黒石谷遡行

山頂
黒石岳
分類
沢登り
日程
2008年7月12日〜13日
概要
本沢川林道〜黒石谷出合〜林道終点〜黒石谷遡行〜黒石岳〜黒石岳北尾根下降〜ユノ谷橋〜黒石谷出合
コースタイム
7/11(金):自宅22:20発〜道の駅吉野路大淀iセンター24:00頃車中泊
7/12(土):道の駅吉野路大淀iセンター5:00発〜黒石谷出合発7:00〜男女滝下9:35〜明神滝下12:50〜明神滝上12:50〜霞滝下14:30〜霞滝上15:20〜菅平谷出合15:35(泊)
7/13(日):4:40起床〜出発6:35〜鬼滝下7:25〜鬼滝上7:40〜廊下奥の2段ねじれ滝8:35〜奥の二股9:30〜稜線10:15〜黒石岳10:25〜ユノ谷橋12:40

 1ヶ月ぶりの山

6月上旬に錫杖岳に行ってから、週末は雨模様が続き、山に行けずもっぱらクライミングジムに通っていた。 天気もなんとか落ち着いたので、久しぶりに沢登りに行くことにした。沢登りは9ヶ月ぶりになる。メンバーは、冬の鋸岳を縦走した仲間のF上、S木両氏である。若くて技術・体力のある二人と一緒で心強い限りだ。

 いよいよ遡行開始

  黒石谷林道の終点から入谷。すぐに8mの滝が姿を現した。左手を巻くように登った。やがて1番目のゴルジュがでてきた。奥に8mの滝をかけている。これは巻くしかない。左手の斜面を上がり登山道にでてしばらく歩き適当なところから川床に降りた。10分ほど歩くと2条8mの斜瀑が現れ、左を快適に登ったらすぐにクロツ谷出合だった。クロツ谷の先の右岸からはいる谷の出合で休憩、左岸にはワイヤーがつり下がった巻き道のような踏み跡があった。8時40分。   

 ゴルジュの突破を図る

8時50分、ふたつ目のゴルジュが現れた。私ならそのまますぐに巻きを選択するが、若い二人は果敢にトライ。まずS木さんが右手を泳いで取り付こうとするが、水流が思いのほか強かったので、敗退。つぎにF上さんもトライしたが、やはり岩の上に這い上がれず、戻ってきた。「クリフハンガーがあったらもっと中の方からステミングで突っ張って突破できたと思います。」とS木さん。この気迫には脱帽だ。
 結局右から高巻いたのだが、滝の先も連瀑帯で3つくらいの斜瀑が続いていて、登るのは無理なようだ。この高巻き道にはところどころ赤テープがあった。

 男女滝

末広がりの滝には9時15分に到着。おおきな優美な滝だ。この滝を越えるとさらに10mの滝があり、さらにその上にも滝がある。
左から高巻いて男女滝の下に到着。。左が大きな流れ、右が細い流れである。真ん中のブッシュ帯の左側を佐々木君がリードで登った。下は簡単そうだったが、上に行くほどいやらしくなるのでロープを出してよかった。   

 明神滝

 男女滝を登るとすぐに明神滝が見えた。大きな岩が谷を埋めている。明神滝下に行くのに右手の凹角にルートを取る。F上さんがリード。トラバース的に登るところがいやらしく、私はそこでしばらく固まっていたがなんとか突破。10時50分なんとか明神滝下についた。明神滝は迫力のある、しかもきれいな滝だった。右手の岩の下を通って、ルンゼ取り付きに出た。大岩の上でしばし休憩。ルートは右手のルンゼである。傾斜はあまりないのだが、すべりそうな感じなので、ロープを出してF上さんリードで登った。12時10分1ピッチ終了。懸垂下降用の残置アンカーがあった。そこからも草付の微妙な登りで、F上さんリード。
12時50分明神滝の上に登り着いた。そこからみると明神滝の上には10mの滝があり、釜は洞窟状になっていた。それも含めて巻いたことになった。

 扇滝

  明神滝から上はおだやかな流れで、木々の緑、水流の美しさになごみながら遡行した。やがて深切谷手前、右岸に入る谷の出合に13時5分に着いた。谷は右に回っていく。すぐに扇滝が現れた。S木さんは滝の裏側を通って左に抜けようとした。はじめは「そんな。」と思っていたが、いざ取り付いてみると、なかなか素直なルートで踏み後もちゃんと右岸についていた。左を巻くと登山道に出た。しばらく行くと河床に降りる踏み跡が有りそれを下った。   

