小豆島クライミング

山頂
拇岳
分類
無雪期アルパイン
日程
2008年5月16日〜18日
概要
1日目:吉田の岩場でフリークライミング
2日目:拇岳ダイレクトルート(敗退)
コースタイム
5/16(金):京都23:00発〜日生港2:30
5/17(土) :日生港7:00発〜大部8:00着〜吉田オートキャンプ場
5/18(日):吉田オートキャンプ場6:50発〜拇岳ダイレクトルート取り付き7:50〜(待ち)〜1ピッチ終了点11:57〜(待ち)〜2ピッチ終了点13:20〜(待ち)〜3ピッチ終了点15:00〜(待ち)〜16:04敗退決定〜懸垂下降
大部港18:20−19:40発フェリーー日生港20:40着−京都駅23:10着

 名神高速集中工事

5/16(金):会の岩講習最終回、それは小豆島クライミングだった。日程的に5月16日夜発〜18日しか都合がつかず、私はこの日の歓送迎会でアルコール類を飲まずに早めに切り上げ、京都駅23時集合と相成った。
  ところが、小見出しのとおり、この日は名神高速集中工事の日にあたっており、工事の車線規制のため大渋滞。日生港のフェリー乗り場駐車場に2時半着。テント組と車中泊組に分かれて仮眠した。
  5/17日(土):早めに目が覚めたので、付近を散歩。フェリーの乗船券売り場に行くと、30分前の6時半から受付とのこと。車も少なくのんびりした雰囲気だった。
 7時発のフェリーで、8時大部港着。そのまま吉田オートキャンプ場へ海岸沿いの道を走った。道標があるので、キャンプ場はすぐわかった。入り口に行くとまだゲートが閉まっていたが、I野さんが管理人さんに交渉して開けてもらった。周りを岩峰に囲まれたロケーションで眺めがよく、地面は芝生で車もすぐそばに駐車することができる。温泉もあって快適なキャンプ場である。ジャンボテントを張り、ギアの用意をして、徒歩10分ほどのところにある、いわゆる吉田の岩場に出かけた。
 樹林の茂る中にある岩場で、海のながめもよかったが、私たちが選んだ「夕暮れロック」はルート距離も短く、少々暑かった。登攀技術のない私は、5.8と5.9のルートをトップロープで登った後は、翌日に備えてアブミ練習をした。生まれてはじめてのアブミ練習だったが、少しはコツをつかめたような気がした。
  メンバーは暑さに参ったようで、S木さんとN村さんを除き、午後3時ごろには下山。夕食の買出しに出かけた。
  なかなか思うような食材にありつけず、30分以上車を走らせ、スーパーを見つけ、豚肉、野菜、ビール、つまみなどを仕入れた。
  男性陣は、キャンプ場で夕食のカレー準備。女性陣はお風呂。ちょうど女性陣が風呂から上がってきたところで、カレーの煮込みをバトンタッチ。男性陣も温泉に入ることができた。温泉は午後3時〜8時の営業である。残念ながらビール等は売っていない。
  夜は野菜たっぷりカレーとビール、ウィスキーで私は宴会モード。午後9時には就寝。蚊がけっこう出たそうで持っていった蚊取り線香が大活躍だった。     

 いよいよ拇岳・ダイレクトルート

私は、本格的な岩壁登攀は経験がない。今回の拇岳・ダイレクトルートがほぼ初めてといっていい。しかも人工登攀は、初めて。本当に登れるのかという不安もあったが、パートナーのS藤さんを信頼して、登るしかないと覚悟を決めていた。

 長い1日のはじまり

  朝5時起床。7時出発という、なかなか真面目なスケジュール。6時50分には荷物を整理して車で拇岳に向かった。路肩に駐車して、アパート脇、幼稚園の横を通り神社へ。神社から林道をすこし進んだところから、右手に山道がついていた。赤いテープも4本ほど巻かれており、間違えないだろう。途中の道にもペンキなどがある。
  突き当たりの岩壁に沿って左へ(右は歩いて拇岳に向かう道)少し行くと広大な岩壁が姿を現した。顕著なチムニーが頭上に続いている。これがダイレクトルート取り付きだ。
  岩講習会なので、3人、3人、2人の3パーティに分かれて登攀開始。私とS藤さんは最後の2人パーティだった。   

