いつも、寺の法要や各家の法事などで「おつとめ」と言いますと、『ガンガーシンジョー・・・』のお経から始まります。漢字を見ながら一緒にお唱えしていただくと、なんとなく意味が解りそうで、解らない。その内に長いお経にウトウト・・・としてくる、そんな経験はありませんか。私自身未熟者ですので、どれだけ適切な解説が出来るかわかりませんが、日々おつとめ頂く浄土宗の『日常勤行式』を解る範囲で進めていきたいと思います。 |
がん が しんじょう にょ こう ろ | がん が しん にょ ち え か | |
願我身浄如香炉 | 願我心如智慧火 | |
ねん ねん ぼんじょうかい じょう こう | く よう じっ ぽう さん ぜ ぶ | |
念念焚焼戒定香 | 供養十方三世佛 |
[訓読] 願わくは我が身浄きこと香炉のごとく 願わくは我が心智慧の火のごとく 念念に戒定の香を焚きまつりて 十方三世の佛に供養したてまつる [訳] 願わくは私の身が香炉のようにきよくなりますように、願わくは私の心が智慧の火のように浄らかになりますように、戒めを守り、心静かにと思いをこめて香を、この身に焚きしめ、いつ、いかなる処にもおいでになる佛さまに心からの供養をいたします。 ※勤行の最初に唱える偈文です。偈文とはお経の中から、また後世の僧侶の書いたお経の解説書の中から抜粋された文で、香偈は善導大師の書かれた『法事讃』から出た偈文です。香偈の香とは焼香の事ですが、焼香には体や心や道場を浄める働きがあります。ですから先ず、お勤めを始めるとき自らの体も心も浄め、落ち着いた状態で浄土に思いを、はせなさい。すると身心を浄めようとする願は、ありとあらゆる、み仏に供養する願いに進展します、と説かれてあるのです。 |
三宝礼(さんぼうらい)
いっしんきょうらいじっぽうほうかいじょうじゅうぶ |
一心敬礼十方法界常住佛 |
いっしんきょうらいじっぽうほうかいじょうじゅうほう |
一心敬礼十方法界常住法 |
いっしんきょうらいじっぽうほうかいじょうじゅうそう |
一心敬礼十方法界常住僧 |
[訓読] らい 一心に敬って十方法界常住の仏を礼したてまつる 一心に敬って十方法界常住の法を礼したてまつる 一心に敬って十方法界常住の僧を礼したてまつる [訳] いつ、いかなる所にもまします み仏に、心から礼拝いたします。 いつ、いかなる所にもまします仏の「み教え」に、心から礼拝いたします。 わごうのともがら(ぶつでし) いつ、いかなる所にもまします和合衆(仏弟子)に、心から礼拝いたします。 ※三宝礼とは仏・法・僧の三宝を敬い、帰依することをたたえる偈文です。 それでは、仏法僧の三宝とは何の事かと言いますと、これが意外と説明 しにくく、専門的になりますが、次の三つに分類されます。 (現前の三宝) 如来…………………………………仏宝 如来によって説かれた教法……… 法宝 教法を修行する賢聖衆…………… 僧宝 (一体の三宝) 永遠に真なる真理 …………………仏宝 真理が現れる物事の道理 …………法宝 その道理と一つになっていく徳 ……僧宝 (住持の三宝) 絵画・彫刻の仏像 ………………… 仏宝 経 典 …………………………………法宝 剃髪染衣の者 ………………………僧宝 以上が三宝の説明です。ですから、おつとめの時は正面の阿弥陀様にも、 手にお持ちの経本にも敬いの気持ちで、この偈文をお唱え頂きたいのです。 |
四奉請(しぶじょう)
ほう ぜい し ほう じょ らい じ とう ちょう さん か らく |
奉 請 十 方 如 来 入 道 場 散 華 楽 |
ほう ぜいせ きゃ じょ らい じ とう ちょう さん か らく |
奉 請 釈 迦 如 来 入 道 場 散 華 楽 |
ほう ぜいび た じょ らい じ とう ちょう さん か らく |
奉 請 弥 陀 如 来 入 道 場 散 華 楽 |
ほう ぜいかん にんせいししょたい ほう さじょ らい じ とう ちょう さん か らく |
奉 請 観 音 勢 至 諸 大 菩 薩 入 道 場 散 華 楽 |
[訓読] 請じ奉る十方如来道場に入りたまえ(散華楽) 請じ奉る釈迦如来道場に入りたまえ(散華楽) 請じ奉る弥陀如来道場に入りたまえ(散華楽) 請じ奉る観音勢至諸大菩薩道場に入りたまえ(散華楽) [訳] お願いします、あらゆる所の仏さま、この道場に お入りください。 (花を散らしてお迎えいたします) お願いします、お釈迦さま、この道場にお入りください。 (花を散らしてお迎えいたします) お願いします、阿弥陀さま、この道場にお入りください。 (花を散らしてお迎えいたします) お願いします、観音、勢至等もろもろの大菩薩さま、この道場にお入りください。 (花を散らしてお迎えいたします) ※四奉請とは、もろもろの仏さまや菩薩さまを法会の場に来られるよう請い迎える 意味で、私たちをお守りくださいと願う心にて称える偈文です。 |