積雪期南八ヶ岳縦走

山頂
赤岳
分類
積雪期ハイキング
日程
2008年3月20日〜23日
概要
美濃戸口〜赤岳鉱泉〜硫黄岳〜横岳〜赤岳〜赤岳鉱泉〜美濃戸口
コースタイム
3/21(金) 美濃戸口8:00〜赤岳鉱泉11:40
3/22(土) 赤岳鉱泉6:05〜赤岩の頭8:10〜硫黄岳8:50〜硫黄岳山荘9:15〜横岳(奥の院)11:30
    〜地蔵ノ頭13:15〜赤岳14:30〜行者小屋16:10〜赤岳鉱泉16:50
3/23(日) 赤岳鉱泉6:10〜美濃戸口8:10

 南岸低気圧通過の後は?

春分の日を含んだ飛び石連休は、メンバーの都合で紆余曲折の末、3名で南八ヶ岳の縦走ということに相成った。
 3/19と3/20春分の日は、南岸低気圧の通過により、全国的に悪天候。3/20の夜発で、3/21(金)に赤岳鉱泉までのアプローチ。天候が回復する3/21(土)に硫黄岳から赤岳までの縦走。3/22(日)の早い内に帰京というスケジュールに決まった。
 3/20は、午前中雨だったが、午後から降り止んだ。午後6時半に京都駅を出発。諏訪湖SAには午後11時半頃到着した。翌日は、特にいそぐこともないので、6時起床とした。 

 60cmのドカ雪

 3/21(日)は、SAでゆっくり準備をしたが、午前8時には美濃戸口を出発することができた。付近は雪で真っ白である。美濃戸から北沢に入り、赤岳鉱泉をめざす。途中で降りてきた人の話では、ドカ雪のせいで下ってくるときもラッセルだったとのこと。先行の4人パーティがいるとのことで、ちょっと安心する。とにかく赤岳鉱泉を目指して黙々と歩いた。赤岳鉱泉に着くとテントは5張りほどであった。やはり平日とあってすいている。ここでも、ラッセルで中山峠まで行くのも大変だったという話を聞いた。到着した頃は稜線も見えないほどガスっていたが、午後から雪をかぶった大同心、小同心もきれいに見えだした。

 アイスクライミングは難しい

名物のアイスキャンディでは、アイスクライミングの練習をしている1組がいたので、見学していると「やってみるかい?」と声をかけていただいた。うちのメンバー二人は果敢に挑戦したが、縦走用のアイゼンではなかなか氷にけり込んで足で立つのは難しく、腕がすぐにパンプしてしまったようだった。
 この日はゆっくり過ごし明日への英気を養った。夜は、F田さん特製のおでんだった。重い材料を運び上げてくださって感謝感謝。   

 いよいよ本番

3/22(土)は、4時起床。6時出発。
 朝から快晴である。稜線上は雪煙が上がっていたので風はやや強そうだが、ぜいたくは言っていられない。やがて風も弱くなるだろうという天気予報だった。
 硫黄岳へは、トレースがついていることを前日に確かめておいた。樹林帯の中をゆっくり登る。樹林帯を抜ける前にアイゼンや防寒具を着けた。樹林帯を抜けると赤岩の頭の南斜面は一面の雪面だった。一昨年に、雪崩が起きたところか。雪は堅くしまっておりラッセルをすることはなかった。アイゼンが小気味よく効き、急な雪面をトラバースしたり、直登したりして稜線目指した。ちいさな雪庇を越すと、ちょうどオーレン小屋への分岐の道標のところにでた。

 強風の中を硫黄岳へ

風が強い。雪の粒が顔にあたって痛い。それでも、天気はいいので、180度の展望を楽しみ、硫黄岳を目指した。ガスがかかっているとルートファインディングが難しいところだが、今日はその心配はない。
 岩稜を越すと、硫黄岳頂上だった。我々より先にトレースはない。雪の爆裂火口は迫力があった。記念撮影、小休止の後、鞍部にある硫黄岳山荘を目指して下った。風が強いので硫黄岳山荘の陰に入って休もうかと思ったが、そういう場所もなかったので、歩き続けた。

