次の汽車が、もう今日の最終です。ヌーは、待ちながら考えました。
 もし、次の汽車にも乗っていなかったらどうしよう。帰ろうか。でも、乗っていたら、夜の山道をミルは一人で帰ってくることになる。どうしよう。
 しかし、ミルが帰ってこなかった時の事を考えるとつらくてたまりません。そこで、家にかえってシチューを温めながらミルの帰りを待つことにしよう。そう決心してヌーは家への山道を一人とぼとぼと帰りだしました。
やっと半分ほど帰ってきたとき、後ろの方で何か音がするのに気が付きました。
 ミルだ! ヌーは立ち止まり、振り返りました。しかし、その音は動物がヌーの姿に驚いて逃げる足音だったのです。ヌーはがっかりして、歩きだしました。