山頂 | 前黒法師山 |
分類 | 無雪期縦走 |
日程 | 2005年11月5日〜6日 |
概要 | 麻布山駐車場〜前黒法師山〜黒バラ平(往復) |
コースタイム | 11/5 麻布山登山口8:20〜麻布山10:15〜前黒法師山11:15〜バラ谷の頭13:50〜黒バラ平14:30(泊) 11/6 黒バラ平6:15〜前黒法師山9:40〜麻布山登山口12:00 |
南アルプス深南部・麻布山、前黒法師山、バラ谷ノ頭 |
「岳人」11月号のとっておきの山歩きのコーナーを読んで、無性に行きたくなった。曰く「登山者の希な一大原始境」「深南部随一の山上楽園」である。
浜名湖まで3時間 |
近鉄奈良駅前で4日(金)午後8時にELFのNさんと待ちあわせ、浜松SAへ。名阪国道〜東名阪〜伊勢湾道〜東名高速を通って、午後11時には、浜名湖SAに着いた。プチ前夜祭後、12時頃就寝。午前5時起床、5時半出発。同じくELFのHさんと待ち合わせの「天竜・桃花の里」道の駅に6時15分に着いた。朝食を食べ、6時40分に出発。水窪(みさくぼ)を目指した。国道152号線を北上し、水窪の町をすこし越えたところで、水窪ダムの標識があり、右に入る。細い林道を落石に注意しながら走り、午前8時に登山口に到着。登山口には、駐車場、トイレもあった。準備を整え8時20分に出発。
麻布山は階段の山だった |
「熊に注意」の標識もあり、ちょっとビビる。よく整備された道を、麻布山を目指して登る。なだらかな登山道なので、距離的にはかなりかせげる。それにしても階段の多い道だった。麻布山には10時15分に到着。三角点は登山道から少し左に入るが、入り口に標識もあった。山頂は林の中で展望はない。すこし行くと、あずまややベンチもあった。
いよいよ南アルプス深南部へ |
さて、これからが本番で、深南部へと向かう。登山道入り口には、「これからさき標識なし、ご無事で」という標識がかけてあった。前黒法師山までは、1時間程度の道のりだが、苔むした倒木などがたくさんあり深南部らしい雰囲気だ。頂上には11時15分到着。
ここからのなだらかな広い尾根の下りがすばらしかった。黄、赤などの落ち葉の絨毯を踏みしめながら、紅葉に染まる広葉樹林の尾根を漫歩するのはなんともいえず良い気持ちだった。水さえ持参すればとてもすばらしい幕営地となるだろう。鞍部には12時に到着。ここからバラ谷ノ頭への登りになる。30分歩行5分休憩を1ピッチとして歩くことにする。ふくらはぎくらいまでの笹が茂った道を行く。けもの道も交差し、ルートファインディングが必要になる。急な登りに息も上がる頃、バラ谷ノ頭に13時50分着。思わず歓声が上がった。ここからの眺めがなんともすばらしかった。北面がすぱっと切れ落ちていて、南アルプスに続く山並みの一大パノラマが展開していた。
水を求めて幾千里 |
十分に展望を楽しんだ後、眼下に広がる今日の幕営地「黒バラ平」に向かう。ここが「深南部随一の山上楽園」と呼ばれたところだ。非常に急な笹の斜面や崩壊気味の草付きを20分ほど下って最低鞍部に着いた。幕営地はすこし小さいピークを越えた向こうにあった。幕営地には14時30分到着。3人ともかなりへばっていたが、水を手に入れなければいけない。だって、焼酎のお湯割りに大量に消費するかもしれないもんね。テント設営後、岳人には東の斜面を下ったところで水が豊富に得られると載っていたので、笹をかき分け斜面を降りていったがいっこうに水音がしない。かなり右のほうに寄りながら降りていくと、かすかに沢の音がしたので、さらに右に下っていくとやっと水流が見えた。水を汲んでいると、上の方から人が下ってきた。後で考えると、最低鞍部からそのまま下れば、それほど苦労しなくてすんだのだ。鞍部まで登ると、ちゃんと木に「水→」の札がかかっていた。そこを通ったのに見過ごしたのだ。やれやれ。
焼酎が腹にしみる |
水を手に入れたら、天気もいいのでテント横で焼酎のお湯割りとつまみで宴会だ。快晴の夕暮れの空のもと、お湯割りは、腹に心地よくしみわたった。しかし5時にもなると非常に寒くなったので、テントに入り続宴会&夕食。就寝前に外に出たら、満天の星空だった。とても冷えそうなので、フリース、雨具を着込んで寝袋(夏用)に入った。
プチ道迷い体験をする |
朝は、5時起床。棒ラーメンを食べ、テントを撤収して、6時15分に出発した。今日は、往路をもどるだけだが、バラ谷ノ頭への登りやそこからの不明瞭な下り道のことを考えると、やや緊張ぎみだった。Nさんに先頭を歩いてもらって、私は最後尾。時々ルートを訂正しながら進んだ。
バラ谷ノ頭からの下りで、プチ道迷いを体験した。途中までは確かにテープもあったのに、踏み跡を伝っていくとそれもなくなり、踏み跡も消えていた。うろ覚えの地形図では、右手の尾根を下るはずが、だいぶ左に寄っている感じがしたので、右の尾根に向かう踏み跡を探したが、見つからない。そこで、来た道をもどることにした。ほんの2,3分の登りだ。地形図、GPSで確認すると、思っていたのとは違って、下るべき尾根は左にのびている尾根で、道は左に巻いているはずだ。そう思って見ると、なんと、ちゃんと木にテープが巻いてあるではないか。とんでもない勘違いをしていたものだと、あらためて自分の方向感覚のいい加減さがよくわかると同時に、やはり、地形図とコンパスでルートを確認することの大切さを再認識した。
そんなこんなで、前黒法師山には9時40分着。これからは、道も比較的しっかりしているので、安心して麻布山に向かった。麻布山には10時25分着。再び、階段を上り下りして登山口には12時ちょうどに到着。それを待っていたかのように、小雨が降り出した。
最後は温泉で締めくくり |
林道を反対側に降り、民宿「布滝」で温泉に入り食事をした。ヌルヌルしたアルカリ温泉の岩風呂である。風呂からは一筋に落ちる布滝が望める。食事も、ヤマメの開きと椎茸の煮物、山菜など素朴ながら味わいのあるものだった。3人とも十分に満足し、風情のある宿を後にした。