 横岳(奥の院)へ

台座の頭を過ぎると前方に岩峰が見えてきた。奥の院である。一見するとルートをどうとればいいのか迷うくらいの急な岩壁である。とりあえず進むしかない。岩峰の手前で、岩場の左(東側)をトラバースする箇所が現れた。
 雪の棚は10cmくらい。距離は7,8mくらいしかないのだが、落ちればかなり下まで落ちてしまう。安全を期してロープをだす。F田さんに確保してもらって私がまず渡った。意外に雪面はしっかりしていて、慎重に歩けば大丈夫だ。私が確保して、次にU多さん、続いてF田さんに渡ってもらった。さらにそこから西側に回り込んだところも、ふわふわ雪の急斜面のトラバースになっていた。ふたたびロープを出す。雪が深いので、ラッセルしつつ足場を探りながらのトラバースであった。さらに、そこから岩場を直上して梯子下の安定した場所に着いた。
 梯子を登り、さらに堅く締まった急な雪稜を登ると、横岳(奥の院)の頂上だった。 先行者のトレースがあれば、なにげなく通りすぎてしまうのかもしれないが、ここまでは自分たちでルートを考えながらトレースをつけていく楽しさを味わった。

 赤岳からの縦走者に出会う

横岳からしばらく下ると、大同心の頂上に登り終えたクライマーが見えた。私も将来は登りたいものだ。
 三叉峰のあたりで、前方から二人パーティが来られた。赤岳から縦走されて来たらしい。お互いに情報交換をして、健闘を祈り別れる。すぐ後からまた二人パーティが来られた。結局、この日はこの2パーティと我々のパーティだけが縦走したようだ。
 石尊稜の先で、鎖に導かれて西側に岩場を下り、急なふかふか雪の斜面をトラバースした。ここもトレースがなければ、いやらしいところだ。稜線に上がり、さらに日の岳の東側の斜面を岩場沿いに降りたが、高度感があり、急斜面のうえ雪が腐り始めていて緊張した。ここもトレースがあったので助かった。

 いよいよ赤岳へ

悪場を越し、地蔵の頭、赤岳展望荘が見えたときはホッとした。展望荘には13時30分到着。ここから見る赤岳の登りはきつそうだが、まだまだ時間はある。ゆっくり安全に登ろうとお互いを励ます。
 雪はところどころ腐っていたが、特に悪いというほどでもない。ひたすら高度をかせぎ14時30分に赤岳頂上に着いた。富士山、権現岳方面の険しい稜線、その向こうに甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳、北岳などの白い峰々を望み気分は最高。

 下りは慎重に

赤岳への登る姿を見ていたらF田さんはかなり、足が疲れているようだったので、私とのタイトロープで下ることにした。安全第一だ。
 途中、2月に敗退した阿弥陀岳の南稜を眺めたり、赤岳主稜に取り付いているクライマーを見たりしながらゆっくり行者小屋を目指した。行者小屋は、週末で開いていたようだが、我々が着いたときには、ちょうど小屋番の人が小屋を閉めて下るところだった。行者小屋周辺にも週末ということもあって、数張りのテントが張られていた。
 快適なトレースをたどり赤岳鉱泉に着き、テント前で、無事生還を祝ってカンパイした。約11時間行動の充実した1日だった。
 夜はU田さん特製のキムチ鍋でご飯がすすむ君だった。

 景色は一変

3/23(日)は、4時起床でテントを撤収して6時10分には下山開始。下山道は、橋の木製の部分が現れていたり、地道が出ていたりして、来た時とは一変していた。真っ白だった駐車場もほとんど雪がなくなっていて、春の訪れを感じた。
 いつも訪れる楡の湯には9時前に着いた。10時開業ということなので、諏訪湖SAの温泉(日曜は9時開業)に入り、帰京した。

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アイスキャンディー

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硫黄岳を望む

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硫黄岳爆裂火口

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横岳を望む

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横岳からの下り

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急斜面のトラバース

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日ノ岳東側の急斜面をふりかえる

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赤岳へ

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南アルプスを望む

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カンパ〜イ!