 恐怖の体験

最後の出発組ということで、延々待つ。その間、どこからか1匹の大きなスズメバチがあらわれた。はじめはあまり気にしていなかったが、そのうちブーンという羽音とともに私のまわりを飛びはじめた。腹の辺りの匂いを嗅ぐようにホバリング。そのうち上昇して、私の顔の前10cmくらいまで近づいてきたときは生きた心地がしなかった。黒目を攻撃すると聞いたような気がしたので、目をしっかりつむった。ブーンという羽音だけが聞こえる。実際は短時間だったのだろうが、ずいぶんと長く感じた。そのうち羽音が聞こえなくなったので、そっと目を開けた。ハチはどこかへ去ったようだ。ほっと胸をなでおろした。

 いよいよ登攀

2ndパーティが1P目の登攀を終わったが、ビレー点が共有できないので、結局2ndパーティのトップが、2P目を登り終わり、フォローのビレーをとるまで、我々は下で待つことになった。後で記録を見ると、登り始めは11時半ごろになったのではないだろうか。チムニーの両側の壁にブリッジングして体を上げていった。だんだんチムニーが狭くなり、担いだザックが邪魔になる。登っていくと、結構壁が立ってきたので、緊張した。チムニーから抜け出しフェースに出るところが難しく、しばし逡巡。なんとかホールドを見つけ、登り終えた。私がフォローで1P目を登り終わったのが11時57分だった。
  上を見ると、2ndパーティのトップが登り始めていたので、しばらくしてS藤さんが2P目を登り始め、2P目のビレー点から左にのびるバンドに到着。しかし、ビレー点が共有できないので、潅木でセルフビレーをとり待機した。私はそのまま1P目終了点で待機した。
  東側には海が見渡せ、下には森の新緑がきれいだった。そよ風に吹かれながら、のんびり待っていた。
  S藤さんが5mほどバンドをトラバースしてビレー点につき、私が登り始めたのは13時20分ごろだった。右のクラックまでいったん降りて、クラック沿いに、アブミも使いながらフェースを登る。上のバンドに上がる前もいやらしかった。トラバースしてビレー点には13時40分ごろ着。

 3P目はきつかった

今度はあまり待つことなくS藤さんが登攀開始。頭上のハング気味の岩のすそを左に回りこむようにして登る。スリングをアブミの代わりにつかってスピーディに登っていかれた。しばらくしてビレー解除のコール。私が登る番だ。アブミをかけながら登るが、アブミのバックアップにしているスリングが右左で絡まったりして、なかなかスムーズに進めない。そのうち手の力が尽きてきそうになったりで、途中2回ほどロープにぶら下がる形でレストさせてもらった。後で考えると、デイジチェーンを持っているのだからそれを支点にかけてレストすれば、ロープにテンションをかけずに済んだのに、そのときは余裕がなくて、そういうことを考えられなかった。やはり経験不足というのはこういうことだ。
 なんとか登りきったときは、15時になっていた。

 撤退

上を見ると、2ndパーティのセカンドが上部のハングをアブミで越えようとしていた。完全に空中にでる形でむずかしそうだ。かなりてこずっていた。
  写真を撮ったり、水を飲んだりして休憩。15時半すぎからS藤さんが登り始め、ビレー解除の声。しかし、そこでリーダーのI野さんから「帰りの時間があるので、ここで懸垂下降で撤退する」とコールがあった。16時。まあ、いたしかたない。みんな仕事もあるし、今日中に小豆島を脱出しないといけない。そこから、取り付き点までなんと1回で懸垂できてしまった。
  ギアの整理もそこそこに山道を車まで急いだ。道端では、なんと1stパーティが民家でシュークリームとコーヒーをご馳走になっていたらしい。1stパーティは14時30分に頂上に出て、山道を30分で下ったらしい。
  私たちは車に17時30分着。   

 帰りは渋滞もなし

余裕で大部港に着き、荷物を整理。日生港には20時40分に着くはずだが、来るときのような渋滞があると、京都到着は24時を過ぎるかもしれないということで、最終電車の関係で、S藤さんとF沢さんは日生駅から電車で帰ることになった。コンビニで弁当を仕入れ、京都に急いだ。
 しかし、予想ははずれ、ほぼスムーズに11時すぎ京都駅に着くことができた。

 感想

今回は、初めての人工を含む本格的なマルチピッチであった。大パーティということで待ち時間が長く、時間の関係で最後まで登れなかったのは残念であったが、岩講習という性格上しかたなかったと思う。
  技術的には、私がやっと登れるくらいのレベルだったため、充分満足した。
  S藤さんから、いろいろ教えを受けてありがたかった。
  このくらいの岩場をリードで登れるくらいの技術を身につけたいと思う。

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吉田オートキャンプ場

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吉田オートキャンプ場

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吉田の岩場で

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1P目のチムニー

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1P目のビレーポイントにて

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2P目

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3P目を登るS藤さん

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4P目を登る2ndパーティ

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海のながめ

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山のながめ