滝谷・ドーム中央稜登攀

山頂
北穂高
分類
無雪期アルパイン
日程
2008年8月8日
概要
上高地~涸沢~北穂南稜テント場~ドーム中央稜登攀
コースタイム
8/7(木):京都駅23:30発~あかんだな駐車場3:30
8/8(金):あかんだな駐車場5:20発バス~上高地5:50-6:10~本谷橋10:25~南稜テント場14:30
8/9(土):ドームの頭南のコル7:15~懸垂下降点7:42~中央稜取り付き8:10~1ピッチ目終了9:32~2ピッチ終了10:25~登攀終了13:30

 はじめての滝谷

京都出発が23時30分と遅かったので、1時間弱の仮眠で上高地に向かうことになった。朝5時20分の始発バスであかんだな駐車場から上高地へ。上高地はいつものように人人人だった。今日は、涸沢から北穂南稜のテント場まで、コースタイムで9時間の行程である。南稜の登りがきつそうだ。
 3人ともバテバテながら、なんとか14時30分テント場に着いた。水の確保が課題。雪渓の下のほうまで行って、岩場に耳を近づけ水流の音を確かめ、小さな岩をどけながら穴掘り、なんとかチョロチョロとした流れを発見し、今晩と明朝の炊事用水を確保した。この日は、豪勢なすき焼きを食べ、疲れと寝不足で午後7時には就寝した。

 ドーム中央稜へ

  今回の滝谷の第1希望は、ドーム中央稜と第4尾根を登ろうということだったのだが、第4尾根のアプローチが非常に悪いということを聞き、それならドーム西壁雲表ルートにしようと計画した。いろいろ調べていくうちに、雲表ルートも崩壊していて登れないという情報を得たので、偵察してだめなら前穂高・北尾根も考えるなど、現地の状況によって臨機応変に対応することにした。
 いずれにしても、手始めにドーム中央稜は登る。1週間前に会のI野、H笠嬢が登って快適だったとの情報も得ていた。グレード的には4級~5級だが、私は2週間ほど前から左肩の具合が悪いので、今回はフォローで登らせてもらうことにした。  

 アプローチは比較的明瞭

  アルパインでいつも課題になるアプローチだが、ドームの頭を回り込んで、鎖場が出てきたところのガリーに踏跡があった。ハーネスを着け、浮石の多いガリーを慎重に下った。ステンレスの懸垂点があるはずなので、第3尾根に沿って、右の岩に注意を払いながら20分あまり下ると、立派な懸垂点が見つかった。安全環付カラビナとリングも付いていた。懸垂し、バンドを右に行くと取り付きだった。   

 登攀開始

  取り付きに着くと、正面のフェースにクラック、右凹角にクラックがあるが、ルートは凹角にあるクラックのである。さて、1P目(4級)。「凹角からチムニーまたは左のフェイス(5級)」
   F上さんリードで登りはじめる。上部にチムニーがあるらしいが、その突破に苦労しているようだ。右を向き、左壁に背中を押し付けてチムニー登りで突破した。ザックがあるとくるしいかもということだった。さて、私の番だ。今回は、リードは空身で後続ふたりがそれぞれザックを持つということにしている。上部のチムニーに到着したが、どうやって登るかすぐには想像できなかった。ザックが邪魔になるが、無理やり壁に押し付け、右のランニングをつかんでA0で体を上げ、なんとかズリズリと抜けることができた。   

 2P目

 続いて、F上さんリード。「リッジ~カンテ~スラブ(5級または4級A0)」である。ホールドはやや細かいが快適に登る。最後のスラブのところがリードだと怖そうだったが、フォローなので思い切って足に乗り込むことができた。3ピッチ目は、コンテでリッジを進み、4ピッチ目の取り付きへ。

 4P目

 S木さんリード。「凹角よりチムニー(左)(4級)またはフェイスからクラック(右)(4級+)」ということだ。自然にリッジから歩いてきたところのビレーポイントから取り付いたが、ルートがよく分からなかった。どうも右の凹角のところから登るのではないかということで、ビレーポイントを右に移した。そして登り出したのが11時45分だった。写真のように上部に大きな岩のでっぱりがあり、右がチムニーになっている。
難しそうだったが、なんとかS木さんが突破した。12時10分。

 5P目

 S木さんリード。「凹角に入りハングを右(4級)または左(5級)からまく」ということだが、このピッチは快適に登ることができた。登攀終了は13時30分。
  後は、事前に確認していたようにドームの頭の北側の縦走路に歩いて降りた。
  この日のドーム中央稜は、我々と後からこられた単独のクライマーだけで、静かな登攀を楽しめた。

 北穂高小屋で思わぬ交流

 登攀が終わってから、北穂高小屋へ行き成功の乾杯をしていると、韓国から来たというクライマーや一般登山者の方からいろいろ声をかけられた。その中に小屋の中から窓越しに声をかけてくださった方がいた。長野県山岳遭難防止対策協会講師で、数多くの本も著されている丸山晴弘さんである。「若い人がアルパインクライミングをしているのを見てうれしくなり」声をかけてくださったそうだ。丸山さんはツルム正面壁の初登者でもいらっしゃる。めずらしいロシア製のチタンハーケンをいただいた。
 登攀の成功に気をよくし、3人とも明日は第4尾根に挑戦しようということで意見がまとまった。S木さん特製のカレーを食べ、明日の早出にそなえ早めに就寝した。

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朝日の中のドーム

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アプローチの懸垂地点

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1P目のルート(中央のクラック)

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1P目上部チムニーを登る

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2P目快適な登り

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4P目に取り付く

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4P目核心部

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5P目

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ドーム中央稜を振り返る