山頂
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白馬岳
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分類
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積雪期アルパイン
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日程
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2006年5月3日〜5月5日
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概要
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猿倉〜主稜〜白馬頂上〜杓子岳〜双子尾根下降〜猿倉
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コースタイム
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5/3猿倉〜猿倉台地(泊)
5/4猿倉台地4:50発〜2292m地点6:08〜頂上直下の雪壁10:40〜村営小屋11:15〜杓子岳頂上12:45〜ジャンクションピーク13:40〜小日向のコル15:40〜猿倉台地16:15 5/5猿倉台地〜猿倉 |
はじめてのバリエーションルート『日本のクラシックルート〜アルパインクライミング・ルート集』を昨年夏頃に読んだ。最初に、白馬岳・主稜が載っていた。その雪稜の美しさ、スリル満点のナイフリッジの写真を見て、ずっと行きたいと思っていた。自分たちだけでは、無理だ。隊長さんに相談したら「じゃあ、連休に行こう。」ということになり、思いもかけず初のヴァリエーション・ルート「白馬・主稜」が実現した。 しかし、不安材料はあった。本のテクニカル・ノートには以下のように記されていた。「白馬岳主稜は中級者向けのヴァリエーション・ルートである。ピッケルとアイゼンが使いこなせるのはもちろんのこと、標高差1400mの登降に耐えうる基礎体力と判断力が必要になる。さらにロープによる確保技術をしっかりマスターしたうえで挑戦してほしい。」しかも、下山路の杓子岳・双子尾根も白馬主稜よりはやさしいもののヴァリエーションルートである。一般に、登りより降りの方がむずかしい。ホントに大丈夫か?自分にそれだけの体力・技術があるのか。本番前に、4/22に比良山へのボッカ山行を行い、また前々日の4月30日には体調を整えるために摩耶山へ軽いハイキングにでかけた。 猿倉台地で幕営さて、いよいよ本番。 5/2午後10時に、奈良を出て恵那峡SAをめざす。連休前の渋滞を心配していたが、順調に車は流れていた。中央自動車道に入って、やたらと眠くなったので内津峠PAで車中泊とする。 5/3午前5時起床。駒ヶ岳SAまで走り朝食。スタミナをつけるため、ソースカツ丼を食べる。 豊科ICで降りて、白馬へ向かう。白馬駅の前の道を山側へ、LOWSONの角を右に曲がって猿倉へ向かう。ゲートの前で人が立って、誘導している。「猿倉は除雪が十分でないため、自家用車は入れない。タクシーかバスで行ってくれ。」と言われたので、またLOWSONの近くの第5駐車場にもどって、タクシーに乗る。2890円なり。予想外の出費だ。 猿倉は、雪一杯だった。それにしてもスキー客が多いのには驚いた。もちろんリフトはないので、自分で登って、また滑り降りてくるのだが。 猿倉台地まで約40分。尾根道についたトレースを行く。広々とした雪原に灌木が生えている。静かないいテント場だった。テント設営後、主稜のとりつきまで偵察に行く。いったん台地から下って、沢沿いに白馬尻目指して歩く。とりつきが見えたあたりで、テントが張ってあり、隊長さんがテントの主と話をしていた。後で聞くとカランクルンの3人パーティだそうだ。我々と同様、明日主稜に行くそうな。 偵察はこの程度でよしということで、テントにもどる。暑いのでビールがほしいなあということで、ヒッキーさんが猿倉の小屋まで買い出しに行ってくれることになった。往復1時間なのにありがたいことだ。待っている間、隊長さんと今晩と明朝のための水作りをした。春の雪の割にはきれいな水ができた。4リットル+αくらいの水を作った。