 霞滝

 14時5分、深切谷の出合に着いた。少し行くと右岸から谷が入り、またゴルジュがあらわれた。そこは泳いで突破。14時30分、霞滝正面にでた。ルートが問題だったが、右手のクラックをF上さんが空身で登ることになった。なかなかはっきりしたホールドがないところをフリクションをうまく使って登った。その後S木さんが登り、F上さんのザックを荷揚げ。ザックが途中の岩に引っかかってなかなかうまく上がらない。下からもロープを引っ張り、空中に少し浮かせてなんとか引き上げた。そのあと私が登った。私が登りきったのが15時20分。トラバース気味に踏み跡をたどって巻いていくと15時30分落ち口に着いた。
すぐに菅平谷の出合で、そこを泊まり場にした。広い台地になった所で、下草が生えていてふわふわだし、絶好のテント場だった。
焚き火を起こし、衣類を乾かしながら、S木さん特製の牛丼を食べ、ビール、ウィスキーの祝宴を楽しんだ。午後9時頃就寝。

 まだまだ滝の饗宴

午前4時40分起床。焚き火を起こし、朝のラーメンを食べ、6時35分出発。朝から水に入るのはちょっとした勇気がいる。いきなり8mの斜瀑が現れ、さらに3段10mの滝が現れた。ここは右手をF上さんが登り、後続はお助けヒモで上がった。
この滝を越えてもさらに5mの斜瀑があった。このあたり伐採後の倒木が多い。左から沢が合わさったところに右手に8m、2m2段の滝が見えた。右手にワイヤーがぶら下がっている。すぐ右手から谷が入り、沢は大きく左に回り込む。   

 鬼滝

  

回り込んだところで鬼滝が見えた。下段10m上段20mで、迫力抜群であった。F上さんが正面右の岩壁を登ろうとしたが、途中プロテクションも取れないし、危なそうなので右から高巻いた。巻きは易しい。   

 源流部へ

  

7時50分、地図での942mの地点に到着した。右から谷が入っている。谷の出合のところには石垣もあり昔植林小屋があった模様。全体的に谷が明るくなり、源流部が近いことが伺われるが、まだまだ滝が現れ、最後まで飽きない。8時35分、3つ目のゴルジュの奥の斜瀑は、2段でねじれていた。この斜瀑は右から巻いたが途中にビバーク適地あり。尾根には上から山道が降りてきていた。
   9時、斜瀑15mは左から大高巻きかなと思っていたら、左水流沿いのブッシュ帯に巻き道があった。その後ナメが続ききれいである。   

 奥の二股から黒石岳へ

  

9時15分、奥の二俣手前の二俣。水量は少なくなった。右手に幕営適地。稜線歩きに備えペットボトルに水を詰める。その頃、雨がぽつりぽつり降り出した。大降りにならなければいいのだが。すぐに奥の二俣だった。倒壊小屋があり、1升瓶が散乱していた。見苦しい。
 奥の二俣からはすぐ水がなくなった。苔むした岩のの中を遡行していく。10分ぐらい登ると再び水が現れたがすぐ涸れた。植林の作業道を登って、5分ほどの笹藪こぎで稜線にでた。10時25分、黒石岳到着。S木さんが大事に持ってきたグレープフルーツを3人で食べる。この頃からは晴れ間もでてきた。
  

 北尾根を下る

さわナビに上げてくださった記録を参考に(http://anshade.zone.ne.jp/sawanavi/2007/kuroisi/kuroisi.htm)黒石岳から北に延びる尾根に下山路をとった。
沢靴からアプローチシューズに履き替え、北尾根を下る。北北東の尾根を進むつもりが東に寄りすぎて、軌道修正。左への立派な道を行き、目的の尾根にもどった。その尾根には林道ができていた。尾根上は広い林道が通り、途中に大きな穴があった。なんのための穴か不明。さらに下り、広い台地状のところを過ぎて、明瞭な尾根に入ると立派な登山道くらいの道がでてきた。12時15分、標高752m。12時38分、ユノ谷橋に到着した。      

 感想

今回の山行は、今年はじめての沢登りだった。岩の上を歩くのもまだなんとなく、しっくりしなかった。沢靴のフリクションの効き具合も、なかなか把握できずよく滑った。
沢もアイゼントレと同じくしばらくは慣れが必要なのだろう。
しかし、今回の沢は若いお二人に助けられながら、水と戯れ、楽しく遡行できた。沢自体も美しく、迫力があり、しかも安らぎがあった。
まだまだ今年の沢のシーズンは長い。十分に楽しみたい。

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最初の廊下

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2条8mの斜瀑

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2つ目の廊下の突破を図る

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男女滝の男滝

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明神滝取り付きへの登り

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明神滝

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横から明神滝を見る

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明神滝をバックにポーズ

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扇滝の裏側から巻き道へ

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霞滝

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霞滝右横のクラックを登る

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菅平谷出合のテン場

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鬼滝

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斜瀑を登る

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ナメを行く

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黒石岳頂上