厳冬期阿弥陀岳・南稜(敗退記)

山頂
阿弥陀岳
分類
積雪期アルパイン
日程
2008年2月23日〜24日
概要
舟山十字〜広河原沢林道〜立場山〜無名峰手前(敗退)
コースタイム
1日目:7:30 舟山十字発 〜8:20 稜線取り付き〜9:10 稜線〜11:10 立場山〜12:00 立場山頂上テント設営
2日目:6:30出発〜10:00無名峰手前ピーク直下(大休止)〜11:00撤退決定 同発〜11:50立場山〜12:40広河原沢降り口〜13:30舟山十字  

 厳冬期の阿弥陀・南稜へ

以前から課題に設定していた冬の阿弥陀・南稜に行くことになった。
 昨夏に下見で登ったときは、舟山十字から南稜を阿弥陀岳まで登り、御小屋尾根を降りたが、そのときは一周6時間ほどだった。
 さて、冬はどうか。天候は下り坂、しかも寒気が南下して、近畿の平地でも雪になるところがあるという天気予報だった。

 出発までの天気は上々だったが・・・

 メンバー5名が京都八条口に午後10時に集合し、出発。渋滞もなく、順調に諏訪湖SAに着き、車で仮眠した。
 翌朝の天気は晴れ。月と星が見えていた。SAで朝食をとり出発。諏訪南ICを降り、舟山十字へ。すでに車が2台止まっており、出発の準備をしていた。リーダーのM田さんの知り合いの某山岳雑誌の元編集長の方が大学山岳部のサポーターとして来られていた。聞くとやはり阿弥陀南稜へ行くことのこと。雪もしまっていそうだし、トレースもついているということだったので、ワカンは車に置いておくことにした。準備をして7時30分に出発。この頃には雲が一面空を覆い、雪もちらつきだした。

 立場山山頂で幕営

 昨夏は、旭小屋から登ったのだが、今回は広河原沢からのアプローチである。取り付きは、はっきりしているのだろうかと思いながら、林道を歩いて行ったが、りっぱな道標が立っていた。赤リボンもついており、迷うことはないだろう。稜線まで急登し、9時に稜線に着いた。尾根の上のほうはガスで見えない。トレースはしっかりついていた。きのこ山につき立ち入り禁止の看板を見ながら、樹林帯の中を歩いていく。傾斜がゆるくなり、ほぼ平坦な道をしばらく行くと立場山に着いた。頂上は樹林の中で風がなく、平坦でテント場にはもってこいの場所だった。しばらく歩くと樹林が切れて、右手がガレ場になっていた。昨夏に下見をしているのにもかかわらず、私はそこが青ナギと勘違いして、そこから先は適当なテント場がないと進言。風と雪もしだいに強くなり、結局、立場山の頂上にテントを張ることにした。12時。
 時間も早いし、テントの中にはいってゆっくりお茶を飲みながら四方山話に花を咲かせた。M田リーダーの駄洒落も絶好調。夕食は、私特製のJカレー。5人ではちょっと多くて、朝食に残した。5人がキッチリ並んでシュラフを並べたため夜も快適に眠ることができた。午後9時ごろ、私は夢うつつの中、フライが埋まって酸欠気味だとかで、外にでて雪かきをしてくれていた。感謝感謝。

 風雪の稜線

朝は、4時起床。昨夜からの雪は止んだようだが、風が強そうだ。朝食は、H笠特製うどん雑炊。時折樹木の上から雪がドサッと落ちる音にビクッとする。火力が低温のために弱く、テルモス用のお茶を用意するのに時間がかかり、出発したのは6時30分になった。昨日のトレースも消えかかっており、風雪の中をラッセル気味に進んだ。青ナギからは天気が良ければ第3、第4ピークの後ろに阿弥陀の山頂が見えるのだが、雪とガスのため第3ピークの下部がかろうじて見える程度であった。
 無名峰へは、雪の下に消えたトレースを探しながらの登りになった。ちょっとトレース跡をはずすと胸まで雪に埋まって身動きが取れない状況になる。交代でラッセルをしながら登ったが、遅々として行程は進まなかった。気温は−20度。風も強いため体感気温は−30度くらいか。相変わらず風雪が続く中、無名峰手前のピークの手前で休憩時、フッチーの様子がおかしくなった。手の指先の感覚がないと言い出し、さらに体が小刻みに震えている。さっそくツェルトにみんな入り、両側からフッチーをはさみ、暖かい紅茶を飲ませ、カイロをおなかに張ったり、手や背中をマッサージしたりして、回復を待った。約50分で、手の感覚ももどり、体の震えも止まり行動できるようになった。その間、上から別パーティが降りてきた。話を聞くと、昨日2峰と3峰の間にテントを張り、本日3峰を越えたが、それ以上進むのは無理と判断して降りてきたらしい。われわれも撤退することとした。

 疾風のように下る

トレースをたどり、立場山で小休止、12時に出発して、M田さんが先頭で下った。それが速い速い。駆けるように滑るようにどんどん下る。とても齢60ウン才とは思えない足運びだった。私はついていくのが精一杯で、息もゼーゼーハーハーだった。広河原沢への降り口までなんと40分弱で下ってしまった。そこから見る立場山は、はるか上方だった。さらに急坂を慎重に、たまにシリセードーで林道まで下った。この頃には空も晴れ渡り、太陽の光に満ちたのどかな林道を歩き、舟山十字には1時30分に到着。 樅の湯で冷えた体を温め、さらに駒ケ岳SAでH笠さんご推薦のカツ丼(700円)を全員で賞味し、満腹になって帰途に着いた。

 感想

今回は念願の厳冬期、阿弥陀・南稜にチャレンジしたが天候のため敗退となった。しかし、厳冬の八ヶ岳の風、寒さ、雪の深さを体験できたことはよかった。休憩時のツェルトのありがたさもわかった。低体温症の怖さも知ることができた。テントの中での楽しい四方山話など雪山生活をエンジョイできた。敗退したとはいえ、楽しい山行だった。

WS000005.jpg(37603 byte)

23日の天気図

WS000006.jpg(37467 byte)

24日の天気図

IMGP0602.jpg(20156 byte)

尾根への取り付き

IMGP0603.jpg(19210 byte)

稜線への急登

IMGP0607.jpg(23523 byte)

立場山山頂

IMGP0608.jpg(8338 byte)

風雪の青ナギを行く

IMGP0610.jpg(22952 byte)

樹林帯のラッセル

IMGP0612.jpg(23144 byte)

駒ヶ岳SA名物のカツ丼