そうこうしているうちにヒッキー氏がビールをしょって帰ってきた。思いの外安かった(500ml缶450円なり)ので8本買ってきたという。さらに、日本酒2本もある。3人でカンパイして、主稜成功を祈る。夜は、満天の星。明日の晴天が期待できる。 出発!5/4午前3時起床。ラーメンを食べ、出発準備。思いの外時間がかかり、出発は午前4時50分となった。白馬尻の取り付きまで昨日の偵察の道を行く。白馬岳がモルゲンロートに染まっている。今日も天気が良さそうだ。最低高度は1395m。取り付きの1564mには5時40分。急登が始まった。広い斜面をトレースにしたがって登っていく。斜面の上の方には雪の収縮による亀裂が走っていて気持ちが悪いが、雪としては落ち着いているようだ。斜度はきついが、雪が締まっているので歩きやすい。大雪渓を見ると大規模な雪崩によるデブリがあった。下山路に使うにはちょっと怖い。1705m地点6時8分着。 急斜面を登ったところが1982m地点で6時55分着。このあたりが八峰らしいが、よくわからない。2292m地点には8時5分着。このあたりが七峰か。前方にとがったピークが見える。六峰のようだ。かなり急な雪壁を登らないといけない。登山者が連なり、順番待ちをしている。我々が取り付きに着いたときに、2つ前のパーティがフィックスザイルを張って、プルージックで登っていたので、時間がかかり行列ができていた。もし落ちればそのまま300m下の白馬沢まで落ちるので命はないだろう。しかし、雪の状態が良く、アイゼン、ピッケル共によく効いたので、前のパーティと我々はフリーで登った。右手でピッケルのピックを雪面に刺し、左手で雪のホールドを押さえて登った。とくに危険は感じなかった。 六峰(2336m地点)は8時30分に通過した。このあたりを過ぎると、白馬頂上までの稜線が見渡せるようになった。五峰(2464m)には9時に到着。2492m地点9時6分着。三峰(2588m)には9時26分着。杓子岳からの双子尾根が正面に見える。なかなか手強そうだ。二峰(2780m)には10時8分着。2774m地点10時17分着。2893mの頂上直下の雪壁下には10時40分着。斜面は60度。ガイドブックで見るとほぼ垂直に見え、ザイルを使って登っている。しかし、六峰への登りよりは易しそうなので、フリーで取り付くことにした。「君らが落ちたら止めてやるから。」と言ってくださった隊長さんがラストを登ることになった。トップヒロティ、セカンドヒッキー。アイゼン、ピッケルを効かしながら、慎重に登った。高度感は抜群である。最後は右手にトラバースして乗越すと白馬頂上だった。白馬頂上(2932m)10時50分着。テント場を出てから6時間。主稜取り付きから5時間10分。標準タイムは7〜11時間らしいから、なかなかのハイペースだった。天候&雪の状態がよかったのが大きかったと思う。 下りは双子尾根頂上付近は風が強く冬山を思わせる。証拠写真を撮って、さっそく降りにかかる。白馬山荘は開いているようだったが、そのまま下る。村営小屋11時15分。これもそのまま通過。このあたりが一番つらかった。疲労感が強く、眠くなる。杓子岳まで、いくつものピークを踏まなければならない。途中、雷鳥の夫婦を見て少し気分は和んだが、しんどさに代わりはない。やっと杓子岳頂上についた。杓子岳頂上12時45分。 降りは、ちょっといやらしい急斜面だ。ザイルを出し、隊長さんが確保してヒロティが下る。安定した場所で、ピッケルで確保し、後、ヒッキーさん、隊長さんが降りてきた。その後、ジャンクションピークまでコンテで降りる。ジャンクションピーク13時40分着。これで、核心部を通過したことになるのでホッとした。小休憩のちさらに下る。途中、我々のテントが見え隠れしたが、非常に遠い。隊長さんとヒッキーさんは快調にとばすが、私は雪に足を取られ、だいぶ遅れる。小日向のコル15時40分。コルからは快調な下りで、テント場着16時15分。白馬主稜達成の充実感で一杯だった。3人で握手をし、ビールでカンパイした。 その夜は、みんな疲れているのに、9時頃までビール、焼酎で宴会をした。シュラフに潜り込んだら、即熟睡に入ったのは言うまでもない。 今回の山行の工夫
1、ハイドレーションシステムを導入→大成功 なかなかザックをおろせない場所も多かったが、水分補給を十分できた。 |
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