弥山は中止、さて

１１月の連休。以前から計画・募集していた弥山川から弥山という１泊２日の山行は参加者が一人ということで中止に。以前からあたためていた２泊３日の台高山脈縦走に出かけることにした。

喧噪の大台ヶ原から静寂の道へ

１１／３（金）大和上市発8時３０分のバスで大台ヶ原へ向かう。バスはちょうど補助席を使って満員の状態だった。日帰りの人に交じって二人ほど大きなリュックの人がいた。大台ヶ原ドライブウェイの上部ははいつものことながら自家用車が道の両側に駐車しており、対向にも難渋するような混みようだった。大台ヶ原頂上には１０時２０分着。駐車場からドライブウェイを２０分ほど下り川上辻。ここが今回の縦走の出発地だ。ところが、なにやら看板が・・・。通行止！！！。近くまで行ってよく見ると筏場から大台辻への登山道の吊り橋が３カ所ほど落ちていて通行止めとのこと。今回の縦走には支障ないので、横を乗り越えて登山道に入った。 　ここから大台辻までは一応一般登山道だが、急斜面のトラバース道で所々道がガレていて通過に神経を使う。石積みで道が支えられているところも多くあり、歴史を感じた。大台辻には１２時５分着。コースタイムを５分オーバーしてちょっとショック。

テント泊にビールは最高！

ここからいよいよ台高縦走路に入る。入り口の道標には難路と書いてあった。写真を撮りに来ていたひとりの人と一緒になる。この人は御座�ｰまで行って引き返すらしい。山々の紅葉がきれいで、写真を撮りながらガサガサ音をたてて歩く。道には落ち葉が深く積もりよく滑る。３回ほどスッテンと尻餅をついた。添谷山を越えて、御座�ｰへは急斜面を下り、石楠花の生えた岩場を登る。なにか心細く赤いテープを頼りにルートファインディングに気を遣った。御座�ｰの上でしばし展望を楽しんだ後、また木を頼りの急坂を下り引水サコへ向かう。引水サコでは東側の谷をだいぶ下ってやっとチョロチョロした水を得ることができた。直接水筒に汲めるほどには流れていないのでコッヘルのフタを使って集めたが、時間がかかった。行動水はまだあまり減っていなかったので、食事用と翌日の行動水の２リットルを水筒に詰めた。詰め終わったのは午後２時５分だった。ザックが一挙に２ｋｇ重くなった。それでも２０ｋｇだからたいしたことはない。 　振子辻手前のキャンプ適地には１５時１０分に着いたが、できるだけ先に進みたいので歩き続けた。杉又高の尾根の曲がり角で二人パーティとあった。中高年のカップルで、高見山から縦走してきて３泊目だという。女性の方がちょっと疲れ気味のようすだった。先の水場の様子などを聞いて別れる。尾根を下りきった鞍部で幕営とする。１６時１０分。 　一人用テントを張り終えて、「キリンのどごし生」を一人でカンパイ。うまい！多少重くてもビールは必携と悟った。焼酎も持参していたのでカレーを作る間、つまみでチビチビやっていた。剱・早月尾根のときは、単独でしかもなにも持って行かなかったので食事後はすぐに寝るしかなかったが、今回はラジオを持って行ったので、たあいもないDJやニュースを聞きながら8時頃まで起きていた。夜は月が明るかった。 雷雨、突風という天気予報に不安になる

紅葉の縦走路

１１／４（土）朝４時起床。歩けるくらい明るくなるのは６時頃。ラーメンを食べても、まだまだ時間があったのでシュラフカバーにはいってラジオを聞いていた。天気予報によると寒気が流入してくるので午後から近畿の各地、特に山間部で雷、雨、突風の注意が必要とのこと。ちょっと憂鬱になる。しかし朝の天気は上々だった。父ヶ谷の高への登りで、上の方からザッザッという音、熊か！？熊よけに今回はじめてスイスはマッターホルンのふもとの町ツェルマットで買ったカウベルをリュックに付けていたのだ。効果なかったかと思ったのもつかの間、単独の登山者が降りてきた。バスで見かけた人だ。たしかわさび谷で降りたはずだが、どのコースを登ったのだろう。また水場の情報交換などをし、天気予報を教えて別れた。湯谷ノ頭付近は岩稜でちょっと緊張した。こんなところで転落したら、ヘリコプターでは樹木に遮られてまず見つからないし、どうしようなどと考えながら慎重に進んだ。 　地池越で水を補給。ここも東の谷を３分ほど下ったところに水場があった。引水サコよりも水量は若干多かった。残り物のパンを食べ、１１時５分に出発。またリュックは重くなった。灌木帯で紅葉のきれいな尾根を馬ノ鞍峰に向かって歩く。１３時８分に馬ノ鞍峰に到着。いいペースで歩けていたので、このままだと弥次平峰を越えたキャンプ適地までいけるかなと思っていたら、途中に岩場などもあり時間がかかった。弥次平峰手前の鞍部で、沢登りのパーティー数名と出会った。大和谷・焼山谷を遡行して池小屋山に上がり、ここまで縦走してきて、これから大和谷の源流に下るということだった。家に帰ってから調べると３級の谷でゴルジュが発達しており、かなりおすすめの谷らしい。このあたりから空が暗くなってきて天気がどのくらい持つか心配になってきた。弥次平峰には１５時２０分着。進むかどうしようかなあと考えていると、ポツポツきた。もうこの頂上で幕営することに決めて、いそいそとテントを張って、潜り込んだ。午後５時頃にはかなりはげしい雨になった。しかしそれも１時間ほどで上がった。また夜は月が明るかった。

縦走の終わりは寂しいようでうれしい？

１１／５（日）いよいよ今日で縦走も終わりだ。池小屋山を越えればあとは昨年テンションの例会でトレースしている。６時に弥次平峰を出発。下りはじめの道がわかりにくく、少し東にずれて降りたため登り返して正しいルートにもどった。下り道はブッシュの中を通っているため見失わないように神経を使う。ただ秋は葉が落ちているためテープは見つけやすいので有利だ。ホウキガ峰を越えて、池小屋山に向かうが、そこから見た池小屋山は大きな山だった。約３０分の登りで頂上に着き、一息入れると共に精神的にもホッとした。後は、大又のバスの時刻に間に合うように歩くだけだ。 　池小屋山を越えると、道はしっかりしていて迷いようもない。ひたすら歩く。霧降山の東尾根は日本庭園のようできれいだった。赤�ｰ山の下りは急でしゃくなげの木の間を縫うように道がついているため、ザックが引っかかったりして歩きにくかった。千石山の手前で昨年の例会山行の際のテント場を右に見て過ぎる。気温が上がってきて、千石山の登りはきつかった。笹ヶ峰付近は気持ちのいいところでゆっくり寝そべりたくなる。明神平から水を担ぎ上げ、幕営するのもよさそうだ。明神岳には登山者が数名いた。もう半分観光地のようなものだ。バスの時刻を気にしながら、明神平から大又林道に降りた。林道終点には１２時２５分に到着。ここから長い林道歩きが待っている。 しかし、３０分ほど歩いたところで、下山する車に気持ちよく乗せてもらい大又のバス停まで送ってもらった。出発時刻まで１時間ほどあったので、濡れたテントを乾かし、カフェラテを作って飲みながら、バスの出発を待った。 乗客は私だけだったのでバスの運転手さんとよもやま話をしながら、のんびり帰路についた。