反射音の質と密度を高めようと思う。

以下は塗料したときの日記である。

ギターの塗装を調べると、初心者用の安価なギターはウレタンニス、中高級品はラッカーニスと決まっている。ヴァイオリンで、ラッカーニスの発明されていない19世紀以前の製品は、セラックニスかコーパル二スを使っていたようである。今存在する名器と言われるヴァイオリンは皆そうである。セラックは貝殻虫の分泌物、 コーパルは化石(琥珀)になる前の松ヤニ。

私は、セラックニス、コーパル二ス>ラッカーニス>ウレタンニスの順に反射音の品位が落ちていくと考えている。ウレタンニスはぶよぶよした厚い塗膜ができ、最悪である。

折角だからセラックニスかコーパル二スを塗ろう。塗り重ねが必要。セラックニスは弦楽器用又はスピーカ・ボックス用として売っているもので、通信販売、あるいはTハンズで簡単に入手できる。私のお気に入りはクサカベの「コーパルペインティングオイル」という画用液(画材屋さんで売っている)。これは昔、ヴァイオリンに塗っていたオイルニスとほぼ同じ組成である。

セラックニスかコーパル二スが手に入らない時は、安価だがクリアラッカーが良い。硝化綿という成分が入っていて、これが薄くて堅い塗膜を作る。何度も重ね塗りできる。


<図2−91>オイルフィニッシュという方法がある。これは亜麻仁油、桐油などの乾性油をウェスで木の表面に刷り込む方法である。油は木の中にしみこんでしまい硬い塗膜ができない。したがって、堅い塗膜を作って中高音を反射させるという趣旨に合わない。しかし強い反射は不要で、自然な反射でよいという場合は、木の保護になり有効な方法である。また、亜麻仁油を刷り込んだ木の表面は、オイルニスがスムーズに塗れる良い下地になる。私は、コーパルペインティングオイルなどのオイルニスを塗る下地として、亜麻仁油を使っている。

次に、着色についてだが、何も塗っていない木の表面に、ステイン(着色料)を塗り、その上からshellacニス、copalニス、ラッカーニスを塗る方法が正道である。これで色に深みが出てくる(着色済みのニスは疑問)。私は、ステインとして水彩絵の具を水に溶かして刷毛で塗り、その上に亜麻仁油を塗り、その上にコーパルペインティングオイル又はラッカーニスを塗っている。ステインとして「墨汁」を塗った人もいる。また私の好きな色ではないが、「柿渋」という着色料もある。

しかしいろいろやってみると、塗装は室内音響にとってあまり大きな問題ではなく、裸の木のままでも十分効果が出ることが分かった。ただしスピーカーのキャビネットの塗装は大事だと思う。


−今までのまとめ−

<図2−92>音響パネルにしても棒状拡散体にしても反射板にしても、「この場所に置けばベスト」という場所はありません。いろいろ試行錯誤して自分で置き場所を探します。下図のような置き方は私の経験に基づく一つの提案です。平行面にするのは極力避けます。丸棒・梯子や森ポールは、部屋の後ろ側にのみ置いています。部屋の前側にはなるべくシンプルな形のものを置いています。☆特に”a”と”i”が効果的でしたが、”k”と”j”も良かったです☆

a:前から後ろへ方向感を与える置き方(図2−10参照)。音響が横に広がり一気にコンサートホールらしくなる。もっとも効果が有った。そして中低音に厚みが出るという付加的効果ある。これも大きい。

b:角度を付けて方向感を与える。しかし、反射の強い音響パネルだと、横からの反射が強くなり圧迫感のおそれ、置くなら背の低い音響パネルを。

c:フラッターエコー防止に有効、少し角度をつける。床から天井まで壁全面に置くのが理想だが、耳の近くだけでも効果有り。しかし耳の近くに反射の強い反射パネルを置くと疲れる。同じ置くなら吸音パネルのほうが耳に優しい。吸音パネルでも角度を付けたほうがよい。いかなる場合でも平行面を作るのは禁物。

d:両スピーカの真ん中、音像に大きな影響を与える場所→部屋の音響がデッドなら音響パネルなどの反射体を置く、とくに縦三角に折った音響パネルはよく見かける。ライブすぎるなら吸音性にする、など各自の創意工夫を盛り込む。ここにテレビを置くときはスピーカとの距離をとって壁に近づけて置くべき(スピーカを前に出す)。テレビに吸音布を被せても良い。天井との境目に反射体を置く場合は”i”を参照。

e:スピーカの周囲50cmには何も置かない。

f:スピーカーの後ろに背の高い音響パネルを置く例はよく見かけるが、私は試したことがない。たぶん有効だと思う。

h:コーナーに物体を置くのはかなり有効。コーナーに溜まった低域の定在波を吸収するとともに、中高音を拡散する。カーペットを丸めて置く例も見かけるがあまり効かないようだ。丸棒や板で構造体を作るか、しっかりした家具(コーナー・ローボードなど)を置いた方がよい。特に天井の四隅のコーナーは重要な場所である。視聴位置の後ろ側のコーナーにも置くとよい。

i:天井とフロント壁の正面境界に拡散体を置く。四隅の天井コーナー三角板も良かったが、この拡散体(i)を置けば正面斜め上から音が降りてくるようになり、隅の三角板の数倍の効果がある。これで密度感がアップするとともに、音が明るくなりステレオ音の中抜けを防ぐ効果もある。ただ丸棒・梯子や森ポールは音をランダムに拡散してしまうので音の濁りの原因になる。丸棒の集合体でなく、もっと単純な形状のものにすべきである(図2−69)。

j:天井近くサラウンドバックの位置に置く。これと拡散体(i)との組み合わせで、互いを補うようになり、さらに臨場感がアップする。こちらは、残響音をシミュレートするためなので、音をランダムに拡散する丸棒・梯子や森ポールでもよい。

k:天井に取り付ける。照明器具自体も少しは音の反射効果があると思うが、照明器具に頼らずに手っ取り早く木の天板を貼り付けた(図1−43)。(i)と比べると、こちらは頭の真上なので、天井からダイレクトに音が降ってくる。

トップページに移る
マルチチャンネルオーディオシステム・アンプ構成例に移る

サラウンドスピーカのセッティング
サラウンドスピーカ、センタースピーカの選び方

我が家のシステム−メインシステム
我が家のシステム−サブシステム
サブウーファの活用
アイソレーション・トランス

テクニック集に移る

お気に入りMulti-chディスクに移る